Salesforce Marketing Cloud(SFMC)の「テナント」「ビジネスユニット(BU)」「Enterprise 2.0」という用語について整理しました。
1. テナントとは?
テナント(Tenant) は、Marketing Cloud のアカウント全体を指します。
1つの会社が契約すると、基本的に1つのテナントが与えられます。
例:
- A社がMarketing Cloudを契約すると、「A社用のテナント」が作られる。
- その中に、複数の「ビジネスユニット(BU)」を作ることができる。
2. ビジネスユニット(Business Unit, BU)とは?
ビジネスユニット(BU) は、1つのテナント内でデータや設定を分割するための仕組みです。
例えば、企業の部門やブランドごとに分けて、別々のメール配信やデータ管理ができるようになります。
例:
A社が3つの事業を展開している場合、それぞれの事業ごとにBUを作成できる。
-
A社のBU構成
- 本社(HQ BU)
- ブランドA BU
- ブランドB BU
- ブランドC BU
各BUで、独立したメール配信リストやコンテンツを管理できるため、異なるブランドごとに適切なマーケティング施策を実施できる。
BUのポイント
- データやオーディエンスを分離できる(顧客情報を共有する/しない設定が可能)
- ブランドごと、国ごと、部門ごとに管理可能
-
ユーザーごとにアクセス制限を設定できる
- 例:「ブランドAのマーケティング担当者は、ブランドBのデータを見れない」
3. Enterprise 2.0とは?
Enterprise 2.0は、大規模な企業向けのMarketing Cloud構成で、複数のBUを柔軟に管理するための仕組みです。
Enterprise 2.0の特徴
- 中央管理用の"親BU"(Enterprise BU)がある
- 複数のBU(子BU)を作成できる
- 各BUでデータの共有ルールを設定可能
- Enterprise BUで一括管理(例えば、共通テンプレートやオーディエンスを管理)
Enterprise 2.0の実例
グローバル企業が、各国のマーケティングを統一的に管理するケース。
-
親BU(Enterprise BU)
- 全体のメールテンプレートや配信ポリシーを管理
- 各国のBUに共通データを配布
-
子BU(各国ごとのBU)
- 日本 BU(日本向けのキャンペーン配信)
- アメリカ BU(米国向けのキャンペーン配信)
- ヨーロッパ BU(EU向けのキャンペーン配信)
この構成を使うと、企業全体のガバナンスを維持しつつ、各国のマーケティング活動を独立して実施できます。
まとめ
用語 | 概要 |
---|---|
テナント | Marketing Cloud のアカウント全体。企業ごとに1つ。 |
ビジネスユニット(BU) | テナント内のデータ・配信管理単位。ブランドや国ごとに分けられる。 |
Enterprise 2.0 | 大規模企業向けのBU管理方式。親BUがあり、各BUのデータ管理を統括できる。 |
どのように使い分ける?
- 小規模企業 → 1テナント+1BUで十分(BUを増やさず単一管理)
- 中規模企業(複数ブランド/部門) → 複数BUを活用(ブランド別、部門別など)
- 大規模企業(グローバル運用) → Enterprise 2.0を導入(親BU+各国BU)