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『30日でできる!OS自作入門』を macOS Catalina で実行する

Last updated at Posted at 2019-12-03

『30日でできる!OS自作入門』を macOS 10.15 Catalinaで実行してみました。

→ソースコードは GitHubにあげています。
https://github.com/noanoa07/myHariboteOS

(※ 2020.10.14追記:
 A.6. Cコンパイラ i386-elf-gcc のインストール方法を更新
 → コメント参照 thanx @Ken2mer !)

A. 環境構築

著者作成の独自ツール(tolsetフォルダ内のツール)は、Windows用であり macOS Catalinaでは動作させることが困難なため、Linux用ツールを使用することにする。
(Catalinaでは、32bitアプリが動作しなくなったため、従来の macOS向けのブログ記事では動かなくなったものが多い。)

1. バイナリエディタ HEX FIEND

AppStore版 もある。

好みのものでいいが、0xED は不安定だった。

「Chapter 1-1:とにかくやるのだぁ(helloos0)」では、
バイナリエディタ Bz の代わりに使う。

2. アセンブラ NASM

「Chapter 1-3:アセンブラ初体験(helloos1)」では、

著者作成のアセンブラ naskの代わりに NASMを使う。

# Homebrewでインストール
% brew install nasm

# バージョンを確認 (現時点でバージョンは 2.14.02)
% nasm -v

# NASMで helloos.nasをコンパイルして、helloos.imgを作る
% nasm helloos.nas -o helloos.img

※著者作成の nask と NASM の違い

naskについてのページ - hrb-wiki

nask NASM
RESB 18 TIMES 18 DB 0
RESB 0x7dfe-$ TIMES 0x1fe-($-$$) DB 0
ALIGNB 16 ALIGN 16, DB 0
[FORMAT "WCOFF"] この行削除
[INSTRSET "i486p"] この行削除
[FILE "naskfunc.nas"] この行削除
[FORMAT "WCOFF"] この行削除
JMP entry(修正の必要なし?) JMP SHORT entry
_io_hlt( _ の付くもの) io_hlt( _ を削除)

3. エミュレータ QEMU

macOS用の QEMUを使う。

# Homebrewでインストール
% brew install qemu

# バージョンを確認 (バージョン 4.1.1 以上でないと表示に不具合)
% qemu-system-i386 -version

# イメージファイル helloos.imgを QEMUで実行(なるべく警告の出ないコマンドラインオプション)
% qemu-system-i386 -drive file=helloos.img,format=raw,if=floppy -boot a

# マウスが消えてしまった時は、control + option + g でマウスをリリース

4. エディタ

「Chapter 2-1:まずはテキストエディタの紹介」では、

TeraPadの代わりに、macOS用の好みのテキストエディタを使う。

5. Mtools

「Chapter 2-3:ブートセレクタだけを作るように整理(helloos4)」では、

著者作成の edimg.exeの代わりに、ディスクイメージの作成に Mtoolsの mformat を使う。

# Homebrewでインストール
% brew install mtools

# バージョンを確認 (現時点でバージョンは 4.0.23)
% mtools --version

#ディスクイメージ helloos.imgを作る
% mformat -f 1440 -C -B ipl.bin -i helloos.img ::

さらに、「Chapter 3-5:OS本体を書き始めてみる(harib00e)」では、

ディスクイメージの作成に Mtoolsの mformat と mcopyを使う。

# ディスクイメージ haribote.imgを作る
% mformat -f 1440 -C -B ipl.bin -i haribote.img ::
% mcopy -i haribote.img haribote.sys ::

6. Cコンパイラ i386-elf-gcc

「Chapter 3-9:ついにC言語導入へ(harib00i)」では、

著者作成のCコンパイラ cc1.exe等の代わりに、i386-elf-gccを使う。
その際、6. のリンカスクリプトを併せることでコンパイルする。

(macOS標準の gccは、実は clangなので、リンカオプション -T が使えない)

(※2020.10.14 追記;
 @Ken2mer さんのコメントより、
 Homebrew公式では、64bit版のx86_64-elf-gccがインストールされてしまうようになったので、tap nativeos/i386-elf-toolchain からインストールする。)

# Homebrewでtapしてインストール
% brew tap nativeos/i386-elf-toolchain
% brew install i386-elf-binutils i386-elf-gcc

#バージョンの確認(現時点でバージョンは 9.2.0)
% i386-elf-gcc -v

7. リンカスクリプト

「Chapter 3-9:ついにC言語導入へ(harib00i)」では、

「『30日でできる!OS自作入門』のメモ」

のページの「OS用リンカスクリプト」を使わせて頂いた。これを hrb.ldとして作成して、これを用いてコンパイルする。

# bootpack.cを、リンクスクリプト hrb.ldを利用してコンパイルし、bootpack.hrbを作る
% i386-elf-gcc -march=i486 -m32 -nostdlib -T hrb.ld bootpack.c -o bootpack.hrb

8. フォントファイル hankaku.txtを変換するためのプログラム

「Chapter 5-5:フォントを増やしたい(harib02e)」では、

著者作成の makefont.exeの代わりに、

「GDT(グローバルディスクリプタテーブル) - OS自作入門 5日目-1 【Linux】 - サラリーマンがハッカーを真剣に目指す」

のページの「フォントファイルのリンクについて」を使わせて頂いた。これを convHankakuTxt.cとして作成し、これを用いて hankaku.txtを変換する。

# convHankakuTxt.cは標準ライブラリが必要なので、macOS標準のgccを使う
% gcc convHankakuTxt.c -o convHankakuTxt
% ./convHankakuTxt

# 出来た hankaku.cファイルを他のファイルとリンクする
% i386-elf-gcc -march=i486 -m32 -nostdlib -T hrb.ld -g bootpack.c hankaku.c naskfunc.o -o bootpack.hrb

9. sprintf関数

「Chapter 5-7:変数の値の表示(harib02g)」では、

著者作成の GOコンパイラ付属の stdio の sprintfの代わりに、

「sprintfを実装する - OS自作入門 5日目-2 【Linux】 - サラリーマンがハッカーを真剣に目指す」

のページの sprintf関数を使わせて頂いた。これを mysprintf.cとして作成する。

なお、コンパイル時に警告が出たので;

second parameter of 'va_start' not last named argument

mysprintf.cを少し修正した。

mysprintf.c
//va_start (list, 2);
va_start (list, fmt); 

独自の sprintf関数を使うので、bootpack.cも修正する。

bootpack.c
//#include <stdio.h>   // mysprintf.cを独自に作成したので、この行削除

Makefileも mysprintf.c に合わせる。

# 独自の mysprintf.cの sprintf関数ではコンパイル時に警告が出るので、-fno-builtinオプションを追加
% i386-elf-gcc -march=i486 -m32 -nostdlib -fno-builtin -T hrb.ld -g bootpack.c hankaku.c naskfunc.o mysprintf.c -o bootpack.hrb

※ 註)

この sprintfは ”%d” と ”%x” にしか対応させていません。

とのことなので、"%02X" は "%x" に、"%3d" は "%d" に書き換える必要がある。

B. 実行方法

1. このレポジトリを clone

% git clone git@github.com:noanoa07/myHariboteOS.git

※うまくいかない時は、右上の「Clone or download」ボタンで
「Download ZIP」でダウンロードして、ZIPファイルを解凍する
のでも OK。

2. 確認

% cd HariboteOS/01_day/helloos0
% make run

実行して、以下のようなウィンドウが表示されれば、成功!
day1-2

3. 実行コマンド

# コンパイルして、実行
% make run

# イメージファイル haribote.img を作成
% make img

# デフォルトは make img
% make

# コンパイルしてできたファイルの内、haribote.img以外を削除
% make clean

# ソースファイル以外(haribote.imgも含め)をすべて削除
% make src_only

# ipl.nasをコンパイル (03_day/harib00dまで)
% make asm

※ 註)

フロッピーディスクに書き込む機能、コマンド(make install)は省いた。

C. 書籍のソースコード

マイナビ出版のサポートサイト より、HariboteOS.zip がダウンロードできる。

※註)

Windows用の エンコーディング/改行コード(ShiftJIS/CRLF)なので、macOSや Linux用の UTF8/LFに変換した方が良い。エディタで変換するか、変換ツールがとしては nkfがある。

# Homebrewでインストール
% brew install nkf

# バージョンを確認 (現時点でバージョンは 2.1.5)
% nkf -v

# 例) .cファイルをUTF8/LFに変換
% nkf -wLu --overwrite *.c

参考

※註)

macOSとはいえ、ほとんどLinuxと環境なので、検索キーワードに Linux を入れるとヒットすることがある。

ただし、macOS の gccは、実態は clangなので、そこで苦労したりする。

謝意

「リンカスクリプト」の作者 ivan ivanov(ivan111)さん

「フォントファイルのリンクについて」及び「sprintf」の作者 サラリーマンがハッカーを真剣に目指す さん

に感謝します。

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