Note:
この記事は 2023年10月10日(太平洋標準時)に公開された Microsoft セキュリティ更新プログラムの概要をまとめたものです。
以下の製品群にフォーカスしたものとなっています。(主にデバイス管理者向け)
・各クライアントOS ( bitness は x64 対象 )
Windows 11 (22H2)
Windows 10 (22H2/21H2/1607LTSB)
・Microsoft Office (Microsoft 365 Apps for Enterprise)
・Microsoft Edge (Stable v117)
Microsoft がナレッジ内で言及している推奨手法(回避策)については"タメ語"で一部表現しておりますが、ご容赦ください。
Summary
・Win10/11系列ともに一般公開1件、悪用実績2件。(CVSS高スコアもあり)
・Win11 22H2は品質更新内にて機能追加あり。(パスキー対応、SmartScreen強化等)
・.NET Framework 更新あり
・Win11 21H2(Home/Pro)、WS2012/2012R2はEOSとして最後の更新公開。
・Office2016/2019はメインストリームサポートの終了に伴い、M365接続のサポート切れ。
Windows Client 今月の献立
Version | Build | CU KB | NetFx KB | SSU KB | Other |
---|---|---|---|---|---|
22H2 (Win11) | 22621.2428 | 5031354 | 5031323 | - | (5012170) |
22H2 (Win10) | 19045.3570 | 5031356 | 5031224 | 5031539 ※1 | (5012170) |
21H2 (Win10) | 19044.3570 | 5031356 | 5031223 | 5031539 ※1 | (5012170) |
1607 | 14393.6351 | 5031362 | 5031000 | (5030504) | (5012170) (4589210) ※2 |
※1 単体SSUにおける最新。各種前提を適用できていない場合は 2022年5月のSSU(KB5014032) を先に適用してね。
※2 Intel マイクロコード更新。
2023-10 .NET Framework 3.5 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows 11, version 22H2 用) (KB5031323)
2023-10 x64 (KB5031224) 向け Windows 10 Version 22H2 用 .NET Framework 3.5、4.8 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム
# 以下、オフラインイメージ等で利用
2023-10x64 ベース システム用 Windows 10 Version 22H2 サービス スタック更新プログラム (KB5031539)
2023-10 x64 (KB5031223) 向け Windows 10 Version 21H2 用 .NET Framework 3.5、4.8 および 4.8.1 の累積的な更新プログラム
# 以下、オフラインイメージ等で利用
2023-10x64 ベース システム用 Windows 10 Version 21H2 サービス スタック更新プログラム (KB5031539)
2023-10 Windows 10 Version 1607 (x64 版) 用 .NET Framework 4.8 の累積的な更新プログラム (KB5031000)
2023-09x64 ベース システム用 Windows 10 Version 1607 サービス スタック更新プログラム (KB5030504)
# LCU では最新の SSU の適用を強く推奨するという表現。
2022-12 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 22H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
2022-08 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 21H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
2022-08 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 20H2 のセキュリティ更新プログラム (KB5012170)
2021-01 x64 ベース システム用 Windows 10 Version 1607 更新プログラム (KB4589210)
Microsoft Edge-WebView2 Runtime バージョン 117 Update の x64 ベース エディション (ビルド 117.0.2045.60)
Windows Known Issues (2023/10/11 06:00 JST)
新規問題は現時点でなし。
Vulnerability
以下の基準でピックアップしたものです。(脆弱性全ての一覧ではありません。)
・ゼロデイ(一般公開/悪用実績あり)
・CVSSスコアが高い (9.0以上)
・その他話題になっているもの
CVE# | タイトル | 深刻度 | 一般公開 | 悪用実績 | 悪用可能性指標 | CVSSスコア関連 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
CVE-2023-36434 | Windows IIS Server の特権の昇格の脆弱性 | 重要 | なし | なし | 悪用される可能性は低い | スコア : 9.8 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 : なし ユーザー関与:不要 スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
CVSS高スコア。 IISサーバーが対象。攻撃者は総当たり攻撃(ブルートフォース)を行うことでシステムに別ユーザーで正常にサインインできる可能性あり。強力なパスワードを使用している場合は緩和可能。 |
CVE-2023-35349 | Microsoft Message Queuing のリモートでコードが実行される脆弱性 | 緊急 | なし | なし | 悪用される可能性は低い | スコア : 9.8 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 : なし ユーザー関与:不要 スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:高 可用性:高 |
CVSS高スコア。 MSMQ (Microsoft メッセージ キュー サーバー)を有効にしている環境のみ対象。 攻撃者は特別に細工されたファイルをユーザーに開かせることでリモートで任意のコードが実行する可能性あり。 |
CVE-2023-44487 | MITRE: CVE-2023-44487 HTTP/2 Rapid Reset Attack | 重要 | なし | あり | 悪用の事実を確認済み | (Microsoft以外のCVEのため、スコア情報なし) | 今月のゼロデイ。 リモートの攻撃者が、RapidReset攻撃として圧縮されたHEADERSフレームのシーケンスとそれに続くRST_STREAMフレームを送信し、HTTP/2リクエストの処理において内部リソースの制御が不適切に行われることで、サービス拒否に陥る可能性あり。 |
CVE-2023-36563 | Microsoft ワードパッドの情報漏えいの脆弱性 | 重要 | あり | あり | 悪用の事実を確認済み | スコア : 6.5 攻撃経路:NW 条件複雑:低 必要特権 : なし ユーザー関与:必要 スコープ:変更なし 機密性:高 完全性:なし 可用性:なし |
今月のゼロデイ。 攻撃者は特別に細工されたアプリケーションをシステムにログインして実行するか、実行するように他のユーザーを誘導することで、NTLMハッシュを入手して秘密情報にアクセスする可能性あり。 |
M365Apps 今月の献立
Channel | Build |
---|---|
Current | Version 2309 (Build 16827.20166) |
Monthly Enterprise | Version 2308 (Build 16731.20316) Version 2307 (Build 16626.20222) |
Semi-Annual Enterprise Preview | Version 2308 (Build 16731.20316) |
Semi-Annual Enterprise | Version 2302 (Build 16130.20810) Version 2208 (Build 15601.20796) |
Perpetual Enterprise (Office 2019 Standard) | Version 1808 (Build 10403.20013) |
Office Known Issues (2023/10/11 12:00 JST)
Apps | Issues | Status/WorkAround |
---|---|---|
PowerPoint | 32bitアプリでは秘密度ラベルの自動適用・推奨機能が利用できない。 | 32bitアプリでは当機能がサポートできていないため。対応中。 |
Outlook | OutlookのキャッシュモードでMAPIを使用して共有予定表のプライベートアイテムを表示できない。 | 調査中。 回避策 ・RESTを使用する。 ・オンラインモードでMAPIを使用する。 ・Web版やiOS/Android版アプリを利用する。 |
Outlook | Outlookの起動が遅く、スプラッシュ画面で長時間スタックする。 内部的にはRESTからMAPIへの切り替え時に問題が発生する。 ※開くことをキャンセルして再試行すると解消することがある。 |
調査中。回避策は2点。 ・下記レジストリを設定して、RESTを強制化する。 HKCU:\Software\Policies\Microsoft\Office\16.0\Outlook\Options\Calendar RestUpdatesForCalendar (REG_DWORD) 1 ・設定から共有予定表の機能強化を無効化する。 |
Outlook | 予測入力変換が機能せず、設定上も「入力中にテキスト予測を表示する」オプションが表示されない。 | 修正展開中(対象はベータと最新チャネル。) |
Outlook | タッチモードで各アプリ(ToDo)が機能しない。 | 調査中。 回避策→マウス使ってね。 |
Outlook | クイック操作にて新規に"新しい電子メールの宛先"を作成する際、オートコンプリート機能を利用して連絡先を選択して完了すると、内容が保存できない。 | 調査中。 回避策は、アドレス帳で連絡先を検索するボタンを利用するか、レジストリ(※)を追加してね。 HKCU:\software\policies\Microsoft\office\16.0\outlook DoNotIncludeNickNameCacheInSearch (REG_DWORD) Value: 1 |
Outlook | 会議出席者が、代理人によって変更された添付ファイルを含む会議の更新またはその一部を取得できない可能性あり。 | 調査中。 共有予定表の機能強化を無効にすることで回避可能。(アカウント設定) |
Outlook | 共有予定表で終日イベントを拡張すると予期せぬ伸縮が起きる可能性あり。 | 調査中。 共有予定表の機能強化を無効にすることで回避可能。(アカウント設定) |
Outlook | オンラインモードでメールボックスにアクセスし、メッセージの転送や分類、フラグを設定しようとすると"操作に失敗しました"というエラーが表示される場合あり。 | 調査中。 回避策:キャッシュモードで利用するか、Web版を利用してね。 |
Outlook | 起動時に想定されない形で"前回のセッションのアイテムを再開しますか?"とポップアップウィンドウが表示される可能性あり。 | バージョン2309(16827.20130)にて修正済。 緩和策としては、Outlook設定>全般>起動時のオプションでウィンドウの無効化をすることで非表示となる。 |