LaTeX環境というと、ちょっと前までは当たり前のように自分のパソコンに初めにインストールするものの一つでした。最近MacOSXをクリーンインストールした時にまた入れるの面倒だなぁと思い、そろそろ基本的にはクラウドに移行しても良いのかと思ったので、メモを残しておきます。
基本的にMacのことしか書きません。
LeTeX環境に関する雑感
LaTeXは一度環境を作ってしまうとそのまま数年は触らないことが多いのですが、気付いたら色々なことが新しくなっていて時代遅れになっていることがあります。例えば、私がLaTeXを使い始めた当初(20年くらい前)は、図はepsで作ること、出力はpostscriptというのが常識でしたが、最近はpsやepsを使うことはないです。基本的にはpdfやjpgを使い出力もpdfというのが常識だと思いますが、いまだに「図はeps」のような指定してくることがあって絶句することは、まれによくあります。
余談で、かつかなり業界が限られてますが、私が普段使っているグラフ作成ソフトのCERNのROOTではTikZのサポートもしてました。
https://root.cern.ch/content/saving-canvas-tex
これを使う人がどれくらいいるのか知りません。私自身は結局pdfを使っていますが、特にグラフの軸や凡例などで数式を使いたい時や、グラフと本文の文字のフォントを揃えたい、というこだわりがある人には良い選択肢なのだと思います。
図だけでなく、日本語の扱いとかコンパイラ(TeXエンジン)も多種多様で、とても全部を追いきれないというのが実情です。pdfLaTeX、upTeX、XeTeX、LuaTeXあたりが最近はよく目にするものですが、それぞれ得意不得意や歴史的な経緯があるみたいで、素人にはどれを使って良いのか分かりません。自分で一から文章を書くときは基本的に最新のものを使えば良いと思っているのですが、論文は投稿予定の論文誌のテンプレートを使うことになるので、そのテンプレがどのコンパイラに対応しているかに依存してしまいます。英語の論文ならばpdfTeXかLuaTeXを使えば大抵の場合は問題ないのですが、日本語の場合はその場その場で対処するしかないです。あまりにわからないので、私は可能な限り日本語の文章はLeTeXでは書かないようにしています。
英語で論文を書くならばOverLeafを使うのが良いと思う
一番有名なので、こだわりがなければこれを使うのが無難です。ただし、外国のサービスなので日本語対応は微妙なところがあります。
英語で論文を書く場合は、これを使うと共著者と同時編集もできるのでとても便利です。いちいちPDFにコメントをもらってそれを一つ一つ対応して、という手間がなくなります。無料アカウントでもgitに対応しているので、ローカルの環境で書いて、それをアップロードする、という使い方もできます。
ちゃんと検証したわけではないですが、図が表示されないことがあります。コンパイラをXeTeXにすることで正しく図が表示されるようになりました。
日本語の対応は色々な方法があります。公式のヘルプに少しだけ書かれています。
https://www.overleaf.com/learn/latex/Japanese
公式では書かれていませんが、一番簡単なのはコンパイラをXeTeXにする方法です。\documentclass
にも少しだけ変更が必要で、下記のように書けば使えるようになります。
\documentclass[xelatex,ja=standard,jafont=noto]{bxjsarticle}
ただし、エディタが日本語に対応していないため、日本語で長い文章を書くには少しストレスがあるかもしれません。海外のサービスなので、おそらく今後も日本語の細かい対応は期待できないと思っています。
無料でも十分な機能を持っていますが、学生ならば有料サービスを年80ドルで使えるみたいです。Studnet Planと書いてあってアカデミックライセンスではなさそうなので、大学のスタッフでも割引はないのかな。そのうち必要になったら確認してみるかも。
日本語環境ならばCould LaTeXの方が使いやすい
日本語限定ならばこちらの方が良いかもです。OverLeafとの違いは、
- 共有機能がない
- 日本語には初めから対応している
- 無料
くらいです。ひとりで書く日本語の文章で必要になったときはこちらを利用しています。学生向けの解説書とか日本語のマニュアルですね。
でも結局ローカルにもLaTeX環境が必要になってしまう理由
もうLaTeXのインストールとか環境設定とかも必要なくなってクラウドの時代なんだなぁ、思っていたのですが、いくつかの理由があって結局ローカルにもMacTeXをインストールすることになってしまっています。
一つ目の理由は日本語環境です。複数人で編集が必要な日本語のレポートがあったので、Overleafで書きはじめたのですが、短い文章ならば良いのですが、長い文章になると色々とエディタがイマイチなのでストレスがたまります。Overleafはgitが使えるので、gitで拾ってきて、編集して、アップロードしてコンパイル、という流れの作業をしていたのですが、細かな調整を確認しながらする作業はいちいちgitの作業が入るのがストレスになってしまい、結局自分のローカルにも環境を作ることになりました。
もう一つは、LaTeXiTです。プレゼンで利用しているのですが、これが使えないことに気づきました。色々とオンラインでできる代替サービスはないかと探してみたのですが、やっぱりプレゼンに差込で数式を入れるのはLaTeXiTが優秀でした。
結局適材適所で、いろいろなソフトが必要になってしまう
ホントはに文章を書くソフトは一つに統一できた方が色々と楽なのでしょうけど、なかなかそうもいかないのが現状ですね。世の中の人だと、文章作成=Wordという人がほとんどだと思うので、それで統一できると色々と楽なんだろうなぁ、とは思います。自分の現状を書いてみます。
ワープロソフトは、AppleのPagesを使っています。こだわりというよりは、慣れと惰性で使っています。Wordの使い方に慣れていない、WordはMacでもemacsのキーバインドが使えない、あたりも理由です。
最近Google Docsを使えないかと模索中なのですが、まだ慣れないので急ぎで必要になった文章はPagesで作ってしまいます。時間がある時にはGoogle Docsで使って、使い方に慣れようと頑張っているところです。やっぱりローカルに環境を用意しないで良くOSを選ばないので可能な限りクラウドに移行したいとは思っているのです。
コンパイルが必要なLaTeXは出来ることならば使いたくないのですが、数式が多い文章だったり、テンプレが決まっている文章など、必要なときはなるべくOverleafを使うようにしています。日本語で絶対に共有する可能性がない、というときのみCouldLatexを使っています。