Part 11: プラットフォームイベントとスケジュールバッチのエラーハンドリング
前回は フューチャーメソッド (Future Methods) と Queueable Apex のエラーハンドリングを解説しました。
今回は プラットフォームイベント (Platform Events) と スケジュールバッチ (Scheduled Batch Apex) のエラーハンドリング に焦点を当てます。
1. プラットフォームイベント (Platform Events) のエラーハンドリング
1.1. プラットフォームイベントの特徴
- 非同期メッセージング を利用して、システム間のデータ連携や、Salesforce内でのリアルタイム処理を実現
- イベントの発行 (Publish) と購読 (Subscribe) に分かれる
- トリガー (Trigger) で処理を実行できる
- エラー発生時はイベントを再処理できないため、エラーログを残すことが重要
1.2. プラットフォームイベントのエラーハンドリング実装例
✅ OK 例: 例外キャッチ + エラーログ
trigger PlatformEventTrigger on MyPlatformEvent__e (after insert) {
for (MyPlatformEvent__e event : Trigger.New) {
try {
// 例: アカウントの更新処理
Account acc = [SELECT Id FROM Account WHERE Id = :event.AccountId__c LIMIT 1];
acc.Industry = event.Industry__c;
update acc;
} catch (DmlException e) {
ErrorLogService.logError(e, 'PlatformEventTrigger', 'handleEvent');
} catch (Exception e) {
ErrorLogService.logError(e, 'PlatformEventTrigger', 'handleEvent');
}
}
}
このコードでは：
try-catchを使用してエラーハンドリング- エラーログ (
ErrorLogService.logError()) を記録 - イベントは再処理できないため、ログを見て手動で対応することが必要
適用ケース:
リアルタイムのデータ処理を行うが、エラー発生時も他の処理に影響を与えないようにする場合
2. スケジュールバッチ (Scheduled Batch Apex) のエラーハンドリング
2.1. スケジュールバッチの特徴
- 定期実行のバッチ処理
System.schedule()を使用してスケジュール登録- 例外発生時はエラーメールを送るか、リトライする仕組みが必要
2.2. スケジュールバッチのエラーハンドリング実装例
✅ OK 例: try-catch でエラーハンドリング
global class ScheduledBatchExample implements Schedulable {
global void execute(SchedulableContext sc) {
try {
System.enqueueJob(new BatchExample()); // バッチ処理をキューに登録
} catch (Exception e) {
ErrorLogService.logError(e, 'ScheduledBatchExample', 'execute');
}
}
}
このコードでは：
System.enqueueJob(new BatchExample())でバッチをキューに登録- 例外をキャッチしてエラーログに記録
- スケジュール実行時にエラーが発生しても、他の処理に影響を与えないようにする
適用ケース:
毎日定期的にバッチ処理を実行し、エラーが発生しても影響を最小限に抑えたい場合
2.3. エラー発生時の再実行
スケジュールバッチは 1 回実行された後、失敗しても自動リトライされない ため、
エラーが発生した場合に再実行する仕組みを追加 すると良い。
✅ OK 例: エラー時に再実行
global class ScheduledBatchRetry implements Schedulable {
global void execute(SchedulableContext sc) {
try {
System.enqueueJob(new BatchExample());
} catch (Exception e) {
ErrorLogService.logError(e, 'ScheduledBatchRetry', 'execute');
// 1時間後に再実行
String cronExp = '0 0 1 * * ?'; // 毎日午前1時に実行
System.schedule('Retry Batch Example', cronExp, new ScheduledBatchRetry());
}
}
}
このコードでは：
- エラー発生時に
System.schedule()を使って 1 時間後に再実行 - 無限ループを防ぐため、ログを記録して管理者が状況を確認できるようにする
適用ケース:
定期的なバッチ実行で、一時的なエラー (API タイムアウトなど) が発生した場合に再実行したい場合
2.4. エラーメール通知
バッチ処理でエラーが発生した場合、管理者にメールで通知するのが有効。
✅ OK 例: エラー発生時にメール通知
global class ScheduledBatchWithEmail implements Schedulable {
global void execute(SchedulableContext sc) {
try {
System.enqueueJob(new BatchExample());
} catch (Exception e) {
ErrorLogService.logError(e, 'ScheduledBatchWithEmail', 'execute');
// エラーメール送信
Messaging.SingleEmailMessage mail = new Messaging.SingleEmailMessage();
mail.setToAddresses(new String[] {'admin@example.com'});
mail.setSubject('【警告】スケジュールバッチエラー発生');
mail.setPlainTextBody('エラー内容: ' + e.getMessage());
Messaging.sendEmail(new Messaging.SingleEmailMessage[] {mail});
}
}
}
このコードでは：
- エラー発生時に
Messaging.sendEmail()を使って管理者に通知 - エラーの詳細 (例外メッセージ) をメールに記載
適用ケース:
バッチ処理が失敗したことをすぐに管理者に通知し、早急に対応できるようにする場合
まとめ
今回は プラットフォームイベントとスケジュールバッチのエラーハンドリング を解説しました。
✅ プラットフォームイベント
try-catchでエラーハンドリング- エラーログ (
ErrorLogService.logError()) を記録 - イベントは再処理できないため、ログを見て手動で対応
✅ スケジュールバッチ
try-catchでエラーハンドリング- エラー発生時に
System.schedule()で再実行 Messaging.sendEmail()を使って管理者にメール通知
次の Part 12 では、ガバナ制限 (Governor Limits) の超過を防ぐためのエラーハンドリング を解説します！