Salesforce Marketing Cloud (SMC) では、メールの送信設定やドメイン管理を適切に行うことで、メールの到達率を向上させたり、送信者の信頼性を確保したりできます。
以下、それぞれの用語について、実例を交えて解説します。
1. 送信者認証パッケージ(Sender Authentication Package, SAP)
概要:
SAPは、企業が自社ドメインを使ってSFMCからメールを送信できるようにするための設定パッケージです。これにより、メールが正しく認証され、迷惑メールに分類されにくくなります。
実例:
例えば、「example.com」というドメインを持つ企業がSAPを設定すると、Marketing Cloud から送信するメールの送信元アドレスを info@example.com
のように自社ドメインのものにできます。
また、SAPには以下の設定が含まれます:
- 専用IPアドレス: 企業専用のIPアドレスを割り当て、送信メールの評判を管理しやすくする。
- ドメイン認証(DKIM, SPF, DMARC): メールの正当性を証明し、フィッシングやなりすましを防ぐ。
- ブランド設定: 送信者情報を企業ブランドに統一。
💡 関係する設定:
SAPを設定すると、「ドメイン検証と送信者アドレス管理」の設定もスムーズに行えます。
2. 返信メール管理(Reply Mail Management, RMM)
概要:
受信者がメールに返信したときの管理を自動化する機能。返信の内容に応じて、自動応答や適切な部門への転送が可能です。
実例:
例えば、マーケティングメールを送信した際、受信者が「配信停止してください」と返信した場合、RMMを設定しておくと自動で配信停止処理を実行できます。
また、問い合わせメールの場合は、サポートチームへ転送するように設定できます。
💡 関係する設定:
「送信者プロファイル」や「配信プロファイル」と組み合わせて、適切な返信メールの処理を管理します。
3. 送信分類(Send Classification)
概要:
メール送信時に「どの送信者情報を使うか」「どのIPアドレスを使うか」「どの返信管理設定を適用するか」を決める仕組み。
実例:
- トランザクションメール(注文確認、パスワードリセット) と マーケティングメール(キャンペーン告知) では、送信元のアドレスや返信の処理を変える必要があります。
- 送信分類を使うことで、例えば「noreply@example.com」から注文確認メールを送り、「marketing@example.com」からプロモーションメールを送る、といった管理が可能になります。
💡 関係する設定:
「送信者プロファイル」「配信プロファイル」と組み合わせて使われます。
4. 送信者プロファイル(Sender Profile)
概要:
送信メールの「差出人名(From Name)」と「差出人メールアドレス(From Email)」を設定するもの。
実例:
例えば、以下のような異なる差出人名とアドレスを設定できます:
- メールマガジン → 差出人名: "ABCマーケティング" / メールアドレス: marketing@example.com
- 顧客サポート → 差出人名: "ABCサポート" / メールアドレス: support@example.com
💡 関係する設定:
「送信分類」と連携して、適切な送信者情報を選択します。
5. ドメイン検証と送信者アドレス管理(Domain Verification & Sender Address Management)
概要:
SFMCから送信するメールが正しいドメイン(企業のドメイン)から送られているかを検証する仕組み。
実例:
企業が example.com
を使用してメールを送信する場合、SPF、DKIM、DMARC という認証を設定し、ドメインがMarketing Cloudと連携していることを証明する必要があります。
例えば、送信ドメイン認証がない場合、GmailやYahoo!メールの受信側で「このメールは本当に example.com
から来たの?」と疑われ、迷惑メールフォルダに分類される可能性があります。
💡 関係する設定:
SAPを導入すると、このドメイン認証の設定が一括で行われます。
6. 配信プロファイル(Delivery Profile)
概要:
メールを送信する際に、「どの送信IPアドレスを使用するか」「どの返信アドレスを設定するか」などを指定する設定。
実例:
- プロモーションメールは
promo@example.com
というアドレスを使用し、送信元IPはマーケティング用のものを設定。 - サポート関連のメールは
support@example.com
を使用し、異なるIPアドレスを設定。
💡 関係する設定:
「送信分類」と連携し、適切な送信プロファイルを選択します。
各設定の関係性まとめ
📌 基本的な流れとしては、以下のように設定を組み合わせて使います。
-
SAPを導入
→ ドメイン検証と送信者アドレス管理 の設定を行い、正しく認証された送信者情報を確保。 -
送信者プロファイルを作成
→ メールごとに適切な送信者名・アドレスを設定。 -
配信プロファイルを作成
→ どのIPアドレスと返信アドレスを使うか決める。 -
送信分類を作成
→ 送信者プロファイル と 配信プロファイル を組み合わせ、適切なメール送信設定を決定。 -
RMMを設定
→ 受信者からの返信を適切に管理し、自動応答や転送を行う。
まとめ
Salesforce Marketing Cloud のメール送信設定は、
✔ SAPを設定して送信ドメインを認証
✔ 送信者プロファイル・配信プロファイルを作成してメールの差出人情報を管理
✔ 送信分類で適切な設定を適用
✔ 返信メール管理(RMM)で受信者の返信対応を自動化
という流れで管理されます。
これらを適切に設定することで、メールの信頼性を高め、到達率を向上させ、スパム扱いされるリスクを減らすことができます! 🚀