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オリジナル教材作成を実際に作った話(toC:経緯)

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対象者

  • エンジニア講師(同業者)
  • これから講師になりたいエンジニア
  • 教材開発に興味がある方

ITエンジニアのスキルアップに貢献されている方にこそ、更なるスキルアップにご活用いただきたいというのが本旨である。

話さないこと

  • toCで案件の取り方
  • 教材作成のポイント
    • 本項では対象外だが、別記事で扱いたい

相談者ペルソナ

  • 30代男性
  • 本格的にExcelを学びたい
  • 独学である程度は分かったが、VLOOKUPの使い方が分からない

ココナラとかメンタとかで多かった層を想定。

前提

公開教材(Udemyなど)からコーチングサービスを展開しているケース。
予め教材を作っているため、教材辞退の質問などで相談に来たケースを含むが、大体は色々な相談に対して適用できる汎用性の高い教材を公開していて、相談者に対して教材を案内するケースを想定している。

次に、教材は関係なく相談者の質問に最適化した研修プランを立てる場合。
公開教材がなかったり、公開教材では対応できない要件を想定している。
この時に作った教材を便宜上カスタマイズ教材と呼びたい。

公開教材(汎用教材)

こちらは主に教材がある(自作を含む)ので、基本的に教材の話がベースになって教材がメインでの進行になるため、トークテーマが非常に明確で目的も同じ方向性であることが多い。

実はこちらについてはあまり書く事はない。
質問者は質問の目的や意図が決まっており、回答者は質問者の意図を組んで回答を考えたりしなくても良い。
後述のカスタマイズ教材を使用するパターンと違い、公開教材は質問者のやりたい事を80%満たせている程度であることが多いので、質問者からの相談は80%の範疇か、質問が教材の発展系か外にある内容かを見極める必要がある事がある。

カスタマイズ教材

こちらは何もない状態からクライアントの相談を受けて、クライアントがゴールに到達するための教材を作成する必要がある。

体験受講(初回)

1. ヒアリング

今回はVLOOKUPがテーマだが、「そもそも何を期待しているのか」を要求定義している。

  • なぜVLOOKUPをやりたいのか
    • 過去に実務でも使ったことがあるが、何をやっているか分からないから
    • 今後実務で使っていく予定があり、いまさら人に聞きにくいから
  • VLOOKUPが使えるとどうなるか
    • 仕事で同僚に都度聞くことがなくなる
    • Excelのスキルアップがしたい
  • 指導スケジュール(=予算)
    • 短期希望=予算は多くない

2. 初回体験

まずは要望に答えてVLOOKUPの解説から。
シンプルにVLOOKUPは

  1. 検索条件
  2. 検索範囲(表示も含む範囲を指定する。ただし検索条件の範囲が1列目にする)
  3. 列番号

と解説しても、分からない人が受講者になる。
特に「第二引数は第三引数の列を数値で指定するため、行だけでなく列も複数指定する必要がある」と言えば関数を体系的に理解している方は理解できるが、本当の課題は関数を体系的に理解するという発想であることが多い。

分かる方はここで卒業。おそらく独学でなんとかできる。
分からない方は「関数に入れる値がどうしてこういった仕組みになっているか、考えたことはありますか?」と聞いてみる。大体は疑問を持たず「そういうもの」として認識してしまっているので、この前提を崩してあげるところから始める。

3. 追加ヒアリング

いったんご要望を満たしたが、講義後に実務で使っていけるか?を聞いてみるところから始める。
特に課題だった「いまさら人に聞きにくい」という問題がある以上、覚えて使うのか理解して使うのかは掘り下げたい。
ヒアリングが難しい場合は、ここで何問かサンプル問題を作ってみてやってみてもらうのも良い。
すぐに問題を用意したい場合は検索してみたり、ChatGPTにデータつきでCSVを出力させる事ができるので、うまくプロンプトを描いてあげると良い。

ここで相談者が課題を感じる事ができれば次の話で、課題が解消できているなら万々歳である。

4. クロージング

もし受講を継続するなら、課題の共有と今後の方針を案内し、共感していただく。
この時にスケジュール(=予算)も確認して、現実的な学習プランをご案内する

ここで理系と文系の違いが露骨に出てくるので、あえて言及したい。
課題解決は理系の頭で処理しつつ、口と顔は文系のスタイルを意識する。
営業経験がある方は人によっては口酸っぱく言われて経験してきたかもしれないが、相手に合わせつつトークテーマは誘導し、しかしご自身で決定したと納得感を得られるようにYesと言っていただくようにする必要がある。
この辺りは営業ハウツー本や恋愛トーク本(既婚者を含む。むしろ既婚者だからこそ)を読むと非常に学びが多いのでお勧めしたい。

私が思うに、エンジニアはクロージングトークが下手くそ(=無勉強)なので、toCサービスで相談のお声掛けをいただくが成約に至らない場合は営業スキルを見直していただきたい。


教材作成はここから始まる

もし教材を持っていて、相談者の課題解決に使えるなら使っていくべきである。
ただし、教材ありきになると相談者が何のために相談に来たのか分からないのと、大体のサービスは利用者側が有料かつ報酬の2・3倍払っているので、そんな状況でいわゆる教材自慢をされる苦痛を考えて貰えば良い。
繰り返すが、教材ありきの講義は教材自慢にしかならない。

ゴールプランニング

ヒアリングで受けた内容を2回目の講義に向けて講義内容や教材作成に着手しそうになるが、講義をする事を目的にするのではなく、ヒアリングで聞いた内容または分析をしてゴールをしっかりと見極めよう。
先に言うと、ゴールプランニングをしてから講義計画を決めて受講者(この時点では相談者ではなく受講者になっているはずなので、表記を変えている)に共有してからOKが出てから作り始めるぐらいでちょうど良い。
ひどいケースだと、相談時点ではYesと言ったが、第二回の講義前か、入った頃に変更を言ってきたりする事もある。
その都度、ゴールプランニングをして受講者の希望に添いつつ、受講して効果を実感できるようにしたい。

今回のケースでは「VLOOKUPを使いこなせるようにしたい」という要望に対し「VLOOKUP以外の関数もしっかり使いこなせるようにする」というゴールを設定し、VLOOKUP以外にも見識を広げていただく事とした。

ゴールが決まったら?

ここで初めて教材を考えていく。
実際に教材を作成する順番は次回分(第二回)で良いが、教材の内容が講義時間中に終わるか、終わらないとして何回できるのか。
念の為、教材の内容を解説する事を目標にするのではなく、受講者が教材の内容を理解した上で活用できるのがゴールなので、これを踏まえて1回の講義で1単元が終わるようにしたい、

また、1回で終わるように講義計画を立てるが、実際にやってみるとなかなか理解に時間がかかったり解説に苦労したりと、思ったように進行しない事がある。
残りわずかなら次回に押し込んで、次回分の内容を若干削る方法もなくはない。

教材設計

この辺りからChatGPTが登場してくる。
具体的に言えば、市販教材でいうところの教材のレイアウトを考えていくフェーズになる。

大体の場合は概要と使用例があって、確認問題をいくつか用意するのが流れか。
あるいは、例題と問題という形にしてハンズオン形式でやってもらうのが習得速度が早く、理解についても正確だ、
ただし「こうすればこうなる」というようなフロー式で理解するのではなく、「こうだからこうする」と体系的に仕組みを理解するようにしないと、ゴールプランニングで設定した内容を満たせなくなるので注意だ。

これにプラス、受講者の満足度を追求していきたい。

教材を作るのを目的にしないこと

こう言った場では共感を得られるが、実際に受講者がつくと忘れがちになるので、本稿のような状況になったらぜひ思い出すためにご活用いただきたい。

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