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ソフトウェア販売に営業という障壁を導入しない

Last updated at Posted at 2019-04-25

大手ソフトウェア会社のソフトウェアモジュールを導入しようか考えたことがある。けれども、大手のソフトウェアモジュールを利用しない結論になったことがある。そのときの経験をふまえて、提言をしたい。

提言: web上で使用できるようにしよう。

提言:ライブラリの試用版を提供しよう。

提言:ユーザーが質問を生じたときに、技術的に意味のあるに営業を。

この提言に新規性はない。
ただ、大手のソフトウェア会社をみて心配になったので、書かずにはいられなくなった。

理由:ユーザは営業を相手にしている暇がない。

理由:使い物になるかどうかの評価にたどり着く前に1か月単位の時間がかかるやり方をできない。

  • webページから営業へのコンタクト先を見つける。

  • 営業の人が来てもらって大丈夫な時間枠を確保して、日程を調整する。

  • こちらのほしい内容について説明する。

  • 製品の技術情報について質問する。

    • 画像認識技術を例に説明する。
    • イヌ検出器というライブラリがあるとして話をしよう。
    • 質問:イヌの最小検出サイズは?
    • 質問:イヌは、どんなイヌならイヌと判定しますか。
      • チワワやブルドックやセントバーナードまでいろんな種類がありますが、イヌと判定しますか?
    • 質問:イヌをイヌと判定するためには顔が写っている必要がありますか?
    • 質問:4Kのカメラで、イヌは同時に何匹まで検出できますか?
    • 質問:イヌは何m先から検出できますか?
    • 質問:近づいてくるイヌと遠ざかっているイヌとを区別できますか?
    • 質問:あのイヌとこのイヌとを区別ができますか?
    • 質問:監視カメラの中で、イヌ検出を何fpsで検出できまか?
    • 質問:ネコをイヌと誤判定することはどれくらいありますか?
    • 質問:イヌに服を着せている場合でもイヌと検出しますか?
    • 質問:イヌを抱っこしているときでも、イヌを検出しますか?
    • 質問:夜間に散歩で連れられているイヌをイヌとして検出しますか?
  • Webページの資料やカタログの中にはシステムを構築するうえで必要な技術的な情報がまったくといっていいほどない。

    • 「システムを構築する人が必ず質問することは最初から書いておけよ!」
      - 市販品はオープン・ソースのライブラリよりも優れた点がなければ、製品として意味がない。
      - 質問:Yolo V3の一般物体認識よりもどれだけ優れた検出性能になっていますか?
  • 導入したい側の技術担当者が、オープンソースとの比較表のレベルでさえ、自分で作っていかなくてはならない。

    • 営業にさんざん聞いていって、表を埋めるとオープン・ソースの実装にさえ劣っていることが何日間の努力の末にわかる。
      • 「俺の**日分の工数かえせ!」

ありがちな状況:

「まず、弊社の営業を通してください。」
「製品の技術的な仕様につきましては、NDAを結んで評価用のライセンスを購入していただいたお客様に限って提示しております。」
「当社では、***というデータセットでの評価結果を***の論文で評価しております。それ以外のデータセットでは評価を行なっておりませんので、お客様の場合においてどのような性能を確保できるか参考になる近い情報を提供することはできません。」

「御社で評価していただくためには、開発版のライセンスをご購入していただく必要があります。またそのNDAにしたがっていただく必要があります。」
 つまり、評価結果がぼろくそだったとしても、そのことを外部に発表しないでくれみたいなことが書かれている場合がある。

 ある目的のためにソフトウェアのライブラリを探しているとき、その候補を複数評価しなくてはならない。そして適切な評価を行なって、目的の開発を完成させなくてはならない。
 そこで評価しなくてはならないライブラリの候補は10を超える。
 評価する側は、評価に値するデータを用意して、評価基準を明確にすることに既に多くの労力を使っている。
 候補が10以上あったとき、早めに使えるものなのかどうかを見極めることが必要になる。
 

「世の中はもう変わってしまったんですよ 大手ソフトウェア会社の**さん」

実力のあるユーザーは、5年前の商用ライブラリを上回る性能のオープン・ソースのソフトウェアライブラリを使っているんです。
それより、性能がよいものを探しているんです。
判定結果の精度について、どのようなデータでどんな結果が出て来るべきなのかを
実力のあるユーザは知っているんです。

気になるポイントをユーザーの側が徹底的に質問するなり、ライセンスを購入して評価し続けないと、使い物になるかどうかわからないなって馬鹿げているんです。

どれくらいの性能が出るのかをユーザーが判断できやすいカタログを書きましょうよ

あなたが相手にしているはずの企業は、web-apiで性能の評価をしやすくしています。

どの程度そのライブラリが使い物になるのか、ならないのか、ユーザーはweb-apiでさっさと試してみて、惚れ込むことも、呆れて見捨てることもできるのです。

使い物になりそうだとわかったユーザーの決断は早い。

使いものになるかどうか、web-apiで試してみたユーザーは、自信をもって購入を決断するように社内を説得することができます。

ですから、相手先企業の営業を通すことなしに、web上で購入を申し込むことができます。

価格や数量、ライセンス形態などの点で営業が入らなければ話を進められないこともあります。でも、ユーザーの側が性能に納得を早めに得ているので、少ないやり取りで購入を決断できます。

もうそういう仕組みに変わってしまったんです。

営業の人たちの活動のために商材あるんじゃないんです。売れる商材を売れるようにする最善の方法を実現するために営業が必要なんです。

大手ソフトウェア会社の人員削減の記事を読む。
1980年代の過去の影響を引きづった人間が、自分たちは有能なんだと勘違いし続けているんじゃないかと思う。ビジネスニュースを自称するニュース番組は「高い日本の技術力」などと言っているが、5年前の商用ソフトウェアの性能を、3年前のオープン・ソースが追い抜いてしまっている時点で「高かった技術力」、「オープン・ソースに劣る技術力」に変わってしまったことをもっと自覚するべきだ。

その自覚がないから、失敗を続けるのだ。

生き残りたければ、世の中のルールに自分を合わせよう。


補足:

ソフトウェアの販売で、ユーザー側がその分野のライブラリの使い方について知識がない場合は、営業は意味がありうる。

その場合でも営業のコストを削減するために、ライブラリの解説をwebページ上で提供するのがいいだろう。
他社にそのノウハウを提供するのを避けたい場合には、ライブラリの解説をwebページ上で申請してもらって、同業他社でないことを確認したうえで、資料をダウンロードしてもらうようにすることができる。
いずれにしても、営業の担当者の日程が販売の律速になることは避けることができるはずだ。


機械学習結果のモデルの仕様や精度についての記載の1例を示す。

ユーザーは、このような技術的な情報があったうえで、それを使うかどうかを検討するのです。
技術的な仕様の部分がまったく含まれていないカタログは、カタログの役割を果たしていないことに気づいて欲しいのです。

age-gender-recognition-retail-0013

Specification

Metric Value
Rotation in-plane ±45˚
Rotation out-of-plane Yaw: ±45˚ / Pitch: ±45˚
Min object width 62 pixels
GFlops 0.094
MParams 2.138
Source framework Caffe*

こういった情報がきちんと整理されているのです。


関連メモ

評価ボードの価格は安くしてくれ!

あなたが売ろうとするチップの評価ボードの値段は極力下げてください。
評価ボードで利益をあげようとあまり考えないでください。
数年前にある会社の評価ボードの購入を検討したら、「数セットまとめてでなければ売りません。」と言われてしまった。
そのため、金額は1枚のボードの場合の数倍に膨れあげる。
年度の計画に入っていない部材を購入して検討しようとするのには、あまりにも金額が高く、断念するにいたった。
「どこどこ社が、何月に評価ボードを*万円で発売開始する予定だから、年度の頭に予算を確保しておきましょう」なんてことはありえないんです。よいらしい評価ボードを買うには、「予算が新規に申請可能な次年度にしましょう」なんてのは、世の中なめてないかい。
とにかく、評価ボードは安くしてくれ。
世界での競合が、どれくらいの性能のボードをいくらで提供しているのかはわかるでしょう。
評価ボードの興味をもって使ってくれる人がいない限り、そのチップは流行ることは絶対ないんです。


追記

「マーケティングオートメーションが半導体商社を危機に追い込む現実」について以下の記事は述べている。

TIは今まで半導体商社に任せていたマーケティング業務を、社内に取り込んでシステム化する動き、いわゆる「マーケティングオートメーション」を進めている。これはまさにDX推進の一環である。TIと同様に半導体商社を幅広く活用しているNXP Semiconductorsも、DX推進で直販比率を高めようとしており、商社の事業環境はさらに厳しくなるだろう。
https://eetimes.jp/ee/articles/2007/16/news025.html

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