持続するコミュニティへの向き合い方
AWS Summit Japan 2024 の Community Stageでコミュニティの持続について話してきました。
スライドにはほとんど文字を残していないので、将来の自分へのメモもかねてブログに残しておきます。
https://aws.amazon.com/jp/summits/japan/expo/
はじめに
コミュニティ活動はボランティアによる運営のため、仕事や家庭と比べるとどうしても優先度が低くなります。
趣味などと時間を奪い合うことになり、強いモチベーションがないと継続することが難しくなります。
これ、市民ランナーのメンタルモデルと全く同じで、市民ランナーも様々なことが時間を奪い合う中で時間を捻出して走っています。忙しくなってくるとランニングの優先度はどうしても下がってしまいます。
私はフルマラソンを2時間30分で走る日本最速のITエンジニア(週刊BCN調べ)です。忙しいからと言ってパフォーマンスを落とすことは由々しき事態です。
フルマラソンに向き合うマインドや行動をヒントに、コミュニティの持続に繋がる10個の処方箋をまとめてみました。
10の処方箋
1. はじめの一歩を超える
- 開始する前からあれこれ考えると、気が重くなってしまい後回しになる
- 開始のハードルを極限まで下げることでスタートを切ることができる
- 何事も1分やればやりたくなってくる
市民ランナー
- 着替える、シューズを履く
- 着替える前にあれこれ考えない
コミュニティ
- Slackで「そろそろやりませんか?」と呼びかける
- connpassで前回のイベントをコピーする
- 下書きを作れば企画を考えたくなってくる
2. 集まれる場を作る
- 何事も一人でやると継続が難しい
- みんなで学べるのがコミュニティにいる一つの理由
- しかし、自分の余裕のある時に学びたい勉強会があるとは限らない
市民ランナー
- 練習会を企画する
- 現在、毎週火曜日に朝4時30分起きで皇居を走ってる
- 一緒に走ってくれるKatzさんがいるから、約束がランニングの優先度を上げる
- 練習会は2人だってよい
コミュニティ
- 勉強会を企画する
- オンラインでもオフラインでもよいので、場を作ることに意義がある
3. リズムと習慣
- 自分が継続できる負荷を知ることが重要
- 習慣化することで同じことでも楽になっていく
市民ランナー
- 同じコースを走る、ルーティーンを作る
- リズムが良いほど高負荷で遠くまで走れるので、自分のリズムを知ることが重要
- 3回連続でやれば習慣化しやすい(3日連続、3連続、3か月連続など)
コミュニティ
- 横浜支部はre:Capを毎週やっている(10回ぐらい)
- 今では10分前に集まって、気付いたら配信が始まってるぐらいの「ゆるさ」で継続している
4. 自分を解き放つ
- 習慣を続けた先に自分が目指すべき状態になっているかは問い続けたほうが良い
- 目標があることで、自分を少しレベルアップさせようという気持ちになる
市民ランナー
- 大会に参加し、目標タイムを設定している
- そのために練習してタイムを縮めている
コミュニティ
- 登壇する 「100回の参加より、1回の登壇」
- 自分をさらけ出すのは勇気がいるが、登壇した後は必ずフィードバックがある
- 発表の準備で自分が知らなかった点を補ったりするので、そういう過程も含めて大事
5. ツールを使いこなす
- AWSを使いこなすことで、コミュニティ、会社、社会に貢献していける
- こだわったほうがよい
市民ランナー
- シューズにこだわる
- こだわりに理由がある
- 好きなもの、納得したもので勝負するのは気持ちが上がる
コミュニティ
- 好きなサービスを共有し、コアメンバー同士の得意、不得意を知る
- 自分の得意分野を作る
6. 老いと戦う
- 私は現在40歳なので、ITエンジニアとしてもランナーとしても現実的な課題
市民ランナー
- 20代と同じ練習をすると怪我をしてパフォーマンスが落ちる
- 練習内容やルーティーン、ケア方法を見直し、実践して知見をためる
- 知見を若手と共有する、逆に若手から新しいランニング理論を教えてもらい吸収する
コミュニティ
- Lambdaが登場して今年で10年
- クラウドの裏側にあるサーバーやストレージ、ネットワークを現役で知っている世代は裏側をイメージする際の解像度が高い
- コミュニティで世代を超えて伝承するのは意義あることだし、若手から新しい開発手法などを教わることで「生涯現役」を目指す
7. 相互理解
- 「なぜコミュニティをやっているのか」をコアメンバー同士で共有しあうことは少ない
- コミュニティへのモチベーションを知っていることで役割を分担しやすい
市民ランナー
- 走りながら対話することでお互いを理解する
- ゴール後は心のハードルがゼロに近い状態なので、なんでも話しやすい
- なんでも話すことで、信頼関係を作りやすい
コミュニティ
- 懇親会は心のハードルが下がっている
- 技術の話はもちろん大事だが、コミュニティへの動機、情熱、モチベーションなどを共有しあおう
- 自己開示からの信頼関係の醸成
8. ヒーローを発掘する
- コミュニティで人生が変わった人が多い
- 次のヒーローが誕生することがコミュニティ運営の喜びにもつながる
市民ランナー
- 自分たちの練習会からニューヒーローが誕生するととても嬉しい
- 若い人は速くてもマラソンの経験は少ないので、気持ちよくスタートラインに立ってもらえるようにサポートする
- 練習内容や、ケア方法、レース当日の過ごし方など
コミュニティ
- 横浜支部にはヒーローを発掘したいというマインドがあり、新しい支部の立ち上げを一緒にやることが多い
9. 楽しむ
- 自分の好きなことを知っている人は意外と少ない
- イベントを企画するときも好きなことをやろう
市民ランナー
- 記録向上の達成感、自然の中を走る非日常、おしゃべりしながら旅ラン、ランニングの楽しみ方はそれぞれ
- 自分の気持ちが上がる(もしくは落ち着く)ものを知っていれば、活動の軸をそちらに寄せて、より良いランニングライフを送ることができる
コミュニティ
- アンケートは取らない
- 参加者はお客様ではなく、一緒に盛り上げてくれている仲間というスタンスで運営
- 自分にとって次につながるイベントになったかどうかを重要視している
10. 自分のためにやる
- コミュニティ活動が自分のためになっているかを言語化する
市民ランナー
- 最初は記録向上するのが楽しくて走っていたが、新しい魅力に気付くとさらに楽しくなる
- そのループを回し続けることでランニングにハマることができる
コミュニティ
- 技術を学びたいと思って参加した
- 登壇してみたい→フィードバックが素晴らしい→そういう場をもっと作りたい→活動が会社から評価される
- 新しい魅力がみつかるほど、コミュニティに軸足を置こうという気持ちが強くなる
最後に
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!
現地でお聞きいただいた方々も盛り上げていただきありがとうございました。