DeflaterやInflaterを使うときに注意すること

Deflate操作時に使用するjavaの標準ライブラリであるjava.util.zip.Deflaterとjava.util.zip.InflaterはJNIで単にzlibを呼んでいるだけなので(少なくともOracle JRE/OpenJDKの場合)、newのタイミングでJVMの管理外の領域に少なくとも辞書窓サイズ分のメモリを確保する。Deflateの辞書窓サイズはだいたい32KiBぐらいある。
次のコードはJVMには大した影響を与えないが、あっさりJVMの外のシステムのメモリを枯渇させるだろう。

DeflateSample.java

public class DeflateSample {
  public static void main(String... args) {
    for (;;) {
      new java.util.zip.Deflater();
    }
  }
}

##対応
使い捨てでDeflater/Inflaterを使う場合は必ずend()を呼ぶ。または使い捨てず、可能な限りreset()して使いまわすようにする。

finalize()がend()を呼び出しているので、GCが走れば解決はする。したがってend()しなかったとしても完全なメモリリークにはならない。
しかしDeflaterがJVM内部で必要とするメモリサイズに比べ、JVM外部で消費するメモリサイズのほうが圧倒的に大きいので、システムメモリが枯渇するより先にJVMのメモリが尽きてGCが走るだろうと思うのは幻想である。

なお、GZIPOutputStreamとGZIPInputStreamは内部でDeflater/Inflaterを生成しており、close()するまでend()を呼ばないので、必ずclose()しよう。

###おまけ
恐ろしいことにJavadoc上のend()の重要性はかなり曖昧だ。「実装の問題」ということなんだろうか。おかげでこの問題は自力で引き当てるまでなかなか気が付かない。