「ウェブ解析士 認定試験公式テキスト2019 第10版」に準じています。
##①クッキー法(eプライバシー規制)
・クッキー利用を個人にオプトインするか、クッキーの情報を提供しない方法を明示する
・クッキーの利用目的・第三者提供先・保存期間を明示する
・クッキーを含むデータ保護最高責任者を明示する
※Googleアナリティクスでは責任者とログデータの保存期間を決めることができる
##②不正アクセス禁止法
■他人のパソコンを無断で操作したり、侵入したりすることを防止するための法律
■不正アクセス行為を行った者は3年以下の懲役または100万以下の罰金に処される
■アクセス管理者(サーバーなどを管理する管理者)に罰則はない
【禁止事項】
・他人のIDやパスワードを利用する
・セキュリティホールへの攻撃などによってアクセス制限機能を回避してコンピューターの機能を無断で利用する
・識別符号(IDやパスワード)を本人以外に提供する
・不正に取得した識別符号を管理する
【不正アクセス対策】
・アクセス解析、ウェブサイト、広告などのASPサービスの管理画面の操作では、必ずアクセス管理者であるクライアントの許可を得てからクセスする
・IDやパスワードを厳重に保管し、漏洩してはならない
・クライアントのウェブサーバーで必要な防御措置がなされていない場合、適切な措置を勧める
・コンピューターネットワークのログを監視して、不自然な頻度やシステムへのアクセスを調べ、必要ならら接続者に確認を行う
##③個人情報保護に関する法律(個人情報保護法)
■プライバシーなどの重要な人権を侵害することを防ぐため、個人情報の有用性に配慮しつつも、プライバシーを侵害しないように個人情報の適切な取り扱いを定めた法律
■個人情報の管理は件数規模にかかわらず義務化されている
■公開された情報も個人情報として取り扱うが、利用用途を特定して明示すればデータとしてマーケティングに応用できる
【個人情報とは】
①氏名、生年月日などにより特定の個人を識別することができるもの。
ほかの情報と容易に照合でき、それにより特定の個人を識別できることになるものを含む。
例:免許証、パスポート、官報、電話帳、職員録、インターネット上に存在する場合(情報が公知のもの)
②個人識別符号
A:身体の一部の特徴を電子計算機のために変換した符号(DNA、顔、虹彩、声紋、歩行の態様、手指の静脈、指紋、掌紋)
B:サービス利用や書類において対象者ごとに割り振られる符号(旅券番号、基礎年金番号、免許証番号、住民票コード、マイナンバー、各種保険証)
【2017年5月施行 改正法第1章第1条】
・利用目的を特定して、その範囲で利用する
・利用目的を通知または公表する
・漏洩などが生じないよう、安全に管理する
・従業者、委託先にも安全管理を徹底する
・第三者に提供する場合は、あらかじめ本人からの同意を得る
・第三者に提供した場合、第三者から提供を受けた場合は記録する
・本人から開示などの請求があった場合はこれに対応する
・苦情等に適切、迅速に対応する
##④不正競争防止法
■営業や競争の公正を確保するために制定された法律。
■不正競争行為に抵触する場合、民事上の請求と刑事罰が処せられる可能性がある
【禁止事項】
・競合の社員から取引先情報や顧客情報、ビジネスを運営する上でのノウハウを入手すること
・虚偽の事実を告知して他社の信用を害する行為
・産地や品質を誤認させるような表示をする行為
・他社のサービスと誤認を促すようなドメインの不正取得
【ウェブマーケティングにおいて法律違反に問われる可能性があるもの】
・他社の顧客情報を不正で入手
・ユーザーが混同するような類似名でウェブサイトを立ち上げる
【注意事項】
ウェブサイトの名称や商品名・サービス名が、他人の商品・営業(商品などの表示)として
一般に広く認識されているものと同一または類似の表示になっていないか注意を払う。
##⑤薬機法
■2014年に「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律」=「薬機法」に変更
■「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器及び再生医療等製品」の4種について安全性と身体への有効性を確保するための法律
■研究開発の促進のために必要な対策を行い、保健衛生の向上も目的としている
■日々改正されており、メディアや都道府県によっても運用が異なる
【主な規定】
・4種に当てはまる販売対象物や販売形態などに応じた許可を得なければならず、行政の承認を得ないと広告することができない
・効果、効能の表示もかかる承認を受けた製品についてしか行えない
・野菜、牛乳、調味料などの明らかな食品については、薬機法の適用はないので、効果・効能の表示が可能な場合がある
・健康食品で、行政の承認を得ていない製品については、効果や効能をウェブサイトに掲載したり、広告を掲載することはできない
【健康食品における打ち消し表示】
健康食品を使用した場合の体験を表現するような場合に個人の体験である旨のいわゆる「打ち消し表示」を行う例が多いが、
消費者庁が打ち消し表示に問題がある旨の調査報告を行っており、今後は慎重な対応が必要とされている。
【違反・抵触した場合】
・行政から警告を受ける
・罰金や懲役に処される
・リスティング広告の掲載の際には、審査により掲載を断れる
【対策】
・製品が行政側の承認を得ている場合、より分かりやすくなるようにウェブサイトを見直す、追記する
・医薬品や医療部外品と誤解されないように表現を変更する
・行政担当部署(薬事監視指導課など)や弁護士などの意見もあおぎなら対策を行う
##⑥あはき法
「按摩マッサージ指圧師、鍼師、灸師などに関する法律」の略。
【按摩マッサージ、鍼、灸】
医師以外が治療を目的とした場合、各々の免許取得が義務づけられている。
※按摩(あんま)、鍼(はり)、灸(きゅう)
【エステ、アロマテラピー、カイロプラクティック】
治療を目的としたマッサージができると広告した場合は法律違反となり、50万以下の罰金が課される。
【トリートメント、リラクゼーションマッサージ】
サービスの定義が明確でないので、事前に行政担当部署に相談することが望ましい。
##⑦知的財産権
発明や創作によって生み出されたものを、発明者の財産として一定の期間保護する権利。
インターネット上のコンテンツも知的財産権として保護されるものが多く含まれている。
##⑧著作権
■画像、文章、動画、音楽などのコンテンツは一般的に著作物となり、著作者にはさまざまな権利が生じる。
■外部の会社に制作を委託した著作物は、その著作権を譲り受ける契約をする必要がある。法律では、納品されても、著作権がなければアップロード不可。
■ウェブ制作会社が著作権を行使しないことも明記する。
■プログラムは、著作権は留保する代わりに、指定したウェブサイトでの使用権のみを認める契約が多い。
【著作権】
・複製権
・公衆送信権=インターネットへのアップロード権
・著作財産権(法律上自動的に生じる権利)=著作権
・著作者人格権(法律上自動的に生じる権利)
【産業財産権】
・特許権
・実用新案権
・意匠件
・商標権
##⑨景品表示法
不当表示・景品から消費者を保護することを目的とした法律。
【不当表示】商品を実際よりよく見せかけるように表示すること。
①優良誤認表示:内容について著しく優良であることを一般消費者に示す表示
②有利誤認表示:価格や取引条件について著しく有利であることを一般消費者に示す表示
③その他内閣総理大臣が指定する表示:商品の原産国、おとり広告、有料老人ホームに関する不当表示
【不当景品】過大な景品類を提供すること。
①一般懸賞:くじなどの偶然性、特定行為の優劣性によって景表提供するもの。
取引金額が5000円未満なら最高額は取引金額の20倍
取引金額が5000円以上なら最高額は10万円
総額は懸賞の売上予定金額の2%
②共同懸賞:共同して景品提供すること。
最高額は取引金額にかかわらず30万円
総額は懸賞の売上予定金額の3%
③総付景品:もれなく提供される景品のこと。
取引金額が1000円未満なら最高額は200円
取引金額が1000円以上なら最高額は取引額の10分の2
【違反した場合】
消費者庁が調査を実施し、3種の措置がとられる。
「措置命令」:違反行為が認められた場合、不当な表示を止め、再発防止策を取るよう命令
「警告」:違反のおそれのある行為が認められた場合
「注意」:違反につながるおそれのある行為が認められた場合
##⑩特定電子メール法(迷惑メール防止法)
■あらかじめ同意していた者のみ広告宣伝メールの送信が認められる「オプトイン方式」が義務づけられている。
■受信拒否をした者への再送信は禁止。
【送信者が開示すべき情報】
①送信者の氏名または名称
②受信拒否の通知を受け取る手段
その他総務省令・内閣府令で定める事項
【違反した場合】
・送信者情報の偽装:1年以下の懲役または100万以下の罰金が処される
・その他義務の違反:行政から是正措置命令が発される。法人では3000万円以下の罰金が処される
##⑪特定商取引法
以下を規制し、消費者保護を目的とした法律。
①訪問販売
②通信販売
③電話勧誘販売
④連鎖販売取引(=マルチ商法)
⑤特定継続的役務提供(エステ、語学教室、結婚相手紹介サービス、パソコン教室)
⑥業務提供誘引販売(=内職商法)
⑦訪問購入
ウェブマーケティングでは、返品規約の取り扱いやウェブサイトに明示すべき情報の表示義務について留意する。
##⑫民法改正
■2020年4月1日に施行される改正民法では、債権法の内容が大きく変わる。
■業務委託契約書という名称の契約書であっても、法律的には請負規約か準委任契約のどちらかになる。
■改正点よりも、個別の契約書における定めが優先される。
【請負契約の変更点】
①瑕疵担保責任の条文は削除され、仕事の目的物が契約の趣旨に適合しない場合の契約不適合責任に置き換わる。
②契約不適合があった場合、クライアントは報酬減額請求が可能になる。
③契約不適合があった場合でもそれが軽微な場合にはクライアントは契約解除ができない。
④契約不適合を知ってから1年以内に通知を請負人に送れば不適合責任を追求できる。(改正前:引き渡しから1年間で瑕疵担保責任は追求できなくなる)
⑤瑕疵の補修が不可能でない限り、補修請求が可能になる。(改正前:補修に過分の費用を要し、瑕疵が重要でない場合、クライアントが瑕疵の補修を請求することは認められなかった)
⑥請負人の過失が損害賠償の要件になった。(改正前:請負人は無過失であっても損害賠償責任を負っていた)
⑦仕事が未完成の場合でも、請負人が割合的に報酬を請求できる場合について明記された。
【準委任契約の変更点】
仕事の完成を報酬請求の条件とする準委任契約の締結が可能になる。