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Mbed ウェビナーの LoRa, LoRaWAN, The Things Network 注目ポイントまとめ(その2)

Last updated at Posted at 2018-03-09

じつは当記事(その2)が本来シェアしたかったもの。

Mbed のウェビナーの LoRa, LoRaWAN や LPWA 記事が良かったので抜粋翻訳(その1)の続き。
前回記事は Jan Jongboom 氏とのやりとりもあり、また全項目を網羅する事にしたため意に反し長くなったが、今回は出来るだけコンパクトに。まず、地図1枚、動画1本。
そしてその後に、加えてスライドからチェックポイントをピックアップ。

まずこの色分け地図をシェア。

Screen-Shot-2018-03-08-at-18.32.18-compressor.png

【地図】 LoRa 用 ISM バンドの周波数帯 - Jan氏スライド p.18/上の地図

 • 今のところ筆者の観測範囲内では、この地図が一目で見やすく最良と思う
 • 総務省HPにある Semtech製PDF資料(p.12/下図) も良い資料なので、おすすめ
 • LoRa技術基本特許は Semtech で、STMicro と Microchip 2社がライセンス生産
 • モジュールは「Semtech SX127x」+「STMicroMicrochip 」で、現状は STMicro 多い
 • よく目にするのは SX1272, 1276, 1278 で、日本用周波数帯なら SX1276 が該当

Screen-Shot-2018-03-08-at-19.09.56-compressor.png

やはり色分け地図区分は判りやすい。元資料より、まとめ上手の方がずっと良い場合よくある。
LoRa/LoRaWAN の解りやすい資料?なら、筆者は Jan氏版、総務省HP版、上記2つを挙げる。

【動画】Arm Mbed + LoRa で FOTAアップデート(開発中でもここまで出来てる)

 • 注目の6分間〜 指定の5個 →→ 52KBファームのアプデ終了までの変化に注目。
 • 音悪いと動画コメでツッコまれてるw。画ヅラだけで倍速でも良いからこの動画をチェック!
 • iPadで「指定したLoRa子機5個だけ」をアプデし、緑LED文字「A」→「虹色」に変化していく
 • この動画、Jan氏・Johan氏とも他でも引用してる(ならば音録り直した方が…と思うけど)
 • ビデオ内では、マルチキャストで120個のターゲットでもテストしたと言及
 • 多数のノード端末子機とゲートウェイ親機、電波強度が混在するような実証実験にも期待

Screen-Shot-2018-03-09-at-2.38.27-compressor.jpg

回線速度がかなり遅く条件の厳しい LPWA 系規格で、これほど明快に FOTA の実演例は、我が観測範囲内では寡聞にして知らない。単純にすごいと感じたのがシェアする動機。(もし他にも良い資料あるなら、優しく教えてください)

ここまで2点【地図】と【動画】が、まずシェアしておきたい情報。


さらにいくつか有用と思われる情報や補足・注目点などを以下に。

▶︎ ウェビナー・スライド p.12 - Hata model について

なぜ東京タワー?Hata model?これは、秦正治 氏の電波減衰などの経験則モデルの事と知った。
詳しくは「奥村・秦モデル」で検索すれば資料多数。都市の電波減衰の計算基準だから大都会東京か。
これ台風の強さの基準「藤田スケール」と同様、日本人の地道な努力や経験則の賜物であった。
音量・音圧と聴感における「等ラウドネス曲線」のように、経験値が増えたら将来、微調整/改定の可能性はあるのかもしれない。
 

▶︎ ウェビナー・スライド p.16 - Device class 〜 A, B, C の3タイプ

ごく単純化して一行で表現しているので、詳細は他の資料を参考に。
• Class A:ノードデバイス子機側から発信し、その後一定時間起きていて再びディープスリープ。省電力。
• Class B:一定間隔でビーコンの様に交信し、親から子機へダウンリンクで送るのに適している。
• Class C:ネットワーク/ゲートウェイ親機側から発信し、子機は常に受待ち。低レイテンシー。
(規格設定は A,B,C とあるが、一般に IoT センサーノード用途なら A を指すと考えて良かろう)
 

▶︎ ウェビナー・スライド p.17 - Typical LoRaWAN Topology 〜 全体構成を見る

注目すべきは、左端センサーノード群と、ゲートウェイ群が複数同士で「多 ⇄ 多」関係なところ。
前回(その1)記事でも触れたが ゲートウェイは透過的存在 という設計がされている。
 

▶︎ ウェビナー・スライド p.19 以降 〜 TTN の登録や Mbed OS について

TTN への登録、Mbed OS での開発方法、ハードウェアの種類の説明など。
LoRaWAN の開発において Mbed OS がしっかりサポートする、と締めくくっている。

Mbed OS と LoRa/TTN ── IoT センサーノードから Cloud へ 

• これまでの IoT 雑感

IoT はまずデータを収集するところから始まる。
当然そのデータは、投資し努力して地道に集めた団体/企業などの所有物だ。

現時点で Internet - of - Things でインフラが絡むハード(Things側)はしばらく地味な努力と、時間や投資が必要に思われる。データを集めもしないで、すぐ明日にでも IoT がドル箱に!などということは無い。

そして集約したデータの置き場所(=クラウド)を用意することになる。注目されるのは、集められたデータ(Internet側)の方だ。だから IoT の Things 周りを見てたはずの筆者も、だんだん Internet/Cloud の技術に注目・傾倒することになった。

すぐに投資効果の出にくい、Things への投資は無駄なのか?
そんなことはない、と思う。黎明期の今こそ、我々は新しい方向に、前に進むべきだ。

具体的には、企業などですでに物理的なインフラ投資がありデータを集められるとか、すでに大量のデータを収集している場合、既存のインフラを新しい技術、例えばプライベートで LoRaWAN に置換えたりする辺りから。
センサーノードや各種ハードの価格が下がってくれば、利用範囲も広がっていく… 大まかにそんな流れになりそうだ。

ウェビナーのスライドでは、他の主な LPWA 技術、例えば NB-IoT などにも触れている。
各国の携帯回線キャリアがすぐ興味を持ちそうな NB-IoT も気になるが、やはり LoRa/LoRaWAN は注目株だ。

• Internet/Cloud について

本稿の趣旨と少し変わるが、データ収集についても触れておきたい。
地道に投資や努力をして収集したデータ(資産)を持つものが、マーケットで(商圏で)価値を持つ事になるのは、少し考えればわかる事だが、さて、その資産をどこに置く・預けるかという話だ。

大手クラウド各社は、最近目にする Kubernetes* や Docker や Cloud Foundry など、オープンなコンテナ技術などで可搬性を持たせ、今や自ら「他所に移動可能です」などと謳うほどになっている。
(* Kubernetesって? → 今さら人に聞けない Kubernetes とは?@MahoTakara氏 など参考になると思う)
(クラウド・コミュニティ勉強会にて、大手競合同士が壇上で上記のような発言をしているので、当初は本当にビックリした。パブリック・クラウド界隈では、もはや見慣れた風景になってしまったが…。)

さて、データを預貯金に例えるなら、自由に引き出し、移動や利用、売買できない場所(=ベンダーロックイン)に預けるだろうか?

もはや囲い込みは時代遅れ。大手クラウド各社は、それに気づいていると感じるし、また、自ら同じオープン技術を使いインフラ構築をしていることも一因だろう。むしろ積極的に情報を公開・シェアしている感さえある。

しかし、このオープンなクラウド全盛の時代に、ときおり最初からベンダーロックインありき… の話を持ち出して来られる場面がある(違和感)。
そんな時、そもそも「営業されるままビジネスプランに乗り投資したら、知らないうちに自社データがベンダーロックインしてた」などという"情弱"(表現悪くてスマヌ)な顧客が、クラウドとかIoTに手を出すだろうか?と感じてしまう。
(いや、あったりしそうでコワいけど)

さて、ここは技術をシェアするQiita。IT系メディア評論の場ではないので、この辺で。

• The Things Network と Arm Mbed について

現時点でスマホの90%以上、また IoT 端末をはじめ様々な機器に数多く使われている Arm プロセッサと、この TTN の関わりを見ていると、一つの途はハッキリ出来つつあると感じるのは筆者だけではないだろう。

セキュリティを考えると、マルチキャストでファームウェアのアップデートが可能とか、魅力的だ。
筆者もしばらく前 TTN メンバー登録はしていたが、そのまま放置…。今回の状況をみて、改めてもう少し関わって行きたいと感じた。
だから今回、情報をシェアしてみた。

今後 Arm Mbed と TTN/LoRa のコラボの動向は、期待しながら見守っていきたい。

• 附記 ── Firefox OS 再び 

掲載の許可のため、Jan 氏の連絡先を調べた際に、彼のサイトにこんなのがあった。
http://janjongboom.com/#conf
"Before ARM he was a core contributor to Firefox OS, and he wrote hundreds of patches..."
とあって、彼が Firefox OS のかなりのコア・コミッターだったことを知った。

じつは筆者は ARM mbed + Firefox OS ハッカソン 参加してた(成果物:わらうフォクすけ
連絡をした際、日本発の「フォクすけ」についても少し触れ、そんな話もできた。
いやぁ、来たものは取りあえず何でも参加してみるもんですね(雑食性)

(了)
 

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