背景
近年、クラウドコンピューティングの進化と共に、多くの企業がオンプレミスの社内システムをAzureなどのクラウドプラットフォームに移行しています。
この移行プロセスでは、Azure Migrateの使用がベストプラクティスとされています。
しかし、ユーザー事情によりAzure Migrateの利用が難しい場合や制約があるケースも考えられます。
例えば、Azure Migrateでは対象の仮想マシンにエージェントをインストールしますが、ユーザーによって仮想マシンの構成変更が禁止されている場合があります。
これが原因でAzure Migrateの利用が難しく、代わりにオンプレミスで稼働していたサーバーのイメージをエクスポートし、Azureにおいてそのイメージから仮想マシン(VM)を復元する手段を取ることがあります。
私が参加している移行PJにおいても、この手段でオンプレ→Azure VMへの移行を行っています。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
エクスポートしたイメージからVMを復元したところ、仮想マシンエージェントがインストールされていない状態であることが判明しました。
Microsoftは、VMが正しく機能する上で仮想マシンエージェントのインストールを推奨しています。
Microsoft Azure Windows VM エージェントは、仮想マシン (VM) と Azure ファブリック コントローラーのやり取りを管理する、セキュリティで保護された簡易プロセスです。 Azure Windows VM エージェントは、Azure 仮想マシン拡張機能の有効化と実行において主要な役割を果たします。 VM 拡張機能は、VM のデプロイ後の構成 (ソフトウェアのインストールと構成など) を有効にします。 VM 拡張機能は、VM の管理者パスワードのリセットなどの回復機能も有効にします。 Azure Windows VM エージェントがないと、VM 拡張機能を実行できません。
残念なことにエージェントの手動インストール方法を記載した記事があまりなく、インストールに四苦八苦しました。
今後、私のような状況に遭遇した方々にとって少しでも助けになればと思い、本記事では手動でWindows VMに仮想マシンエージェントをインストールする手順について解説していきます。
VMの情報
・OS
Windows Server 2016
・VMサイズ
Standard B2ms
・ネットワーク構成
VM→インターネットへ接続できる状態
後述の手順でエージェントのインストーラーを取得するのにインターネットへ接続するため
・Azure Bastion
構成済み
Azure Portal上でVMにRDP接続するために必要
構成方法は以下を参照
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/bastion/quickstart-host-portal#createvmset
プロビジョニング時間に応じて料金がかかるので、使い終わったら消しましょう
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/azure-bastion/
手順
Azure Bastionを使用して、Azure Portal上でWIndow VMにRDP接続します。
接続手順は以下を参照。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/bastion/quickstart-host-portal#connect
ブラウザを開き、以下のGithubリポジトリから赤枠のインストーラーをダウンロードします。
https://github.com/Azure/WindowsVMAgent/releases/tag/2.7.41491.1024
このmsiファイルを管理者権限で実行します。
・ダウンロードしたmsiファイルを所定のディレクトリに配置します。
・コマンドプロンプトを管理者権限で開き、カレントディレクトリをmsiファイルがあるディレクトリに変更します。
・以下のコマンドを実行し、msiファイルを実行します。
msiexec /i WindowsAzureVmAgent.2.7.41491.1024_2107271024.fre.msi
・ウィザードが立ち上がるので、指示に従ってエージェントのインストールを行います。
インストール完了後、少し時間が経つとVMコンソール画面上で、
「エージェントの状態」がReadyになります。
この状態になればインストール完了です!
参考