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オンラインホワイトボードの比較

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授業や議論で使用できそうなオンラインホワイトボードソフトの比較をしたので記録を残しておく。リモートワークが広がってきてこの手の比較記事はたくさんあるだろうと思っていたのだが、思ったよりは需要がないのか参考になる記事が見つけられなかったので、自分で書くことにした。

チェックポイントとか自分の環境とか

検討するにあたり、いくつかポイントを挙げる。

ホワイトボードが必要になった経緯

Zoom(WebexやTeams、Meetでもいいけど)で議論や勉強会、授業を行っていると、今までのオフラインの時は気軽に使っていたホワイトボードがなくて困ることがある。というわけで、オンラインでもホワイトボードが欲しい。リモートワークが始まって実際にやってみると、意外なほどにテレビ会議でもなんとかなることも多いんだなと思っていたが、この手書きで何かを書きながら話す、ということに関しては代用できることがないと思い、オンラインホワイトボードを探してみることにした。
ちなみに、自分一人が書くだけならば、iPadのGoodNoteをZoomで画面共有すればそれで大抵の場合は用が足りる。ただ、これを授業の板書のような感覚で使うと、共有する画面の広さに限りがあるので学生のノートテイクが追いつかないうちに次のところに先生が行ってしまい、結果的に学生が授業についていけなくなる、という話を何度か聞いた。短い議論ならば書き終わったGoodNoteをPDFにして配布すれば良いのだが、長い議論や授業では話の途中で少し前の内容を確認したくなる人もいるので、スペースそのものを共有して、閲覧者は自由に過去に書いたものにアクセスできるようなものの方が望ましい。
また、Zoomでは画面を2つ以上共有することが難しい。ホワイトボードとして使用しているiPadの画面を共有しつつ、他にもPC上のソフトの動作やスライドや画像、カメラ画像なども見せたい、というのはおそらく無理なので、ホワイトボード機能はZoomとは独立していた方が良いと思った。この理由があるので、Zoomの持つホワイトボードの機能(それ自体は結構使いやすいと思っているが)ではうまくいかない、という時に使うツールを探している。

iPad Pro + Apple Pencilで使えること

そもそもの大前提として、やっぱりタブレットがないと手書きは難しい。マウスで器用に文字や図を書くこともできる人もいるらしいが、限界はあるしどうしても議論の流れが悪くなる。ペンタブレットやMicrosoftのSurfaceなどでやる人もいるが、僕の環境はiPad ProとApple Pencilなのでこの環境で使いやすいことを重視する。特に、Apple Pencilはペンのダブルクリックでペンと消しゴムを切り替えられるので、これに対応していると嬉しい。意外にもiPadのアプリがあるものでも、この切り替え機能に対応しているものが少ない。
あと一応パソコンでの動作確認は手元にあるMacでのみ確認。Windowsでどう動くかはわからない。

無限の空間とサイズが固定の複数ページ

無限の広さを持つホワイトボードに自由に書くスタイルのものと、ページの大きさが決まっていて複数のページに切り替えていくスタイルがある。どちらも利点と欠点があるので一概にどちらが良いかは言えないが、書き手の立場としては、どちらでもツールに書き方を合わせていけば良いと思う。いずれにしてもそれぞれのスタイルでのノートテイク技術には慣れが必要だと感じた。
ただし、閲覧する人にとっては、無限に広いホワイトボードの場合は迷子になる場合がある。画面に表示されていない部分で書き込みをして議論を進められていると、今どこで話が進んでいるのかわからないし、場所を聞いても答えにくい。その点固定のサイズのページならば、今は何ページで議論していますよ、ですぐにそこにたどり着ける。基本的に議論の最先端は最後のページ、というのもわかりやすい。また、タブレットやPCのトラックパットならば横スクロールできるが、縦ホイールしかないマウスを使っていると左右に展開するような書き方は気をつけないとスクロールできずに困る場合がある。スクロールしようとして間違って長い線を線画してしまう、ということも意外と起きやすい。
このことを考えると、特に閲覧がメインの人が多くそれぞれの様々な環境からの接続があるオンライン授業では、ページスタイルのホワイトボードを使う方が良いのではないかと思っている。

文字入力

ホワイトボードにテキスト入力(キーボードを使って文字入力)ができるかどうかの機能は、タブレットでペン入力デバイスを持っている人は使わない機能だけど、ない人にとって重要かもしれない。

共有方法

サービスによって共有方法はいくつかある。ユーザ登録やログインを要求するものと、単にURLのみでブラウザからアクセスできるものがある。当然利便性としては、可能な限りログインの手間や事前の準備がなくすぐに誰とでも共有できる方が良いが、大抵の人はGoogleのアカウントは持っていると思うので、Googleでログインできるならばいいのかな、とも思う。

比較と(とりあえずの)結論

今の個人的な結論としては、MicrosoftのWhiteboardsが良さそうだけど、何しろ大学のMS Office 365でなぜか無効にされていいるのとか、組織外と接続できないので相手によって他のソフトと使い分けなくてはならないとかの理由があるので、しばらくはGoogleのJamboardを使うかな、という感じでいる。どのサービスもまだ発展途中な感じがするので、昨今のリモートワークで使われるようになってバグ修正や機能追加がされていき使い勝手も変わっていくのではないかと思っているので、しばらく様子をみたい。

サービスの名前 iPad & Apple Pencil対応 ページスタイル 文字入力 共有 その他
Microsoft Whiteboard iPadアプリ有, ペンタップには対応していない 無限の広さ できる 組織内のMicrosoftアカウント保有者のみ 高機能
Google Jamboard iPadアプリ有, ペンタップには対応していない 固定サイズページ できない 誰とでも共有可能 高機能
Zoom Whiteboard iPadのZoomアプリでアクセス, ペンタップに対応 固定サイズページ できる Zoomの参加者と共有 明示的に保存しないと会議終了後になくなる
Miro iPadアプリ有, ペンタップには対応していない 無限の広さ こっちがメイン? アカウント登録が必要 重い
A Web Whiteboard ブラウザでのアクセス 無限の広さ できる ログインなしで共有可能 拡大縮小でペンの大きさも変わる
Whiteboard Fox ブラウザでのアクセス 無限の広さ できる ログインなしで共有可能 機能は限定的
Witeboard ブラウザでのアクセス 無限の広さ できる ログインなしで共有可能 機能は限定的

各サービスの感想

Microsoft Whiteboard

Surface Hub 2Sというものがあるらしい。でも、今はこの手のインタラクティブホワイトボードって会議中のソーシャルディスタンス確保できないので使えないよね。
この高性能なホワイトボードがなくても、アプリだけでも今回使った中では一番の高機能。高機能でiPadアプリもあるのに、なぜかApple Pencilのタップでの切り替えに対応していないのだけは何か理由があるのだろうか。やっぱりApple PencilではなくSurface Penを使えということなのだろうか。あと、これは自分の環境の問題だが、なぜかうちの大学のOffice365ではWhiteboardの機能が使えない。後で問い合わせてみよう。
とはいえ、致命的だったのは共有相手がとても限定されていること。大学内で使うことはできるが、組織外とは共有できないので、他のチームとの共同研究などでは使えない。基本的にMicrosoftのサービスはいろんな意味での囲い込みが厳しいのが嫌い。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/surface-hub/whiteboard-collaboration

共同作業セッションは、同じ Office 365 テナントに属しているユーザー間でのみ実行できます。

Google Jamboard

https://jamboard.google.com
こちらも、Google Jamboardを使うことを期待しているみたいだが、単体のアプリも良い。
機能はMicrosoft Whiteboardsには劣るが、これでも必要十分。Apple Pencilのタップでの切り替えに対応していないのだけが残念だった。しばらくはこれを使ってみようと考えている。
共有がiPadでは組織内のみの共有しか設定できないが、Macで設定するとURLを知っている誰とでも共有にすることができる。何故iPadのアプリで設定できないのかは謎。もしかしたら僕がやり方を知らないだけかもしれない。
あと、MacのSafariで書き込みをしようとすると動きが異常に遅くなる、というバグ(?)がある。MacでもChromeで使うと全く問題ないので、GoogleのAppleに対する何かの嫌がらせなのかと勘ぐってしまうレベルで、基本的にSafariからは使い物にならない。Safariからも書き込みはせずに見るだけならば問題ない。

Zoom Whiteboard

Zoomのホワイトボード機能もなかなか気が利いていると思っている。会議中にちょっとだけ絵を描きたい場合はこれでも十分なのかもしれない。上に書いた理由があるので自分は使っていないが、何も環境がない場合にすぐに使えるのはとても良い。
ただ、使用するにあたりいくつか気をつかけないといけないことがある。
まず、パソコンでZoomに参加している場合、別途iPadからも同じZoomに参加する必要がある。Zoomは同じアカウントを使っていても同じ会議室に複数のデバイスからログインできるので、それ自体は問題ない。ついでに複数のデバイスからログインするときは、2つ目以降のデバイスではオーディオを切断しないとハウリングするので注意が必要。
で、ホワイトボードだが、これをMacのZoomから開くホワイトボードとiPadのZoomアプリから開くものとでは機能が違う。それぞれの特徴としては、

  • 書いていたものの保存(どちらも明示的に保存しない限り会議が終わるとなくなる)
    • MacのZoom: 開いている会議が中断されない限りは一度閉じても保存されている。
    • iPadのZoom: 一度共有を解除すると内容が消えてしまう。
  • 共有状態
    • MacのZoom: Macで開いたホワイトボードはiPacでも書き込める。
    • iPadのZoom: 本人しか編集できない。
  • ペン(どちらもApple Pencilのタッチ切り替えには対応している)
    • MacのZoom: ペンの色、太さ、蛍光ペンなど機能は豊富。
    • iPadのZoom: 必要最低限の機能はある。

という感じ、同じZoomの中のホワイトボードという名前でも、その内容は完全に別物になっている。iPadのものは本当にちょっとだけ限定で何かものを描きたいときに使う程度の用途しか想定されていないので、議論の中心としてとか授業の板書代わりに使う場合は、最低でもパソコンでホワイトボードを作成してiPadから書き込む必要がある。また、共有の編集権と閲覧権を細かく設定することはできず会議の基本参加者ならば誰でも書き込めるようになるので、参加者が多い場合故意でなくても不注意で書き込まれてしまうこともあるので注意。
という感じで、Zoomのホワイトボードの機能はそれ自体はそこそこちゃんと使えるが、やっぱり独立したサービスを使う方が良い場合が多い。

Miro

https://miro.com/
オンラインホワイトボードで検索して何度か見かけたので使ってみたが、どちらかというと綺麗なマインドマップを作るお絵かきソフトなのではないかとすら思う。チームでマインドマップを使うような人にとっては良いツールなのかもしれないが、単純なホワイトボードか必要な人にとってはあまり使いやすいものではないと感じた。あと、単純にページを開くのもアプリを起動するのがとても遅い。

Webブラウザでアクセスする系3つ

この3つは(おそらく同様のサービスは他にもあると思うが)iPadアプリを持たない、基本的にブラウザで全部完結するWebアプリ。それぞれ微妙な使い勝手の違いがあるので、どれか一つに決めて使い方に慣れないと、併用は難しいという印象を持った。
どれにも共通して言えるのは、思ったよりもブラウザでもiPadでの書きごごちは悪くないし、反応もストレスなくかける。というか、下手なメモアプリよりは

いくつか使い比べてみて気になった点を書く。

  • ペンの太さ
    • AWW: 拡大縮小するとそれに伴ってペンの太さもスケールする。この機能は正直不便で、全体のスケール感がわからなくなる。
    • WhiteboardFox, Witeboard: どちらもペンの太さは固定で変更できない。
  • マウスのホイール
    • AWW: 拡大縮小に割り当て
    • Whiteboard Fox: 動作しない。
    • Witeboard: 縦スクロール
  • トラックパットでの動作(基本的にはマウスのスクロールに準ずる)
    • AWW: 二本指の上下で拡大縮小、左右は効かない。
    • Whiteboard Fox: 動作しない。
    • Witeboard: 二本指スクロールで上下左右の移動ができる。
  • 拡大縮小、キーボードの矢印
    • AWW: 上記のようにスクロールで拡大縮小ができる。加えて、中心に戻るボタンや全体の概要を示すところがある。キーボードの矢印は反応しない。
    • Whiteboard Fox: 拡大縮小ボタンがオプションの中にあるので、連続でできない。そのため全体を見渡したりズームインするのがスムーズにできないのが難点。キーボードの矢印は反応しない。
    • Witeboard: 普通の縦スクロール用のホイールを持つマウスで左右に移動する方法がわからなかった。キーボードの矢印キーを使うと画面スクロールができる。

かなり好みがあると思うが、ちょっと使ってみた感じではAWWが一番使いやすかった。一つだけ困った機能は、上に書いたように拡大縮小でペンや文字入力のフォントの大きさもスケールして変わってしまうこと。そのため、どんどん色々な場所にスクロールしながら拡大縮小を繰り返して書き進めていくうちにだんだん文字が大きくなってしまった。この大きさの標準がどんどん変わってしまう感覚は、一度使ってみないと文字では表現しにくい。
残りの二つはまだ発展途中のサービスなのかな、という印象を持った。それぞれいいところもあるが、巨大なメモになった時に全体を把握する方法がなく拡大縮小がすぐにできないので、かなり用途は限定される。

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