テクノロジー検証 Advent Calendar 2022 23日目の記事です。
TL;DR
iLO仮想メディアはURLベースが速い。
iLOの仮想メディアとは
iLOとはHPE製IAサーバ ProLiantに搭載されているBMCです。
仮想メディアとはネットワーク経由でCD/DVDメディアファイル(ISO)をサーバーに見せる機能です。
この仮想メディアですが、.NET, HTML5, Java,URLベースなど複数の方法があります。
HPE社の資料では、.NET版よりもHTML5版が遅い(ISOブートに時間がかかる)のは仕様だとしています。
対策は、.NET版もしくはURLベースを使うことです。
URLベースは「.NETよりも優れています」と資料に書かれていますが、どの程度優れているのでしょうか? 測ってみました。
URLベースとは
HTTP(HTTPS)でWebサーバ上のISOファイルをマウントする方式です。
今回、iLOを操作するWindowsパソコン上でWebサーバを立ち上げて、iLOから参照させました。
Webサーバとしてnginxを使用しました。nginxはフリーソフトです。商用版をF5社が提供しています。
「F5社が提供するフリーソフト」と言えるんじゃないでしょうか。
やったことは
- nginx Windows版を公式サイトからWindowsPCにダウンロードする
- ダウンロードしたzipファイルを展開する
- 展開したなかのhtmlフォルダにSPP ISOファイルを置く
- コマンドプロンプトから展開したnginx.exeを実行する
これで8080ポートでWebサーバが起動します。
ISOファイル名を指定すればISOファイルを参照できます。
今回使用したメディア SPPとは
ProLiantではSPP(Service Pack for ProLiant)というISOファイルが提供されています。
SPPで起動すると、ProLiant内の各種デバイスのファームウェアは自動的に更新されます(対話的にも実行可)。
このSPPで起動して更新作業が完了するまでを計測しました。
USBメモリに書き込むことで、SPPはUSBメモリからも起動できます。
ネットワーク経由の仮想メディアよりもUSBメモリのほうが明らかに速いでしょうが、参考として一緒に計測してみました。
試験環境
- ProLiant ML30Gen10(ヤフオクで入手)
- SPP version 2022.09.01.00
- WindowsPCからギガハブ経由でiLOに接続。
- USBメモリ PicoDrive DUAL X → 計測したあとで気づきましたが、まさかのUSB 2.0でした…。
試験内容
- WindowsPCからML30Gen10 iLOに接続してSPPを起動。
- 計測はSPP起動(自動か対話的かを選択するところ)からSPP動作が完了するまで。
- USBメモリ、ISOファイルマウント(.NET, URLベース)の3パターンで比較。
- ファームウェアは事前に全て更新済みであるため、SPPによる更新作業は発生しません。
そのため、完了までの時間には、ISOファイル読み込み速度が大きく関与するはずです。
試験結果
数字が小さければ速いことを意味します。
方式 | 完了までの時間 | 仮想メディア(.NET)との比較 |
---|---|---|
USBメモリ | 6分38秒 | 56% |
仮想メディア(URLベース) | 7分29秒 | 63% |
仮想メディア(.NET) | 11分53秒 | NA |
思った以上にURLベースの速度がUSBメモリに迫っています。
とはいえUSB 2.0なので、USBメモリにとっては不利な条件です。
今回、iLOを操作するWindowsPC上でWebサーバを立てましたが、これを別マシンに分ければ更に速くなるかもしれません。
まとめ
iLO仮想メディアはURLベースが速い。