前回は綺麗な折り紙のかぶとを折る「コツ」を他の人にも納得してもらう方法についてGSNで説明してみました。今回はその「コツ」を流用して折り紙の金魚が綺麗であることを説明してみようと思います。
###相手と合意形成できているゴールを前提に利用する
まずかぶとの折り方と金魚の折り方を比較してみます(図1参照)。Step.7までは同じ折り方であることが分かるので、Step.7までは前回引き出した折り紙かぶとを折る「コツ」を使って折ったかぶとを流用しても他の人の納得は得られると考えます。
図1 折り紙かぶとと金魚の折り方の比較
それでは、折り紙の金魚が綺麗であることを説明していきましょう。Step.7までは折り紙かぶとの「コツ」、それ以降のStepでは折り紙金魚の「コツ」を利用すれば金魚が綺麗であることを説明できるように思います。この説明をGSNで描くと図2のようになります。
それではこの「綺麗な折り紙の金魚GSN」を説明していきます。なお、折り紙金魚を綺麗に折るコツは前回の記事と同じやり方で引き出されているものとします。
- トップゴールは「折り紙の金魚は綺麗である」としてゴールノード(G1)で示しています。
- 文脈ノードには「折り紙共通のコツ(C1)」、「折り紙金魚を綺麗に折るコツ(C2)」、「折り紙金魚の折り方(C3)」、「折り紙のかぶとが綺麗に折れていることを説明したGSN(C4)」、「かぶとと金魚の共通部品と金魚のみの部品の関係一覧(C5)」を用意しました。
- トップゴールは折り紙かぶとの時と同じように折り紙金魚の折り方(C3)に基づいた戦略ノード(S1)に従って分解していきますが、まずはかぶとと金魚の共通の折り方(G2)、金魚のみの折り方(G3)、共通部分と金魚のみの部分の関係(G4)に分けて説明します(S1もそういう文面の方がよいかもです。時間があったら見直します!)。
- かぶとと金魚の共通の折り方(G2)が妥当であることは文脈ノードC4で明確に説明できると思います(Sn1にしてもいいかもしれませんね)。
- 金魚のみの折り方(G3)が妥当であることはかぶとの時と同じように文脈ノードC2の折り紙金魚を綺麗に折るコツを使って説明しています。
- 最後に共通部品と金魚のみの部品の関係が妥当であること(G4)を文脈ノードC5に基づいた戦略ノード(S3)に従って分解し、共通部品が折り紙の金魚に相応しいことをSn6,7を証拠として説明しています。
共通の折り方(G2)と金魚のみの折り方(G3)が妥当であることを説明すれば大丈夫なんじゃない?と思われる方もいるかもしれませんが、共通の折り方(G2)は綺麗な"かぶと"を折ることを念頭にしているため、もしかすると金魚の部品としては適切ではないかもしれません。そういう意味でG4を説明することは何かを流用した場合には不可欠の説明だと考えます。
###折り紙を使って流用開発を考えてみて思ったこと
今回の記事は松野先生と平鍋さんの対談ムービーで教えて頂いた流用開発の説明の仕方を折り紙を題材にして説明し直したものになります。流用開発は過去の良い製品を流用することで積み上げてきた高い品質をそのまま維持しつつ最小のコストで新しいモノ作り上げる優れた考え方だと思います(流用開発という言葉が一般的ではないかもなので異なる解釈は多々あると思います。その点はご容赦頂けると幸いです)。ただ、流用する部分と新しい部分を個別で考えてしまうと製品として組み上げた時の品質は怪しいものになってしまうのは冷静になれば明白だと考えます。とはいえ実際の開発現場でいつも冷静にいられるかと言えば、なかなか難しい訳で、そういった意味でもGSNを使って自分たちのやってきたことを説明してみるのは良い製品作りのためにスゴく大切なんじゃないかなと思っている次第です。松野先生、平鍋さん、貴重なお話ありがとうございました。解釈が間違っていること等ありましたらご指摘頂けるとうれしいです!