このエントリは、SmartHR Advent Calendar 2024 シリーズ1の24日目の記事です。
シリーズ1の昨日の記事は8chariさんの SmartHR UXライターの責任範囲を明文化した話、シリーズ2の昨日の記事はおくらさんの できるさ!チーフー! でした。
どちらの記事も想いが込められた寒さ忘れるアツい記事でした!
これはなに?
インパクトマッピングをやってみた体験記です。
インパクトマッピングとは
インパクトマッピングは、プロダクトを作るときの迷いを防ぐ戦略的なプランニング手法です。解決したい顧客課題に対してゴールを起点として、アクターを定義し、アクターごとのインパクトを整理して、インパクトに紐づく成果物を考えていきます。
考えられた成果物は、ユーザーストーリーマッピングとして分類して整理することができます。
サイモン・シネックのゴールデン・サークルに則り、ゴール(Why)を考え、インパクト(What)、成果物(How)を順に考えていきます。
また、ゴールから達成されたときの基準を定めることで、フィーチャーの仮説検証を行うことができます。
書籍『プロフェッショナルプロダクトオーナー』で紹介されています。
インパクトマッピングの例
あるケーキ屋さんの課題を例に考えてみます。
クリスマスシーズンに、予約が殺到して、予約管理と受取時間の調整がうまくできず、いつも店舗内が受取待ちの人で溢れ、店舗の外にも寒い中ケーキの受取行列ができているとします。
ゴールに「クリスマスケーキの受取時間を調整して、店舗内の収容人数を超えない」と定めます。
ゴールからアクター「顧客」「店舗」ごとのインパクトを書き出します。
インパクトの行動変容を起こすための作るものが成果物です。
最後にゴールが達成できたかを評価するための基準を定めます。
これらを図にしたものが以下のインパクトマッピングです。
※師走の思いつきで書いたので、内容の妥当性は薄いかもしれません。
やってみた
私のチームでのとある機能の開発時に、インパクトマッピングで機能を使う役割ごとのインパクトを整理しました。
2つの実現方法案で揺らいでいたのですが、インパクトマッピングでゴールを起点にして整理したことによって、ゴール達成のためにより早く到達する方法を見極めて選択することができました。
整理した成果物はそのままユーザーストーリーとして活用して、実装に入っていくことができました。
ゴールが何か、アクターは何ができるか、を整理しているので、詳細仕様を検討するときにも、目的を見失わずに議論できるといった効果もありました。
合わせて他のチームで実践していた顧客理解を深めるロールプレイングを通して、業務ドメインの理解を深め、詳細仕様を詰めていきました。
体験者の声
インパクトマッピングをやり、ストーリーを整理したチームの声です。
- これまで機能ベースで検討してしまっていたが、ユーザーが本当に求めているものを認識しながら仕様検討ができた
- アクター(登場人物)をそれぞれ考慮して、アクターの操作や業務の関わりを意識しながら仕様を考えることができた
- 睡眠の質が改善されました(注:これは誇大広告です)
まとめ
なにか課題があって解決方法を考えるとき、方法論にどうしても目がいってしまいがちです。インパクトマッピングは誰にどのような行動変容があるかといった影響を踏まえた上で方法論を考えていくことができ、ゴールからの因果関係を辿って考えることができます。
達成したいゴールを外さないために、インパクトマッピングをぜひやってみてはいかがでしょうか?