CoreMP135でタッチパネルにタッチした結果を取得する

目的

M5StackのCoreMP135にて、タッチパネルにタッチした結果を取得します。

1. デバイスファイル:

Linuxでは、タッチパネルは/dev/input/event0やevent1などのファイルにマッピングされています。以下のコマンドで、デバイスファイルを特定します。
CoreMP135でコマンドを実行し、/dev/input/event0にマッピングされていることが確認できました。

 $ cat /proc/bus/input/devices
I: Bus=0018 Vendor=0000 Product=0000 Version=0000
N: Name="EP0110M09"
P: Phys=
S: Sysfs=/devices/platform/soc/4c004000.i2c/i2c-0/0-0038/input/input0
U: Uniq=
H: Handlers=event0
B: PROP=2
B: EV=b
B: KEY=400 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
B: ABS=2608000 3

2. デバイスファイルのオープン:

特定したデバイスファイルをオープンします。
C++では、以下のようになります。

int fd = open("/dev/input/event0", O_RDONLY);
if (fd == -1) {
    perror("Error opening device");
    exit(EXIT_FAILURE);
}

input_event構造体からタッチパネルの状態を取得します。input_event構造体は、Linuxのイベント入力するシステムで、ユーザースペースにイベント情報を伝達するために使用されます。

#include <linux/input.h>

struct input_event {
    struct timeval time;  // イベントのタイムスタンプ
    __u16 type;           // イベントタイプ
    __u16 code;           // イベントコード
    __s32 value;          // イベント値
};

struct timeval time:
   - イベントが発生した時刻を表すタイムスタンプです。
   - 秒とマイクロ秒の精度で時間を記録します。

__u16 type:
   - イベントの種類を示す16ビットの符号なし整数です。
   - 主な種類には以下があります：
     - EV_KEY: キーやボタンのイベント
     - EV_REL: 相対座標の変化（例：マウスの移動）
     - EV_ABS: 絶対座標の変化（例：タッチスクリーンの位置）
     - EV_SYN: 同期イベント

__u16 code:
   - イベントの具体的な内容を示す16ビットの符号なし整数です。
   - typeに応じて意味が変わります。例えば：
     - EV_KEY の場合：KEY_A, BTN_LEFT など
     - EV_ABS の場合：ABS_X, ABS_Y, ABS_PRESSURE など

__s32 value:
   - イベントの値を表す32ビットの符号付き整数です。
   - codeに応じて意味が変わります。例えば：
     - EV_KEY の場合：0（離す）、1（押す）、2（長押し）
     - EV_ABS の場合：絶対座標の値

タッチスクリーンのイベントの場合は、

• type: EV_ABS
• code: ABS_X（X座標）またはABS_Y（Y座標）
• value: 座標の値（ピクセル単位など）
  という情報を得ることができます。

3. イベントの読み取り:

input_event構造体を使用してイベントを読み取ります。

このコードは、/dev/input/event0からタッチパネルイベントを読み取り、X座標、Y座標、圧力、タッチの状態（プッシュ/リリース）を出力します。

#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#include <fcntl.h>
#include <unistd.h>
#include <linux/input.h>

#define DEVICE_PATH "/dev/input/event0"

int main() {
    struct input_event ev;
    int fd = open(DEVICE_PATH, O_RDONLY);
    if (fd == -1) {
        perror("Error opening device");
        return EXIT_FAILURE;
    }

    while (1) {
        ssize_t n = read(fd, &ev, sizeof(struct input_event));
        if (n == (ssize_t)-1) {
            perror("Error reading event");
            break;
        }

        if (n != sizeof(struct input_event)) {
            fprintf(stderr, "Error: incorrect read size\n");
            break;
        }

        if (ev.type == EV_ABS) {
            switch (ev.code) {
                case ABS_X:
                    printf("X: %d\n", ev.value);
                    break;
                case ABS_Y:
                    printf("Y: %d\n", ev.value);
                    break;
                case ABS_PRESSURE:
                    printf("Pressure: %d\n", ev.value);
                    break;
            }
        } else if (ev.type == EV_KEY && ev.code == BTN_TOUCH) {
            printf("Touch: %s\n", ev.value ? "Down" : "Up");
        }
    }

    close(fd);
    return EXIT_SUCCESS;
}

注意点:

• デバイスファイルへのアクセス権限が必要です（通常はroot権限が必要）

参考