この記事は,記事Entanglionやろうぜ!の派生記事です
Entanglionとは, IBM Researchが作成した,オープンソースのボードゲームです.なんとこのゲーム,量子ゲート方式の理論がベースになっています!Entanglionを一緒にやってくれる人を増やすために,こちらの記事にて,日本語のEntanglionルールブック的なものを作成してみました.詳しくは記事をご覧ください.
上記の記事で,文量と内容を鑑みて採用しなかった内容について,番外編としてこちらで別に記事を設けました.
この記事の仕様
- 英語が苦手な人がGoogle先生と一緒にえっちらおっちらつくりました
- 意訳している箇所が多々あります.おかしな表現がありましたらご指摘ください.
- 正直,自分でも書いてて???となるような表現がいくつか…
- ソースはIBM Researchが発表しているGitHubです
- この記事に使用している画像は,上記のGitHubから拝借しています.
- 登場人物が話すシーンがありますが,口調や一人称は完全に本記事著者の想像です
Quanticたちの数奇な運命
数千年前,Quantic(クアンティック)という種族が,この宇宙を支配していた.
Quanticたちの文化は,科学と技術に対する深い敬意に根付いたものであった.Quanticのほとんどの子供達が,自分の靴の紐を結べるようになる年齢で,代数,天文学,そして物理学を学んだ.中学校に上がる頃には,計算の原理や,熱力学の法則,そしてその他多数の複雑な科学について習熟していた.
Quanticたちは基本的に平和主義者であった.彼らは学問的な討論こそ最も上質な対立の形としていた.彼らの軍事技術(防衛目的)は,他のどの種族のものよりもはるかに優れていたが,制服をすることも,権力を求めることもしなかった.
しかし,彼らの急速な技術的進歩は,彼らの惑星で深刻になりつつあった資源不足と相まって,近隣惑星への侵攻を促進した.一世代のうちに,彼らは多くの惑星を植民地化し,整備した.別の世代では,彼らは歴史に記録されているなかで最も先進的な銀河同盟を,何万もの世界にまたがって創立した.
しかし,彼らが外の世界へ進出したのと同じくらい急速に,彼らは姿を消し始めた.最初は科学者やエンジニアがいなくなったが,すぐに惑星全土からQunaticたちの姿は見えなくなっていった.何千ものQuanticたちが,跡形もなく消えてしまったのだ.まるで,台地の下で静かに眠っていたパラレルワールドに飲み込まれてしまったかのように,一瞬にして.
Quanticたちが姿を消していくについれ,優れたエンジニアでも制御が難しいほどに発達した危険な技術に関する噂が渦巻き始めた.
Quanticたちは聡明であったが為に,自分の種族が持つ技術や野望について,脆弱であった(他の種族にも言えることだが).Quanticたちは,他の種族からすれば魔法のような技術を生み出すことができるだけでなく,彼ら自身の技術が自分たちの範疇を超えることはないと納得させてしまうほどに聡慧であった.
あるいは彼らはその危険性を完全に理解した上で,単にそれを黙殺することを選んだのかもしれない.その技術がもたらす富と繁栄を目の前に,そこに潜む危険性になど,誰しも目を向けたがらないだろう.賢明なQuanticの作家,Qual Bellowの言葉を借りるならば,「幻想への欲求が深まった時であれば,無知に対して膨大な知識を付与することができる」.Quanticの科学者たちは,技術のために技術を追求する傾向があり,そしてそれはいかなるときも成功を収めていたのだ.
いずれにせよ,Qunaticたちの消滅は,極めて先進的なコンピュータ(優秀なQuanticでさえ理解に苦しんだ,量子物理学の奇妙な性質を利用したもの)の開発と強く結びついていたと考える説が濃厚である.
この記録によると(最近ではほとんどの人が信じていないが),この量子コンピュータは対象が二つの異なる状態に同時に存在させることが可能である.– Schrödinger’s boxの実現か,はたまたそれと同じくらい奇妙なハナシである.
陰謀論者たちは,Qunaticの失踪の根本的原因は量子コンピュータであると指摘した.つまり,科学者たちが「あちらでもこちらでもないし,あちらでもこちらでもある状態」(彼らはこれを「重ね合わせ状態」と呼ぶ)に落ちいってしまい,そこから抜け出せないということである.
全てのQuanticが,重ね合わせ状態の煉獄から抜け出せなくなっていて,現実への生還を待ち望んでいると信じている人もいる.また,重ね合わせ状態は一瞬の間確かに存在したが,物理世界に戻る際にパラレルワールドに移動してしまったと信じる人もいる.量子コンピュータを動かした亜原子の力によって,単に気化したと信じる人もいるようだ.
しかし,量子コンピュータ自体の最終的な運命は,– かつて量子コンピュータが実在したと仮定すると – その製作に携わった技術者と同じくらい漠然としている.
それは,Quanticでない者は実際に誰も見ることはできなかった.無論,それを語り継ぐQuanticはもういない.量子コンピュータが実在したと信じるほとんどの人は,生き残ったQuanticたち,もしくは他の惑星から来た救済者によってマシンが完全に破壊されたと考えている.
他にも,少々信じがたい論を唱える者もいる.少人数の狂信的なQuanticたちがマシンを解体し,それら扱うのに十分に賢明である誰かによって再構築されることを期待し,宇宙に分散させたと言うものだ.
もちろん,それはただ旅行先で退屈まぎれに話すような,おとぎ話にすぎないのかもしれない.しかしそれは,再び現実的なものになる.それを確かめる方法はただ一つ…
プロモーション
「今日は歴史的な日だ.これから何世代にもわたって語り継がれる一日だ」
ただ,部下が貨物船の船長に就任するというだけであっても,John Bellにかかればドラマティックな映画のワンシーンのようだ.
「数十年後には,勇敢なJohn Bellの子孫,宇宙のコンドル,そして第5クエーサーの鷹が,船長の後を継ぐんだろうよ」
まるで貨物船船長の歴史についての記録の一節を読んでいるかのように,彼は三人称視点で話した(いったいどんな素敵な物語なのだろう).
「銀河は多くの偉大な船長を見てきただろうが,飛べる奴はほとんどいなかったはずだ…」
Bellが「遺産」という言葉の意味について熱く語り始めたので,あなたは数週間前のあの出来事を思い出すことにした.
Xenophon 12の修理を待っている間に,Centarious ZEROで本物のQuanticと話をしたというヒッチハイカーに遭遇した.あなたは最初,彼をただのペテン師だと思っていたが,彼と話すほどに,あなたは興味を惹かれていったのだった.彼はQuanticの人々と,その文化について精通しており,Quanticたちを滅ぼしたと言われている,いわゆる”量子コンピュータ”についても詳しかった.果たしてこんなことがあり得るだろうか?
再び現在,– Bellの話はやっと,あなたが聞きたかったところまで進んだらしい.
「しかし,今日は終焉についてではない.はじまりについて,だ.お前はこれまで10年近く,俺の忠誠なる部下であった.今日からはお前が.この船を仕切るんだ」
まるでコミックのようなセレモニーであるにも関わらず,あなたは船長の言葉に誇りを感じずにはいられなかった.
「しかし,このことをおおやけにする前に,最後のアドバイスだ.よく聞け.自分の頭を信じろ.お前は俺がこれまでの人生で会った中で最も賢く,熟達した操縦士だ.そして最も好奇心旺盛なヤツでもある.これは若い積荷運びにとっちゃあプラスに働くかも知れんが,船長には集中と規律が必要だ」
Bellは目を輝かせて言った.
「好奇心は猫を殺すだけでなく,Quanticをも殺す.よく覚えとけよ」
あなたは,Bellの言葉に驚いたのを悟られないように努めつつ,返答した.
「船長,心配しないでください.私はずっと前に,そのおとぎ話について詮索するのをやめましたから」
しかしあなたは頭の中で,すでにCentarious ZEROへのコースを計画し始めていた…
Quaziの使命
「どうしてここに来たんだっけ…」
ルナ・ラガーを3杯入れた後(そして十分すぎるほどの無駄な会話の後),あなたはCentariousへ来たことが時間の無駄であったように感じた.
あなたが話した6人のうち,3人は量子コンピュータについて聞いたことがなく,2人に関しては完全にあなたをあざ笑っていた(「あなたはそんな陰謀論を本当に信じているんですか?」).そして最後の男は,あなたを栄養サプリメントのネズミ講に引き入れようと必死だったのだ.
長い溜息をついてから,残ったビールを飲み干し,バーを出るために立ち上がった.しかし,あなたが立ち去ろうとしたとき,引き締まった手があなたの肩をつかんだ.振り返ると,バーテンダーが鋭い眼光であなたを見つめていた.
「君,もし君が分別のある人間ならば,君は早々にこの地を離れ,次第に量子コンピュータのことを忘れてゆくだろう.しかし,愚行を犯す勇気を持ち合わせているのならば,あそこにいるQuaziと話してみなさい」
バーテンダーの指の先を目で追うと,バーの隅の暗がりに隠れた男がいた.
「彼は君の求める答えを持っている」
あなたは逸る気持ちを抑えつつ,どうやって話を進めるかを案じながら,その男の元へ歩いていった.しかし,あなたが男に声をかける前に,その男があなたに話しかけてきた.
「優秀な操縦士,と聞きました.どうぞ,お座りください」
あなたは驚きで目を見張った.数秒の沈黙の後に,あなたは堰を切ったように男に問い詰めた.
「量子コンピュータは実在したのか? Quanticは実在したのか? どうして彼らは消えたんだ?」
用意していた内容だ.
男は疲れたような溜息をついた.
「はい,Quanticは実在しました.量子コンピュータも実在しました.そして,あなたが考えている通り,彼らは量子コンピュータが原因で消えました」
「あなたが知らないのは,Qunaticは全滅してはいないということです」
Quaziは,こちらを見ている者がいないか,周囲を確認してから,自分の服の袖をまくって見せた.彼の上腕に,「Q」の文字が小さく輝いていた.
あなたが質問をしようと口を開くと,Quaziはそれを制止した.
「はい,私はQuanticです.ですが,今は聞かないでください.私の話を,ただ聞いてください」
あなたはすぐに口を閉じた.
あなたはこれまで,Quanticたちが何千年も前に絶滅したと信じていた.しかし,いま,あなたの目の前に,本物のQuanticが座っているのだ.
「私の先祖は科学者でした.彼らははるか昔に,量子コンピュータを完成させました」
Quaziは話し始めた.
「量子コンピュータは,Quanticの社会に革命をもたらし,私たちを宇宙の深淵へと導くはずでした.人々がそれによって姿を消すことがなければ,それはきっとうまくいっていたでしょう.私の先祖の1人,…素晴らしい人でした,Qemoという名のエンジニアは,自身がこの問題を解決できると確信していました」
「しかし,人々の失踪が続くにつれ,過激な反量子テクノロジーの組織が誕生しました.彼らは自分たちを”NQ”と呼び,手当たり次第に量子コンピュータ関連のテクノロジーを破壊することを発表しました.彼らの力は,当時力を持っていたQuanticの政府にとってさえ,驚異的なものでした.”Quanticの心は聖なり”というスローガンを掲げ,いくつもの研究機関を破壊し,Quanticの帝国における量子テクノロジーの存在を一掃しようと企てました」
「NQの大虐殺は量子コンピュータの研究機関に限られていました.そこには,エンジンや制御システムがありました.彼らはQemoの妻が犠牲になるまで,量子コンピュータが彼らの友人や家族を消し去りかねないということに気づいていなかったのです.生涯を量子コンピュータの開発に捧げ,また,NQに対し忌憚ない意見を発し続けたエンジニアは,この悲劇的な出来事で最愛の妻を亡くしました」
あなたはQuaziの話が終盤に近づくにつれ,震えが背筋を駆け下りていくのを感じた.
「QemoがNQに参加した後,全てが終わりました.彼は,量子コンピュータが保管されている研究所へアクセスする方法をNQに教え,盗難の手助けをしました.NQは,そこにQuanticたちが保護されていると思っていました.実際,ある期間までそれは行われていたのですが….しかし,量子コンピュータを起動させたときに,何かが起きました.それは誰しもが気づかないほどに繊細に,驚異的な威力を発揮しました.その部屋にいた者を除いて,全てのQuanticはそこで消え去ってしまったのです.もちろん,当時彼らは何もわかっていませんでしたが,後になって,その事の重大さに気づいたのです」
「恐ろしい出来事でした.彼らはその後,量子コンピュータを解体し,Entanglion銀河全体にそのパーツを分散させるという,非常に困難な手をとりました.量子コンピュータのような不安定な技術をこれ以上突き詰めるよりも,種族を維持することを選んだのです.何百世代も先の子孫が,失われた人口を取り戻し,以前のように繁栄することを期待したのでしょう.Qemoは,量子テクノロジーが成熟したときにのみ回避が可能な,特別な防御システムを開発しました」
「これが真実です.私は現在生き残っている少数のQuanticの1人です.私たちは,もし量子コンピュータを再構築できれば,Quanticを再び繁栄させられると考えています.しかし残念なことに,私たちにはそのための船も資源もありません」
Quaziは一息ついてから,目の前で呆然としているあなたにむかって言った.
「でもあなたはこれらを持っている.でしょう?」
感想
長かったですね….お粗末な文章で申し訳ありません.そして,読んでいただきありがとうございました.
正直,Bell前船長の言葉にあった"condor of the cosmos and falcon of the Fifth Quasar" とか,よく意味合いがわからない表現がいくつかありました(´・ω・`).英語がお得意なお方,ご助言いただければと思います.