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企業や団体におけるオープンドキュメント形式(ODF)利用ガイド

Last updated at Posted at 2019-12-22

企業・団体におけるオープンドキュメント形式(ODF)の利用について

このガイドは、オープンドキュメント形式(Open Document Format:ODF)標準の概要とODFに準拠したソリューションの選択について解説をしています。

2018年12月18日公開

ODF標準は、デスクトップPCやラップトップPC、携帯電話、タブレットなど、ほとんどのオペレーティングシステムで利用できます。オープン標準委員会は政府全体でODF 1.2標準の利用を選択しました。なぜ、政府はODF 1.2を選択したのでしょうか:

  • サプライヤーは「オープン標準」の採用により相互運用可能なオフィスソリューションを生み出せます
  • 一般的なサイバー攻撃から守るために厳格なセキュリティチェックを行うことができます
  • ODFは低コストまたは無償で利用できITコストを削減できます
  • 行政、市民、企業やその他団体が同じ文書を共有できるようになります
  • 行政職員と文書を共有して共同作業が行えるようになります
  • 支援技術を含め幅広いソフトウェアと互換性があります
  • 文書に電子署名を追加できます
  • 強力な汎用メタデータ(付加情報)システムを備えてます

ODF準拠ソリューションの選択

ODF準拠ソリューションを選ぶときは、ユーザーのニーズを考慮してください。あなたがすべきこと:

  • 「サービスマニュアル」のユーザー調査ガイドを利用しましょう
  • 十分な時間と適切な参加者を確保して、ユーザー調査の計画を立てましょう
  • さまざまな調査手法を使いましょう
  • 業務プロセスを改善するためのODFソリューションを検討しましょう

選択したODFソリューションは、アクセシビリティも配慮してください。アクセシビリティに配慮した製品やサービスを購入する場合は、EN 301 549 標準に従ってください。

アクセシビリティの例について、より詳しい情報はサービスマニュアルまたはWorld Wide Web Consortium (W3C)をご覧ください。

ODF互換ソフトウェア

ODF標準と互換性のあるソフトウェアツールは、いくつかあります。これは完全なODF互換ソフトウェアツールのリストではなく、ほかにも選択できるソフトウェアやツールがあります。

Macオペレーティングシステム

Macオペレーティングシステム上で利用できるODFツールは以下になります:

Windows オペレーティングシステム

Windowsオペレーティングシステム上で利用できるODFツールは以下になります:

  • LibreOffice
    • このアプリケーションには、ウェールズ語ユーザーインターフェースと辞書が用意されており、ウェールズ語で作業とスペルチェックができます。Mae
      rhyngwyneb Cymraeg ar gael ar gyfer y cymhwysiad hwn yn ogystal â geiriadur Cymraeg er mwyn i chi allu gwirio’r sillafu wrth weithio yn yr iaith.
  • Collabora Office
  • Collabora Online
  • Microsoft Office
    • このアプリケーションには、ウェールズ語ユーザーインターフェースと辞書が用意されており、ウェールズ語で作業とスペルチェックができます。Mae rhyngwyneb Cymraeg ar gael ar gyfer y cymhwysiad hwn yn ogystal â geiriadur Cymraeg er mwyn i chi allu gwirio’r sillafu wrth weithio yn yr iaith.

Linuxオペレーティングシステム

Linuxオペレーティングシステム上で利用できるODFツールは以下になります:

  • AbiWord
  • Gnumeric
  • LibreOffice
    • このアプリケーションには、ウェールズ語ユーザーインターフェースと辞書が用意されており、ウェールズ語で作業とスペルチェックができます。Mae rhyngwyneb Cymraeg ar gael ar gyfer y cymhwysiad hwn yn ogystal â geiriadur Cymraeg er mwyn i chi allu gwirio’r sillafu wrth weithio yn yr iaith.
  • Collabora Office
  • Collabora Online

Androidオペレーティングシステム

Androidオペレーティングシステム上で利用できるODFツールは以下になります:

iOSオペレーティングシステム

iOSオペレーティングシステム上で利用できるODFツールは以下になります:

Webおよびクラウドベース・オフィスソフトウェア

WebおよびクラウドベースのODFツールは以下になります:

その他ツール、アドオン、サービス

これらのツールにはODF 1.2サポートが含まれています:

  • ViewerJSなどのWebビューアーを利用すると、WebサイトからODF文書の閲覧ができるようになります
  • メタデータ除去ソフトウェアには、DatadistillerMetaCleanがあります
  • Google検索エンジンは、OpenDocumentテキスト(.odt)、表計算(.ods)、プレゼンテーション (.odp)や、その他ODF拡張子のファイルとそのコンテンツ内容の検索もおこなえます

サプライヤーがホスティングするODFサービス

リモートサービスとして利用可能なODFソリューションがいくつかあります。これらが含まれます:

サプライヤーは、サポート付きソリューションやクラウドプロバイダーがホスティングするソリューションを提供できます。利用する場合は、組織や外部ユーザーのセキュリティーとプライバシーも考慮してください。

ODF準拠ソリューションの購入

選択したソリューションは、プロプライエタリソフトウェア、自由・オープンソースソフトウェアにかかわらずODF標準に準拠しているか確認してください。文書編集に利用するアプリケーション、製品、またはサービスを購入する場合は、次のことも確認してください:

  • 入札公告文に「ODF準拠」することを含める
  • 技術要件に「ODF準拠」することを明記する
  • アプリ、製品、またはサービスは文書作成からアーカイブ化までの完全な文書ライフサイクルにおいて互換性があること
  • アプリ、製品、またはサービスは、クロスプラットフォーム上で作業可能であること
  • 他のファイル形式に依存してODFの利用を制限しないこと

閲覧専用の文書は、PDF/Aのような行政文書閲覧におけるオープン標準に準拠する必要があります。

コマーシャルファンクションでは、サービスやサポート契約のない自由ソフトウェアを調達とみなさない場合があります。ライセンスにサービスやサポートを追加する場合、通常の調達規約が適用される場合があります。
(訳注: The commercial functionとは、なんでしょうか?わからなかったのでそのままにしてますが教えてください…。)

プラットフォームの選択

統合プラットフォームの選択は、ユーザーのニーズによって変わります。プラットフォームは、Webベースまたはオフィスアプリケーションから選択できます。Webベースのソリューションを選択した場合は、ユーザーのデバイスにインストールや更新作業をする必要はありません。また、ソフトウェアには次の特徴があります:

  • 複雑ではない
  • デスクトップPC以外でも使用できる
  • ユーザーによるエラーが発生しにくい

リッチテキストの編集やグラフの作成、企業ブランドを追加したい場合は、オフィスアプリケーションのほうが適しているでしょう。これらの機能は、専用のソフトウェアコンポーネントを利用して統合できます。例:

  • Aspose API
  • デスクトップ、サーバー、サーバーサイドWebアプリケーション

ODF準拠ソリューションへの移行

ODF移行時に、あなたがすべきことは:

  • すべてのソフトウェア・アプリケーションの一覧を作成し、それらとODFを統合する方法を確認してください
  • 文書が他の組織の人々と引き続き共有できるか確認してください
  • ODF移行にあたり、ユーザーが、そのメリットやODF文書作成ソフトの使い方を理解しているか確認してください
  • 選んだソフトウェアがODF標準に準拠しているかテストしてください - テストに利用できるものとしてはOpenDoc Societyが提供する無償のオンライン検証ツールがあります

ODF準拠ソリューションのセキュリティ

文書セキュリティの脅威としては次のものがあります:

  • 電子メールで送られた文書の不正傍受
  • コンピュータやネットワーク上にある文書への不正アクセス
  • 文書改ざん

ODF文書セキュリティの脅威を最小限に抑えるには次のことを行います:

  • National Cyber Security Centre (NCSC)のガイドに従う
  • 一般的なサイバー攻撃でよく使われるマクロの利用は避ける
  • マクロの代わりにセキュリティ調査済みのアドオンや拡張機能などを使用し、新しいマクロを作成するオプションを無効にする
  • 文書の暗号化や電子署名を利用して文書へのアクセスを制限する
  • 文書の保護機能を利用して偶発的なコンテンツの編集を防ぐ(低レベルのセキュリティのみの提供)

ODF準拠ソリューションのシステム統合

エンタープライズツールを利用してODF準拠ソリューションへの統合を進めます。エンタープライズツールには次のようなものがあります:

  • 前処理の例としては、ケース管理システムの情報を利用して手紙テンプレートの作成などができます
  • 後処理の例としては、電子署名の追加や文書への注釈をつけることができます

作業と工程の自動化

ODFの作業と工程の自動化は容易かつ低コストで行えます。マクロはセキュリティと相互運用性の問題を起こす可能性があるので利用しないでください。

ODFでできる文書作成と自動化:

  • 工程の中での非定型作業
  • 繰り返し作業
  • ビジネスデータからレポートやプレゼンテーションの作成

記録と文書管理

文書は収集するだけではなく信頼できるデータベースとして保存、管理をする必要があります。データベースは、次のことを維持してください:

  • 構造化
  • 完全性
  • アクセス可能性
  • 自動化

メタデータ(付加情報)を使用した文書履歴の記録

データの品質を保証して提供するためには、文書の変更を記録しておきます。ODFは、メタデータを利用して文書のライフサイクル全体にわたって変更を追跡できます。

メタデータを付加するためには次のことを行ってください:

  • 文書テンプレートを設定しておき、テンプレートの置き換えで更新が簡単にできるようにする
  • 文書の一部を自動化ソフトウェアが変更する場合は、その場所を明確にする
  • 利用しているソフトウェアに、meta:generator(生成)タグやその他関連するメタタグを設定をする
  • バージョン管理を規定で有効にする
  • 情報の整合性を維持する必要がある場合は、文書に電子署名を追加する
  • ユーザー変数やスクリプトタグ内といった論理的な場所にスクリプトやプレースホルダーの命令を配置する

バリアブル印刷

バリアブル印刷には大量の文書を印刷することも含まれます。バリアブル印刷を行うにはODF文書をPPML (Personalised Print Markup Language)に変換する必要があります。PPMLは、大量の文書印刷を高性能で行うための標準規格です。

ODF準拠ソリューションのセットアップ

利用しているソフトの文書を保存するとき、ODFが規定の保存形式になっていないことがあります。その場合は「名前をつけて保存」「名前をつけてダウンロード」「エクスポート」機能のいずれかを使って文書を保存する必要があります。

ODFテンプレートとスタイルの作成

組織は多くのテンプレートを使いますが、そのほとんどは元となる小さなテンプレートセットから派生しています。元となるテンプレートの変更が必要な場合は、派生したテンプレートも変更する必要があります。

新たにODFテンプレートを作成するときは次のことを確認してください:

  • 技術的な問題がない
  • 一般的なアプリケーションで利用できる
  • テンプレートは適切な名前とバージョン設定を採用している
  • テンプレートは共通して利用されるフォントとサイズを使用している
  • すべてのプラットフォームで利用できないフォントはテンプレートに埋め込んである
  • テンプレートは支援技術を利用するユーザーにも適している
  • テンプレートがODFの仕様に合致しているかバリデーターを使って確認をする

古いテンプレートを変換する場合は次のことも必要です:

  • 工程の各段階でチェックする
  • マニフェストが完全であることを確認する
  • すべての参照スタイルを定義する

ODFテンプレート文書には以下のファイル拡張子がつけられています:

  • .ott (ワープロ)
  • .ots (表計算)
  • .otp (プレゼンテーション)
  • .otf (数式)
  • .otg (グラフィック)
  • .otc (グラフ)
  • .oti (画像)
  • .oth (HTML出力)

スタイルは、特定の文書要素の全部または一部に適用できる書式設定プロパティです。スタイルを使って書体やフォントサイズ、余白、背景、言語といった書式を指定します。

テンプレートや文書生成ソフトウェアが生成する文書のフォント、文字色、背景、文字間隔などを手動で変更してはいけません。スタイルや見出しを使って支援技術や検索エンジン、PDFジェネレーターが必要な情報を失わないようにしてください。

スタイルを作成して文書に適用すると次のようなことができます:

  • 文書内で一貫したコーポレート・アイデンティティを保てます
  • 文書構造を維持できます
  • 支援技術を利用して、すべての人がアクセス可能な文書が作成できます
  • 文書を音声コンテンツといった他のコンテンツに変換する作業を自動化できます。
  • 形式や書式の管理にとらわれることなく、良いコンテンツの作成に集中できます

拡張機能、プラグイン、カスタムソリューションがODF標準を満たしているか確認

拡張機能やプラグイン、アドオンを利用すると選択したオフィス生産性ツールの機能を強化できます。これらの追加によりソフトがODF標準にどのような影響を与えるか認識しておく必要があります。ODF準拠文書の形式には2つの種類があります:

  • ODF準拠形式
  • ODF拡張準拠形式

文書は可能な限りODF準拠形式で作成してください。ODF拡張準拠形式で作成すると相互運用性の問題が発生し文書の扱いが複雑になります。

拡張機能、プラグイン、アドオンの開発をする必要がある場合は、既存のODF操作ライブラリの利用を検討してください。

画像・グラフィックプラグイン

画像・グラフィックプラグインは、常に汎用的な方法を使用して文書内の描画領域に挿入する必要があります。これによりODF標準に準拠するアプリケーションは画像を表示できます。

あなたが提供すべき形式:

  • 鮮明な画像とアクセシビリティのためのベクター画像 (Web標準のSVGを使用)
  • 基準となるビットマップ画像 (Web標準のPNGを使用)
  • カスタムファイル形式 (base64でエンコード)

画像には概要の説明などの情報を追加してアクセシビリティに配慮してください。プラグインにユーザーインターフェイスがある場合は、そのプラグインもアクセシビリティに配慮されているか確認をしてください。

商用プラグインを利用する場合は、サプライヤーに連絡をしてアクセシビリティに配慮されているかを確認します。オープンソースとして開発されるプラグインでアクセシビリティに配慮されていない場合は、プロジェクトに要望をしたり開発に協力しましょう。

ODF表計算と数式

ODF 1.2には、OpenFormulaが含まれており、準拠したアプリケーションには標準的な数式セットが含まれています。

OpenFormulaは4つの異なるレベルがインストールできます:

  • 最小 - 通常利用される表計算関数の最小機能を提供
  • 最小デスクトップ - 一般的なデスクトップ表計算に期待される最小限の機能を提供
  • 基本 - 一般的なデスクトップ表計算の利用に必要なすべての機能を提供
  • 完全 - 基本レベルと上級ユーザー向けの機能を提供

最も一般的なレベルは、「最小」および「最小デスクトップ」です。これらには、ほとんどのユーザーが必要とする機能がすべて提供されます。

「基本」および「完全」は、古いアプリケーション固有の問題に対応するために下位へ準拠させることができます。表計算内の数式は下位準拠機能に依存しないように変換しておくことをおすすめします。

ODF 1.2に変換をするときの問題は、歴史的な製品の機能を割り当てられない場合に発生します。Microsoft ExcelからODFへ変換するときには、いくつかの機能が失われることもあります。Microsoftは、ODFとExcelとの相違点リストを提供しています。

変換に問題が発生した場合は次のことを行ってください:

  • 最新バージョンのソフトウェアでテストを行い問題が無いか確認をする
  • 問題を解決できるプラグインまたはアドインがあるか確認をする
  • サプライヤーに、なぜ機能が動作しないのか、いつ機能が直るのかを尋ねてみる
  • 製品の修正やプラグイン、アドオンの作成を行うサポートを受けることを検討する
  • ニーズに合った別のDTPツールを選択する

ODFユーザーのサポートとトレーニング

ODFユーザーは大きく3つのグループに分かれ、それぞれ必要なサポートとトレーニングが異なります:

  • オフィス生産性ツールのユーザー
  • 独自形式に基づくツールからの移行が必要な技術チーム
  • ODFに基づいたソフトウェアの統合または拡張をする開発者

ODF互換ツールは、ほとんどのオフィスアプリケーションは似ているので幅広いトレーニングを提供する必要はありません。

ツールのアップグレードや入れ替える場合は、ユーザーを調査してユーザーが新しいツールについてどれだけ理解をしているか確認してください。ユーザーが必要とするトレーニングが把握できれば、次のような事が提供できます:

  • オンラインでの自己学習
  • 商業出版された資料の利用
  • オープンなコンテンツのカスタマイズや再編集、再配布して利用
  • スーパーユーザーからのサポート - 専門家ネットワーク
  • サードパーティが提供するトレーニング

一部のサプライヤーは、オープンソースODFソリューションのサポートとトレーニングを提供しています。長期的な開発やトレーニングの要望がある場合は、独自に開発者やトレーナーを雇用することもできます。

オープンソースを利用したソリューションを初めて開発する場合、次のようなことをしましょう:
(訳注:日本ではLibreOffice-ja discussメーリングリストで相談されるのがいいと思います)

  • 同僚に助言や指導をしてもらう
  • 助けてもらえる上級ユーザーを探す
  • 他の組織と協力して資金の調達と知識の共有をする
  • コミュニティの専門家に助言を受ける
  • OpenUKに相談してODF専門トレーナーを探す
  • オープンソースの資料を維持管理をしているOpenforum Europeを参照する
  • Officeshotsといったツールの提供やODF Plugfestのイベントを主催するOpenDoc Societyに連絡を取る

ODF標準の開発に参加する

ODF標準について提案または質問をしたい場合は以下のことが可能です:

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