今回は,集合がopen, closed, そしてcompactであるとはどういうことなのかを自分なりに理解したので,メモしておく.Qiitaに書くことではないのかもしれないが,書くのが楽なのでここに書く.こういうのは定義だけ書いてある本が多いですが,イメージが大事だと思うので,そういう感じで書きたいと思います.もし,皆様のお役に立てれば幸いです.
数学的な「開いている(あいている)」のイメージ
まずは,数学的な「開いている」というイメージをつかむことにする.言葉からはなんとなく開放的な感じがする.数学ではこれをおなじみの記号である$<$で表現する($x < b$みたいな感じで使う).$<$をみたら,「開いている感」が出てきたらもうイメージはつかめているんだと思う(自分的に).
さて,なんで$<$が「開いている」に繋がるのかを考えよう.例として,aからbまでの実数の空間を考えよう.ここで,aやbを含めるのかは非常に大事.aもbも含める場合は$[a, b]$,aもbも含めない場合は$(a, b)$,aは含めてbは含めない場合は$[a, b)$と書いたりする.
$[a, b]$と$[a, b)$の違いはなんだろうか?僕的には,前者は壁が中にあって,後者は壁が外にあるみたいなイメージで捉えている.例えば,僕たちがとある世界に住んでいて,その世界のものしか見えないのだとしたら,前者の場合,壁である$b$は見えて,後者の場合は$b$は見えない,つまり壁がないように思える.これが僕なりの数学的な「開いている」のイメージ.$x \in [a, b]$は,$a \leq x \leq b$で,$y \in [a, b)$は,$a \leq y < b$である.こう見ると,住人$x$は壁$b$が見えていることを$x \leq b$で表現し,住人$y$は壁$b$が見えていないことを$y<b$で表現しているように見える.まとめると,後者の世界は,その住人からみたら,「開放的」に見えて,これが数学的な「開いている」というイメージ(自分流).
open ball
ここまでで,$<$が「開いている」を表現しているのをイメージできただろうか.上に書いたのはあくまでも僕なりのイメージなので,自分なりにイメージできるまで考えてみて欲しいと思う.こういうのはとにかく自分なりに消化するのが大事だと思う.
さて,ここで急に,open ballというものを考えよう.それを考えるには距離空間を導入しないといけないが,ここでは省略して,$d$を距離としよう.ある集合に距離が定義されていれば,その集合の要素同士がどれだけ離れているか(近いか)を表現することができる.余談だが,極限とかで出てくる「近づける」という言葉の数学的な表現も,距離を使って書かれる.こういうのは本にはあまり出てこない辛い.
ボールというのは,丸い.中心と半径があればなんとなく表現できそう.中心を$x$,半径を$\epsilon$とすると,open ballという集合は,
B(x, \epsilon) = \{y \ | \ d(x, y) < \epsilon \}
で定義される.ボールの端っこが含まれていないので,openなボールだ.この定義をみて,直感的に「ああ,確かにopenなボールだわ」と思えたら勝ち.
openな集合(開集合)
open ballを飲み込むと,openな集合を考えることができる.openな集合は「開いている」集合で,端っこが含まれていない集合である.端っこが含まれていないのを表現するのは結構大変で,open ballを使う.集合の中のボールを考えよう.端っこが含まれていると,なんとなく「ボールがはみ出そう」な感じがしないだろうか.このイメージを伝えるのは結構難しい....openな集合の中の世界の人は,壁が見えないので,そもそも「やべえ,はみ出た」というのがわからない.そんなイメージ.
きちんと数学的に書くと,ある集合$X$を考える.その部分集合$O \subset X$がopenであるとは,全ての$x \in O$に対して,$B(x, \epsilon) \subset O$となる$\epsilon$が存在することである.
こういうのはかなりわかりにくい.僕的には,何が与えられてるのかをまず考える.この例だと$X$が与えられている(実際には距離$d$も).その上で,その部分集合の性質を考えている.
closedな集合 (閉集合)
これは割とわかりやすい.$X$の部分集合$A \subset X$が閉集合であるとは,その補集合$X \setminus A$がopenであることをいう.全体の世界$X$の中に2つの世界$A$と$X \setminus A$があって,$X \setminus A$がopenなら片方$A$はclosedであることは多分直感的に理解できるはず.はず.はず....
compactな集合
これはなんか「包むことができる」というイメージ.コンパクトなら包めるだろ,という感じ.
例のごとく集合$X$を考えよう.
適当な$X$のopenな部分集合たち$(O_i)_{i \in I}$を考えよう.
$I$は適当なインデックス.そして,$A \subset X$の性質をみていこう.
ここで気になるのは,適当に用意した$(O_i)_{i \in I}$で$A$を包めるのかということ.
包めるなら,$i_1, \ldots, i_n \in I$が存在して,$A \subset \cup_{j=1}^n O_{i_j}$となるだろう.伝わるかわからないが....
「存在する」というのは結構わかりにくいかもしれない.でも,そう書かざるを得ない.何かを用意して,それで表現できるみたいな論法は結構使われる.極限とかもそうだ.
まとめ
今回はopen, closed, compactという概念の自分なりのイメージを書いてみた.最後らへんが適当になってしまった感が否めないが,お役に立てれば幸いです.