M5UnitV2でクロスコンパイルすると"no version information available"

概要

M5UnitV2でクロスコンパイル環境を構築し、生成されたバイナリーを実行すると、
" /usr/lib/libstdc++.so.6: no version information available"エラーが表示されます。これの対応の仕方を説明します。

現象

M5UnitV2のクロスコンパイル環境で、以下のソースコードをビルドします。

main.cpp

#include <iostream>
using namespace std;
int main() {
    cout<<"Hello UnitV2 World"<<endl;
    return 0;
}

UnitV2Frameworkで書かれている、
クロスコンパイル環境でgcc-arm-10.2-2020.11-x86_64-arm-none-linux-gnueabihfでクロスコンパイルを行います。

$ /opt/gcc-arm-10.2-2020.11-x86_64-arm-none-linux-gnueabihf/bin/arm-linux-gnueabihf-g++ main.cpp -o main_0

このバイナリーをM5UnitV2で実行すると、"/usr/lib/libstdc++.so.6: no version information available"という表示がでてきました。

unitv2% ./main_0
./main_0: /usr/lib/libstdc++.so.6: no version information available (required by                            ./main_0)
./main_0: /usr/lib/libstdc++.so.6: no version information available (required by                            ./main_0)
Hello UnitV2 World

このエラーメッセージ「/lib/libstdc++.so.6: no version information available (required by ./hello-world)」は、実行しようとしているプログラム ./main_0 が依存している libstdc++.so.6 ライブラリのバージョンが、プログラムがコンパイルされたときに使用されたものと異なるか、またはUnitV2の中でバージョン情報が見つからないことを示しています。

対策：静的リンクの使用

プログラムを再コンパイルして libstdc++ を静的にリンクすることで、異なるシステム間でのライブラリのバージョン違いによる問題を避けることができます。 -static-libstdc++というオプションをつけます。

 /opt/gcc-linaro-7.5.0-2019.12-x86_64_arm-linux-gnueabihf/bin/arm-linux-gnueabihf-g++ main.cpp -o main -static-libstdc++

このバイナリーをM5UnitV2で実行して、エラー表示が出なくなることを確認しました。

unitv2% ./main
Hello UnitV2 World

デメリットとして、ファイルサイズが大きくなる弊害が発生します。

Name	Type	ファイルサイズ
main_0	-static-libstdc++なし	0.013MB
main	-static-libstdc++あり	6.449MB

参考

M5UnitV2のクロスコンパイル環境を構築する手順
https://qiita.com/nnn112358/items/9e15450265b689300216