本シリーズは OpenAI Codex CLI を任意のプロバイダー(Ollamaなど)に接続し、
独自のプロキシを実装することで柔軟に運用できるようにするためのノウハウをまとめたものです。
OSSモデルの利用から始まり、ストリーミング対応・エラーハンドリング・監視基盤連携・マルチテナント対応まで、
一連の開発フェーズを「ハンズオン記事」として順序立てて解説しています。
記事一覧と詳細解説
1. OpenAI Codex CLIで任意のプロバイダーを利用する方法 〜Ollamaでgpt-ossを使う〜
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概要
Codex CLIを単なる「OpenAI公式モデル専用クライアント」ではなく、任意のプロバイダーに接続できるよう拡張する最初のステップ。
本記事では、OSSモデルをローカルで動作させる Ollama を対象に、gpt-oss
を実際にCLIから利用する方法を紹介しています。 -
ポイント
- Codex CLIの構造と、どの部分を差し替えると外部プロバイダーに繋がるか。
- OllamaのセットアップとCLIとの接続例。
- gpt-ossを動かすための実際の設定サンプル。
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対象読者
OSSモデルやローカル環境を用いて、まずは「手軽に」Codex CLIを拡張してみたい開発者。
2. Codex CLI用 自作プロキシの詳細実装編
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概要
CLIと任意のプロバイダーを接続する「自作プロキシ」の実装方法を徹底解説。
前回のOllama接続をさらに一般化し、どのプロバイダーでも使えるように設計を見直しています。 -
ポイント
- 自作プロキシの役割と全体アーキテクチャ。
- HTTPリクエスト/レスポンスの流れを踏まえたコード実装例。
- セキュリティ(APIキー管理やリクエスト検証)の基本。
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対象読者
単なるサンプル利用を超え、自分の環境に合わせた柔軟なCLI接続を実現したい開発者。
3. Codex CLI用 自作プロキシ拡張編 〜ストリーミング対応とリトライ戦略〜
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概要
実運用で不可欠となる「ストリーミング出力」と「エラーリカバリ(リトライ戦略)」を解説。
ユーザー体験の向上と、長時間実行・不安定ネットワーク下でも動作できる堅牢性を実現します。 -
ポイント
- OpenAI互換APIでの
stream:true
の仕組みと、逐次出力の扱い方。 - deltaレスポンスをクライアント側で結合する方法。
- APIエラーに対する指数バックオフリトライやタイムアウト制御の実装例。
- OpenAI互換APIでの
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対象読者
CLIを「遊び」ではなく「業務」レベルで使いたい人、安定稼働を求めるSaaS/サービス開発者。
4. Codex CLI用 自作プロキシ 運用編 〜監視とメトリクス収集(Prometheus/Grafana連携)〜
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概要
運用フェーズに突入すると必要になるのが「監視と可視化」です。
本記事では、Prometheusでのメトリクス収集とGrafanaでの可視化を組み合わせ、
利用状況(リクエスト数、レスポンス時間、トークン使用量など)をリアルタイムにモニタリングできる仕組みを構築します。 -
ポイント
- Prometheusエクスポーターの導入と、メトリクスの定義方法。
- Grafanaでのダッシュボード作成例(トークン消費・エラー率の可視化)。
- 運用チームでのアラート通知(SlackやPagerDuty連携)方法。
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対象読者
チームでCLIを共有・利用するケースや、コスト管理・可用性監視が必要なシナリオ。
5. Codex CLI用 自作プロキシ 運用編 〜マルチテナント対応とアクセス制御〜
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概要
企業利用やチーム利用では、単一テナントでの利用では足りません。
本記事では、複数テナントを安全に扱える仕組みや、ユーザーごとのアクセス制御を導入する方法を解説します。 -
ポイント
- テナントごとのAPIキー・利用ポリシーの管理方法。
- RBAC(Role-Based Access Control)や属性ベース認可(ABAC)の設計例。
- 管理UIのモック(React/Next.js)や、Terraform/Helmによる設定自動化の紹介。
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対象読者
SaaSプロバイダーや大規模利用を前提にした開発者、セキュリティ/ガバナンス要件を意識する組織。
シリーズ全体の流れ
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導入編
- Codex CLIにOllamaを接続して「まず動かす」。
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実装編
- プロキシの内部構造を理解し、自分のプロバイダーに適用。
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拡張編
- ストリーミングやリトライを実装して安定運用へ。
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運用編①
- Prometheus/Grafanaで監視基盤を整備。
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運用編②
- マルチテナント対応やアクセス制御で企業利用へ拡張。
まとめ
このシリーズを通じて、読者は以下を学ぶことができます。
- Codex CLIの構造を理解し、任意プロバイダーに接続する方法
- 実運用に耐えるプロキシ実装(ストリーミング、リトライ、監視)
- チーム・エンタープライズ利用を想定した拡張(マルチテナント、アクセス制御)
最終的には、単なる「CLI拡張」にとどまらず、
OSSと商用サービスの橋渡しを行うプロキシ運用ノウハウ を習得できる構成になっています。