ApexクラスとApexトリガーの違い
| 項目 | Apexクラス | Apexトリガー |
|---|---|---|
| 目的 | 再利用可能なビジネスロジックを定義 | レコードの作成・更新・削除時に自動実行される処理 |
| 実行タイミング | 明示的に呼び出さないと実行されない | DML操作（INSERT, UPDATE, DELETE, UNDELETE）により自動実行 |
| 書き方 | メソッドや変数を定義する一般的なクラス構造 |
trigger キーワードを使用し、特定のオブジェクトのイベントに対して実行 |
| 呼び出し方法 | 他のクラス、トリガー、Visualforce、LWC/Lightning Component、スケジュール処理などから呼び出し可能 | DML操作をトリガーにするため、明示的に呼び出せない |
| テスト・再利用 | 再利用が容易で、単体テストもしやすい | 単体ではテストしづらく、カスタムロジックをApexクラスに移すのが一般的 |
具体例
1. Apexトリガーの例（商談成立時にフォローアップタスクを作成）
商談（Opportunity）のStageNameがClosed Won（成立）になった際、90日後のフォローアップタスクを作成するApexトリガーの例。
trigger CreateFollowUpTask on Opportunity (after update) {
List<Task> tasksToCreate = new List<Task>();
for (Opportunity opp : Trigger.new) {
Opportunity oldOpp = Trigger.oldMap.get(opp.Id);
if (oldOpp.StageName != 'Closed Won' && opp.StageName == 'Closed Won') {
Task newTask = new Task(
Subject = 'フォローアップ',
WhatId = opp.Id,
OwnerId = opp.OwnerId,
ActivityDate = Date.today().addDays(90),
Status = 'Not Started',
Priority = 'High'
);
tasksToCreate.add(newTask);
}
}
if (!tasksToCreate.isEmpty()) {
insert tasksToCreate;
}
}
このように、Apexトリガーは DML操作（更新）を契機に自動で実行 される。
2. Apexクラスの例（商談のフォローアップタスクを作成するメソッド）
上記のApexトリガーのロジックを Apexクラス に分離すると、他のクラスからも再利用しやすくなる。
public class OpportunityHelper {
public static void createFollowUpTask(List<Opportunity> oppList) {
List<Task> tasksToCreate = new List<Task>();
for (Opportunity opp : oppList) {
if (opp.StageName == 'Closed Won') {
Task newTask = new Task(
Subject = 'フォローアップ',
WhatId = opp.Id,
OwnerId = opp.OwnerId,
ActivityDate = Date.today().addDays(90),
Status = 'Not Started',
Priority = 'High'
);
tasksToCreate.add(newTask);
}
}
if (!tasksToCreate.isEmpty()) {
insert tasksToCreate;
}
}
}
Apexトリガー側では、このクラスのメソッドを呼び出すだけにすることで、コードの管理がしやすくなる。
trigger CreateFollowUpTask on Opportunity (after update) {
OpportunityHelper.createFollowUpTask(Trigger.new);
}
メリット
✅ Apexクラスを分けることで 再利用可能
✅ ユニットテストがしやすくなる
✅ トリガーのロジックがシンプルになるため 可読性が向上
Visualforceとの関連
Visualforce（VF）は、Salesforceの カスタムUIを作成 するためのフレームワーク。
Apexクラスは Visualforceページのコントローラー として利用できる。
3. VisualforceページでApexクラスを活用
(1) Apexクラス
public class OpportunityController {
public List<Opportunity> getOpportunities() {
return [SELECT Id, Name, Amount, StageName FROM Opportunity LIMIT 10];
}
}
(2) Visualforceページ
<apex:page controller="OpportunityController">
<apex:pageBlock title="最近の商談">
<apex:pageBlockTable value="{!Opportunities}" var="opp">
<apex:column value="{!opp.Name}"/>
<apex:column value="{!opp.Amount}"/>
<apex:column value="{!opp.StageName}"/>
</apex:pageBlockTable>
</apex:pageBlock>
</apex:page>
このように、Apexクラスを Visualforceのデータ取得や処理のロジック に活用できる。
まとめ
| 項目 | Apexクラス | Apexトリガー | Visualforceとの関連 |
|---|---|---|---|
| 役割 | ビジネスロジックを定義し、他のクラスやコンポーネントで利用 | DML操作（INSERT, UPDATE, DELETE）に応じて自動実行 | カスタムUIを作成し、Apexクラスをコントローラーとして利用 |
| 再利用性 | 高い（メソッドを他のクラスでも利用可） | 低い（DML操作に依存） | Apexクラスを利用してデータを表示・処理 |
| 実行方法 | 明示的に呼び出し（LWC、VF、バッチ、スケジュール処理など） | DML操作時にSalesforceが自動実行 | ユーザー操作で実行（ボタンやページロード時） |
使い分けのポイント
✅ Apexクラス: 業務ロジックを共通化して管理・再利用しやすくする
✅ Apexトリガー: データ変更に応じたリアルタイム処理を実装する
✅ Visualforce: SalesforceのUIをカスタマイズし、データの表示・操作を行う
LWCやAuraコンポーネントが普及している現在でも、Visualforce + Apexクラス の組み合わせは、特に レガシーシステムの改修 や 特定用途のUIカスタマイズ で使われることが多い。
Salesforceで開発する際は、できるだけApexクラスにロジックを分けて管理 し、トリガーはシンプルに保つのがベストプラクティス！