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グロースエクスパートナーズAdvent Calendar 2021

Day 11

CAL1研修で学んだ、組織にアジャイルを浸透させるための3つの意外なアイディア

Last updated at Posted at 2021-12-10

こんにちは、Graatでスクラム導入やスクラムチームへのコーチングをしている斎藤です。
この記事は、グロースエクスパートナーズ Advent Calendar 2021 11日目の記事です。

さて、10/18(月)から10/20(水)に、認定アジャイルリーダーシップ I (CAL1)研修を受講させて頂き、ハイパフォーマンスな組織に変わるための組織モデルやリーダーシップモデルを学習しました。

この研修は、アジャイルやリーダーシップに対する私の理解を深めてくれたばかりでなく、普段の仕事の姿勢までも大きく見直すきっかけとなりました。

とりわけ印象的だったのは、マイケル・サホタ氏の意見は、私がアジャイルに抱いていたいくつかの考えと「正反対」だったこと。
はじめは驚いたものの、よくよく考えるといずれも一理あると納得できる意見であり、多角的にアジャイルを見つめ直す良いきっかけとなりました。
そこで、今回は研修での学習内容を、組織にアジャイルを浸透させるための3つの意外なアイディアとしてご紹介したいと思います。

    1. マネージャーのためにWBSを作るべし
    1. アジャイルチームは宣伝するべからず
    1. 構造よりも文化を変えるべし

1. マネージャーのためにWBSを作るべし

以前、マネージャーからの圧力によりWBSを作成することになり、すっかり活気を失ってしまったチームを目の当たりにしました。
その経験もあり、WBSが欲しいというマネージャーの要求には断固拒否すべきと考えていました。
しかし、サホタ氏の主張は、「WBSでもなんでも相手が欲しがるものはどんどん作ろう」という予想の斜め上のもの。
続けてサホタ氏は、「不安や恐怖を抱いた人は前頭前野の働きが弱まり思考停止に陥る」という脳科学の知見を紹介し、組織にアジャイルを浸透させるためには、まず、関係者の不安を取り除くことが重要だと語りました。
つまり、WBSや要件定義など作る理由は、マネージャーの不安を取り除き、ひいてはチームを守るためです(ちなみに、このようなチーム外の不安への緩衝材をアダプター(Adapters)と呼びます)。
受講者から、アダプター作成の労力に見合う価値があるのか? という疑問が挙がりましたが、彼によればアダプターをアジャイルチームで働くための「税金(tax)」だと捉えて欲しいとのことでした。

image.png

2. アジャイルチームは宣伝するべからず

「あなたはアジャイルを組織に広げたいスクラムマスターまたはマネージャーです。
担当するスクラムチームが成長し、成果を挙げるようになりました。
さて、次に何をしますか?」

研修中、上記テーマで参加者同士でディスカッションしました。
「他のチームにアジャイルチームの事例を発表する」ような、アジャイルチームを宣伝するニュアンスの意見が多数を占めました。

サホタ氏は主張はこうです。
それが「罠(Trap)」なのだと。

チームの宣伝が良くない理由は、自分のチームを「イケてる」と宣伝することは、無意識に相手を「イケてない」と否定することにつながり、相手から反発を招く要因になるためです。
さらに、サホタ氏によれば、アジャイル組織にふさわしい文化とは「X理論・Y理論」におけるY理論であり、そこでふさわしい振る舞いは「プッシュ(Push)=押しつける」ではなく「プル(引き出す)」です。
チームを宣伝することは、無意識に相手に「押しつける」ことにつながり、あるべき文化や振る舞いからかけ離れてしまう意味でもNGとのことでした。
ちなみに、この場合にサホタ氏が推奨する振る舞いは、「チームを極秘にする」。
チームを極秘にすることで相手の好奇心を掻き立て、「あなたのチームについて教えて欲しい」と聞かれる瞬間をじっと待て、というのがサホタ氏の意見でした。

3. 構造よりも文化を変えるべし

「あなたはアジャイルを組織に広げたいスクラムマスターまたはマネージャーです。
プロセスやプラクティスなどの戦術的側面、組織構造や給料などの戦略的側面、ビジョンや価値観などの文化的側面、あなたはどこに焦点を当てますか?」

参加者同士のディスカッションでは様々な意見が出ましたが、私含め多くの参加者の意見は組織構造や給料などの戦略的側面でした。

しかし、サホタ氏によれば、焦点を当てるべきは圧倒的に文化とのこと。
なぜならば、画像の通り、目には見えない、海面下にある文化こそが組織の大きな土台であり、組織や人々の振る舞いに大きく影響を与えるからです。

image.png

サホタ氏によれば、プロセスや組織構造などの中心にある結節点が文化なのです。
「文化が育っていれば、どんな組織構造でもそれを乗り超えること(ハック)ができるが、逆は難しい」というサホタ氏の主張はなるほどと思いました。

おわりに

今回は、認定アジャイルリーダーシップ I (CAL1)研修での学習内容を、「組織にアジャイルを浸透させるための3つの意外なアイディア」としてご紹介しました。
いかがでしたでしょうか? 私自身も全てのアイディアに対し100%賛同できたわけではありませんし、賛否が分かれる内容だと思います(たとえば、「3. 構造よりも文化を変えるべし」という主張は、別の研修(認定LeSS実践者研修)で教わったクレイグ・ラーマンの法則の「組織構造が文化を作ります」という主張と対立します)。
それで良いのです。
組織にアジャイルを浸透させるためのアイディアは無数にありますが、「銀の弾などない」との言葉通り、常に正しいアイディアはありません。
アジャイルマネージャーやアジャイルコーチやスクラムマスターは、その中からアイディアを作成し、選択し、実験し、その繰り返しの中で組織に徐々にアジャイルを浸透させていけば良いのですから。
今回ご紹介したアイディアが、アジャイルマネージャーやアジャイルコーチやスクラムマスターがアジャイルを組織に浸透させる際のヒントになれば幸いです。
また、CAL1研修も組織におけるリーダーシップが興味ある方は、とてもおすすめの研修なので、ご興味あればぜひ受講を検討してみてください!
みなさんからのコメントやご意見があれば、是非、お願いします。

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