今日までにアウトプットの話をしたが、今度はインプットの話にフォーカスしたい。
まず大前提として、今日までのアウトプットの記事の内容を理解、実践する意識を持ってもらって、インプットの質や環境を見直していく、というのが前提となるため、事前にアウトプットについても履修されたい。
対象者
- 普段は独学で勉強している方
- 次に勉強するべき内容を探している方
- 日々忙しい生活を送っているが、外部の刺激を求めている方
- 現役の方でも「勉強会に参加した事はない」という方を含む
- イベント主催またはリサーチャー
インプットから何かを発信する、というお話は既に語り尽くしたので、今日はインプットの話に集中する。
なぜ勉強会に参加するハードルを感じてしまうのか?
特に受講生向けになるが、独学で学ぶ方法は気軽なので出来るが、人ありきの場に出るのに心理的抵抗があるのか、あるいは環境が違うので一歩踏み出しにくいのか分からない、が勉強会という場に対してハードルを感じている方は一定数存在している事を承知している。
こう言った方とお話をすると高確率でもくもく会の話題が上がるのも共通である。(筆者の体感による)
まず前提として、勉強会も色々な種類があるので、まずはこれらについて押さえておきたい。
アウトプットメインの内容だが、勉強会の内容については共通のため引用する。
勉強会のインプットの質とは
まず人によって「質の内容」が違いすぎる事を認識したい。
質というと分かりにくいので「勉強会に求める内容」や「勉強会の内容と自分が学びたい目的」が合っているかどうかという点と、「勉強会に求めるものはないが居心地が良いか」という点で見ると同じ勉強会だったとしても人によって評価が分かりやすく変わる事は想像できると思う。
「勉強会のインプットの質とは」と言ったが、正しくは「自分にとって都合の良い勉強会を探そう」かもしれない。
ここでは初心者向けに「都合のいい勉強会=参加しやすい勉強会」と言い換えよう。
筆者が考える初心者向けの勉強会から共通項を括り出してみる。
- 人数制限がない
- 顔出しをしない
- 発表を求められない
- イベント詳細ページの説明分が適度な長さ
- 無料である
- コンテンツは少な過ぎてもダメだし、多過ぎてもダメ
- 文字数よりも多少の見栄え(マークダウン)
- やる内容が明確(登壇者・テーマ)
- ある程度固定の参加者数がいる
自分以外の参加者も何人かいるし、心理的安全が確保されており、気軽に入退室できるという点をアピールしていると「残業などで遅れたり、家庭の都合で早く退室するけどとりあえず見てみよう」という雰囲気があると、あとは興味があるかどうかで選ぶと良い。
逆に言えば、主催側は新規ユーザーを募りたい場合は、シンプルにクリックしやすい(応募しやすい)状態を分析していくと良い。
小話: コミュニティ(勉強会)を育てるために
主催向けの話だが、本格的に集客をするならマーケターのスキルが必要になる。
マーケとは別に、関連・類似した勉強会で登壇(貢献)して自分の勉強会を告知したり、他の主催ともコラボした方が手っ取り早い。
ただし、間違っても一度も参加した事がない勉強会にいきなりメッセージを送りつけるような事はしないように。この辺りのハウツーはYoutuberなどソーシャルネットワーキング事業者を参考にすると良いだろう。
また、オフラインだとケータリングの有無を気にしたくなるが、一見さんを呼び込むだけならあまり関係ない。
ケータリングの有無でA-Bテストをすれば、2回ぐらいで結果が見えてくるだろう。
逆に、爆発的に人を増やしたいわけではないが、参加者の質を担保したい場合は紹介制にする方法もあるが、エンジニアコミュニティに限らず入り口を制限すると参加者が集まりにくくなったり(特に既存のメンバーがなんらかの理由で参加できなくなる可能性は憂慮したい)類似のコミュニティに流れやすくなってしまうので注意が必要だ。
LT会の場合
いわゆるセミナー形式だと従来の講義に近いスタイル(ただし、彼らは教えるのが目的ではないため、理解度の確認などはしない)なので、Udemyなどで慣れたユーザーでもとっつきやすいと思うが、勉強会の醍醐味は参加者も発信できるという点にあることは改めて明言しておく。
特にLT会は参加者が主役になる事が多いため、LT会を初回勉強会にするのも良いだろう。
基本的にLT会の場合はセミナーとは違って自分が話したい事だけを短い時間内で一方的に話す場になるので、教えてもらうというよりはLTを受けて何を考え、また自身に気付きがあるかを見つめる場として使うのが良いだろう。
エンジニアコミュニティに参画する
せっかく勉強会に参加するなら、slackやdiscordをはじめ様々なコミュニティに参加・コミットしてみよう。
コミットといっても、いわゆるGitとかにコードを書いたり、翻訳したりというレベルではなく、単純にコミュニティメンバーや運営に協力するというレベルである。
筆者も様々なコミュニティで席を置かせていただいているが、散発的に話題が投下されて活性化しているとやはり嬉しいものだ。
信頼できるメンターを探す
勉強会に身を置くことと同じぐらい初学者にとっては大事なことだと考えて欲しい。
繰り返す。「勉強会とメンター探しは両立させよう」
多くの方に問いたいのだが、勉強会(セミナー)で学んだ内容をそのままにしていないだろうか?
聞くだけ勉強会に意味はない、とまでは言わないが効果は高くない。
ましてや分からない事をそのまま放置しているようではもったいない。
分からない事を調べて理解できたなら良いが、専門性が高まれば高まるほど分からなくなる。
特に「概念は分かった」が「何をやっているか分からない」のが一番の問題で、中途半端に理解できたような気がしてしまうだけに実質分からないまま放置していることに気付かない。
たとえば、これが詰め込み式研修だと講師の腕次第で後の単元で復習を前提にカリキュラムを進行させる事ができるが、これに慣れてしまうと「後で分かればいい」という姿勢になってしまうため、プログラミングスクールや新卒研修経験者ほど注意が必要になる。
(とはいえ、スクールや研修講師がそのままメンターにしやすいため、後述の問題が解決しやすいというメリットが大きい事も明記したい)
こういった事態を回避する方法として、「自分の理解があっているか他の人に確認してもらう」という習慣を癖にしてしまえば良い。
理想は勉強会の中で疑問をキャッチアップしてスピーカーに質問できることだが、時間によっては質問時間が取れなかったりそもそも質問ができる環境ではない(大規模なカンファレンス形式だと特に)ことが考えられるため、
特に具体的に何をやれば良いか、という点については登壇者の話を聞いているだけでは分からない事が多いため、質問をじっくりできる時間を確保するためにもメンターはいると学習効果が高まる。
副次的効果として、メンターがいるとエンジニアを辞めたくなった時に相談できるというのもポイントが高い。
技術力がありライフプランの相談もできるメンターを探すのはとても大変だが、エンジニアは想像以上に孤独な職業なので相談できる人がいる環境はインプットの質を上げる以外の効果が期待できることも大きい。
最近だとメンタリングのマッチングサービスもあるので、使えるものはなんでも使おう。
人生経験を積む
主に20代のIT以外未経験のエンジニアを想定する。
が、本項は誰にでも言える事ではあるが、あまり聞かないので言及したい。
エンジニアの業務とは、非エンジニアが使う業務用システムの構築や改修だったり、一般の方が使うような幅広い汎用アプリだったりと様々である。
システムの作り方や新しいサービスへの関心を持つ事は当然として、ユーザーがシステムをどのように使うのかを知る事もエンジニアのドメインスキルを高めるという観点では重要な事である。
平たく「人生経験」といったが、多くの場合は困り事の解決や便利さの提供だったり、システムと一口に言っても多岐に渡るので、様々な事柄に興味を持って色々な取り組みをしてほしい。
特に継続的に続けている趣味だけでなく、新しい事柄に関心を向けてみるとエンジニアリングの面だけでなく人生の充実度も高められる。…事もあるかもしれない。
手っ取り早く知見を得る方法
手っ取り早く知見を積む方法の一つとして、エンジニア以外の職業を副業する方法をおすすめしたい。
ただし、いわゆる「アルバイト」と同じ考え方になるぐらいならエンジニア職に集中した方が良いため、ある程度実力が伴ってから、かつプロジェクトがいつ炎上するか分からない状態である事は留意されたい。
また、こういった話をするとエンジニア職と一般職の待遇や給与が違いすぎるため、一般職を続ける方が難しいだろう。
一応、日本のエンジニア職のスキルマップ(ロードマップ)としてSE→PM職やコンサル職もあるので、最終的な着地点を意識した上で副業の職種を選びたい。
社会人コミュニティに参加する
何気にエンジニア(システムを作れる人)の需要が高い傾向にあるのが社会人コミュニティだ。
大体の場合はLINEグループを作ってそちらでコミュニケーションをしたりするが、複数のイベントが同時に並行する場合など話題が一つだけでない場合や、コミュニティメンバーでも特定の運営者だけが必要な場合に都度グループを作って…となると結構大変になる。
相互に連絡するだけなら良いが、たとえばイベント参加費が発生するような場合は予約のために名簿を作ったりもしなければならないので、アンケートや申請フォームなどを作るとなるとLINEで完結できなくなるため、途端にハードルが上がる傾向が見られる。
こういった問題をシステム面はもちろん、運用側を強く意識してのシステム化提案で手を挙げるとかなり頼りにされる。
いつもは実務で大きなシステムを作ることが多いと思うが、運用者も個人でtoCシステムを考えられる経験は貴重なので一度はやってみてほしい。
その他
他にも色々な方法でシステムと接する機会があるはず。
日常生活の中からシステムを探してみると面白そうだ。
特にゲームをはじめエンタメ関連は遊ぶ側から作る側になると色々な気づきが出てくるものだ。
ゲームの例ではないが、最近技術書典や技術博向けに本を書く機会があったが、その際も学びがあったのでこういった企画などに参加してみるのも良いだろう。
似たような催事だと、直近で大きなものはコミックマーケットなどがイメージしやすいか。
まずはアウトプットを伴わない内容でも良いので、様々な場に顔を出してみるところから環境構築につながる事もあるので、何事も関心を持って挑戦していってみてほしい。