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【PHP】マイナーフレームワーク「Flow」を試してみる~キャッシュ編~

Last updated at Posted at 2024-02-03

初めに

以前こちらの記事を書いた際、Flowではリフレクションデータを実行時にキャッシュしていると知りました。今回はFlowにおけるキャッシュの扱い方について調べてみました。

Flowにおけるキャッシュ処理

Flowには、キャッシュ処理を実現するために重要な要素が3つあります。

  • Cache Frontend Interface
  • Cache Backend Interface
  • Cache Manager

それぞれの要素について説明する前に、この3つの関係性をなんとなく把握しておきましょう。
以下のようなイメージです。

image.png

それでは、重要な3つの要素について解説します。

Frontend Interface

キャッシュを扱う側のためのインターフェースです。
インターフェースを継承することで、キャッシュを扱う側が「どんなデータをキャッシュしたいか」を表現できるようになっています。

image.png

FWでは、あらかじめいくつかの実装クラスを用意しています。
ここにないものを使う場合は、インターフェースを継承したクラスを作成する必要があります。

クラス名 説明
String Frontend Stringデータをキャッシュとして扱うための実装クラス
Variable Frontend String、Array、Objectなどをキャッシュとして扱うための実装クラス
PHP Frontend PHPファイル自体をキャッシュとして扱うための実装クラス

などなど

Backend Interface

キャッシュ保存先側のインターフェースです。
インターフェースを継承することで、「キャッシュをどこに保存したいか」を表現できるようになっています。

image.png

Frontendと同様に、Backendについてもあらかじめ実装クラスが用意されています。

クラス名 説明
File Backend Webサーバのファイルに書き出すための実装クラス
Redis Backend Redisに書き出すための実装クラス
Memcached Backend Memcachedに書き出すための実装クラス

などなど

Cache Manager

キャッシュを定義するためのクラスです。
FrontendとBackendのインターフェースを継承することで、キャッシュデータの形式と保存場所を定義することができました。
Cache Managerでは、定義した形式と保存場所を組み合わせてキャッシュ自体の定義を作成することができます。
(キャッシュを保存するための入れ物を作成するイメージです)

image.png

キャッシュ操作試してみる

それでは実際にキャッシュを操作してみましょう。
以下の流れで実装していきます。

  • キャッシュを定義する
  • キャッシュをDIする
  • キャッシュを操作する(保存、取得、削除など)

プロジェクト構成は以下です。

Project/
  └ Packages/
      ├ Application/
      |    └ Neos.Welcome/
      |         ├ Classes/
      |         |    └ Controller/
      |         |         └ CacheController.php(★)
      |         |
      |         └ Configration/
      |              ├ Caches.yaml(★)
      |              └ Objects.yaml(★)
      |
      ├ Framework/
      └ Libraries/

キャッシュを定義する

まずはキャッシュを定義していきます。
Caches.yamlにキャッシュの定義を記載しましょう。

Caches.yaml
MyPackage_Cache:
  frontend: Neos\Cache\Frontend\StringFrontend
  backend: Neos\Cache\Backend\FileBackend
  backendOptions:
    defaultLifetime: 3600

ここでは、MyPackage_Cacheという名前のキャッシュを定義しました。
String形式で、Webサーバ内のファイルに保存するようなキャッシです。
defaultLifetimeはキャッシュの有効期限を表す設定値です。

キャッシュを作成する

キャッシュの定義を決めたので、作成してみましょう。
今回はCacheControllerというクラスを作成し、そこでキャッシュ操作をすることを考えています。

以下のようにCacheControllerに2つのメンバ変数を定義しました。

  • cacheManager
  • $cache
CacheController.php
<?php
namespace Neos\Welcome\Controller;

use Neos\Flow\Annotations as Flow;
use Neos\Flow\Mvc\Controller\ActionController;

class CacheController extends ActionController
{
    /**
     * @Flow\Inject
     * @var Neos\Flow\Cache\CacheManager
     */
    protected $cacheManager;

    /**
     * @Flow\Inject
     * @var \Neos\Cache\Frontend\FrontendInterface
     */
    protected $cache;

}

続いて、DI時に$cacheCacheManagergetCacheメソッドを用いて作成されるように定義します。
FlowではObjects.yamlに以下のような定義をすることで設定できます。

Objects.yaml
Neos\Welcome\Controller\CacheController:
  properties:
    cache:
      object:
        factoryObjectName: Neos\Flow\Cache\CacheManager
        factoryMethodName: getCache
        arguments:
          1:
            value: MyPackage_Cache

上記は「CacheControllerクラスの$cacheという変数をDIする際は、CacheManagergetCache()を使ってください。引数はMyPackage_Cacheです」という意味になります。
MyPackage_CacheCaches.yamlで定義したキャッシュ定義です。

これにより、CacheController$cahceを用いてキャッシュ操作が可能になります。

3. キャッシュを操作する

それではキャッシュ操作してみましょう。

キャッシュ保存

まずはキャッシュ作成を試してみます。
以下のようなメソッドを用意しました。
Frontendにあるset()メソッドでキャッシュを保存することができます。

    public function createCacheAction(String $key, String $value)
    {
        // キャッシュにデータを保存
        $this->cache->set($key, $value);
    }

Frontendのset()メソッド内でbackend Intfaceに格納するメソッドを呼び出しています。
これにより、データが保存されるというわけです。

実際に呼び出してみたところ、200応答が返ってきました。

$ curl -i -X POST ^
More?    -H "Content-Type:application/json" ^
More?    -d ^
More? "{^
More?     \"key\": \"myKey\",^
More?     \"value\": \"myValue\"^
More? "}^
More?  http://localhost:8081/Neos.Welcome/Cache/createCache?key=myKey&value=myValue

HTTP/1.1 200 OK
Host: localhost:8081
Date: Sat, 03 Feb 2024 03:23:00 GMT
Connection: close
X-Powered-By: PHP/8.1.25
Content-Type: application/json
X-Flow-Powered: Flow/8.3
Content-Length: 4

キャッシュ取得

続いて、先ほど取得したキャッシュがを取得してみます。
Frontendにあるget()メッドでキャッシュを取得してみましょう。

    public function getCacheAction(String $key)
    {
        // キャッシュに入ってたら取得
        $data = $this->cache->get($key);
        if ($data !== false){
            $this->view->assign('value', $data);
        } else {
            $this->view->assign('value', 'no cache');
        }
    }

実際に試したところ、キャッシュが取得できました。

$ curl http://localhost:8081/Neos.Welcome/Cache/getCache?key=myKey
"myValue"

キャッシュ削除

最後にキャッシュを削除してみます。
Frontendにあるremove()メソッドでキャッシュを削除してみましょう。

    public function deleteCacheAction(String $key)
    {
        // キャッシュを削除
        $this->cache->remove($key);
        $this->view->assign('value', 'delete cache');
    }

実際に試したところ、キャッシュが削除できました。

$ curl -X DELETE http://localhost:8081/Neos.Welcome/Cache/deleteCache?key=myKey
"delete cache"
$ 
$ 
$ curl http://localhost:8081/Neos.Welcome/Cache/getCache?key=myKey
"no cache"

終わりに

今回はFlowにおけるキャッシュ操作の方法について書きました。
インターフェスを用いたFWのキャッシュ処理の仕組みを読み解いていくのは面白かったし、非常に勉強になりました。
また次の記事でお会いしましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

参考

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