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テクノロジー企業でCTOを3年間務めて学んだこと

Last updated at Posted at 2025-05-24

実はこの記事を書くつもりはありませんでした。たまたまカフェで本を家に忘れてきてしまい、暇つぶしに書くことにしたのです。そこで、今日はスタートアップ系テクノロジー企業でCTO(最高技術責任者)を約3年間務めて得た学びを皆さんとシェアしたいと思います。

多くの同僚も同意している通り、CTOのキャリアパスは決して最初から高いスタート地点から始まるものではありません。つまり、生まれながらにしてCTOだった人はいません。テクノロジー企業では、最初に書いたコードが一番記憶に残るものかもしれません。インターン、新卒エンジニア、シニア、テックリード…とさまざまなポジションを経てCTOになるのが一般的な流れです。ここで言うのは「自称CTO」ではなく、実際にその道を歩んできた人の話です。ちなみに、CEO(最高経営責任者)になるのはもっと簡単で、会社を設立して18歳以上なら誰でもなれます。


CTOは21世紀のリーダー

あなたはそう信じますか?私は冗談ではありません。新しい時代(第4次産業革命)はCTOやCDO(最高デジタル責任者)の時代です。ビジネスの伝統的な手法からプラットフォーム、クラウド、IoT、AIなどデジタル技術への移行が加速する中、技術リーダーの役割はますます重要になっています。彼らは舞台裏にいることが多いですが、その影響力は非常に大きいものです。デジタル技術の力で企業に大きな強みをもたらします。よく考えてみると、Facebook、Google、Microsoft、Tesla、TikTokなど世界のトップ企業のリーダーたちは、技術の専門家出身か、少なくとも技術に精通した専門家を側に置いています。


CTOは「Master of builder」

「Master of builder」、CTOは本当にデジタルシステムの構築を理解している人物でなければなりません。AI、クラウド、Webなど特定の分野に特化したCTOもいますが、システム全体を一から構築する知識が不足している場合もあります。CTOはトップダウンとボトムアップの両方からシステムを理解する必要があります。AIの内部動作に詳しくなくても、AIがシステムの中で何と連携し、どのような結果を出すのか、何と通信するのかを理解しなければなりません。要するに、CTOは本物のエンジニアでなければならないのです。指図ばかりする人ではダメです。特にプロダクトやシステムがまだ未熟な段階では、CTOが最初の礎を築く役割を担います。

組織において、ビジョンは最も重要で長期的な要素です。戦略はそのビジョンを実現するための方法です。CTOは技術リーダーとして、組織のビジョンを実現するための技術戦略を策定します。特にテクノロジー企業では、技術そのものが競争戦略となります。そのため、人材獲得競争でも技術リーダーは最重要ターゲットとなります。

技術戦略は技術を追いかけることではありません。プロダクトの初期段階では、市場投入までのスピード(time to market)が非常に重要です。CTOは、今本当に新しい技術が必要なのか、新しい技術を導入した場合の市場投入までの時間はどれくらいか、チームはその技術に対応できるか、アウトソーシングすべきか、どの程度の規模で運用すべきかを見極める必要があります。技術に夢中になりすぎたり、完璧主義に陥ったりすると、ビジネス戦略が狂い、市場投入が遅れ、コストがかさんでしまいます。「done is better than perfect(完璧を目指すよりまず完成させる)」を忘れないでください。技術の世界に完璧などありません。

成長フェーズに入ると、CTOは成長戦略を策定しなければなりません。この段階では、新しい複雑な技術の導入が必要になります。それはビジネスの成長だけでなく、技術による競争優位を実現するためです。Eコマース業界では「システムの応答速度はビジネスの成長速度に比例する」と言われています。つまり、システムが速いほどビジネスも良くなり、その逆も然りです。この時期、CTOは技術チームとともに、今後の成長に対応するための方策を検討する必要があります。「right time(適切なタイミング)」が最も重要です。それはビジネスにも技術にも当てはまります。


ブレーキを踏む人

取締役会やCEOは夢見がちな存在です。彼らは第4次産業革命やAI、ビッグデータ、IoTなどについてよく語ります。しかし、技術リーダーであるあなたは彼らのブレーキを踏む役割を担います。技術とビジネス環境の変化に精通しているあなたは、技術がビジネスに与える価値と限界をよく理解しています。技術を自社開発したり、新しい技術を研究することは、どの企業にとってもリスクの高い投資です。だからこそ、あなたはブレーキを踏み、取締役会やCEO、他の部門長に技術戦略をアドバイスする必要があります。


問題を解決する人

時には、技術への投資が企業の死活問題になることもあります。特にテクノロジー企業では、新しい技術への投資は選択肢ではなく必須です。この場合、あなたは技術戦略のための戦略を立て、会社の戦略の「つっかえ」を解消する役割を担います。何をするかは取締役会が決め、どうやってやるかはあなたが考えなければなりません。


CTOはビジネスマンでなければならない

もしあなたがCTOなら、常に起業家精神を持っていなければなりません。つまり、組織の戦略立案に参加し、その実行を担う必要があります。技術が組織のビジネスプロセスにどのような影響を与えるかを理解しなければなりません。起業家精神がなければ、正しい技術戦略を立てることはできません。起業家精神を持たない技術リーダーに何百万ドルも費やした企業をたくさん知っています。ただし、起業家精神があるからといって、ビジネス目標のために全てを犠牲にしてよいわけではありません。過去50年間の統計によると、技術投資は10倍に増えましたが、GDPに占める技術の価値は2倍になっただけです。技術リーダーは、技術がビジネス目標を達成するためのツールに過ぎないことを理解しなければなりません。技術以外にも、時間、顧客、マクロ経済など多くの要素が組織の成功に影響します。

現代では顧客を獲得するのが非常に難しくなっています。技術リーダーは、技術がまず顧客に価値を提供し、その顧客が組織に価値を提供することを理解しなければなりません。技術リーダーの自己満足のための戦略は、組織の時間と資金を浪費するだけで、何の価値も生み出しません。「Technology first」ではなく「Profit first(利益最優先)」が正しい戦略です。


CTOはリーダーでなければならない

最後に、CTOはリーダーでなければなりません。一人で仕事をするならCTOではありません。何度も言いますが、「CTOは技術リーダー」なのです。リーダーシップについてはあまり語りません。なぜなら、人や組織によって文化やリーダーシップのスタイルが異なるからです。しかし、どの組織でもCTOがやるべきことがいくつかあります。


トレーニング

21世紀で最も重要なスキルは「学ぶ力」ですが、それに次ぐのが「トレーニング(教える力)」だと思います。トレーニングは会社の戦略に組み込まれていなければなりません。CTOもその精神を身につける必要があります。バランススコアカードでも、L&D(学習と成長)は組織の4つの重要な側面の一つとされています。トレーニングは、チームがビジネス環境や技術の変化に追いつくためのものです。新人はトレーニングと指導が必要です。自分自身の技術力向上にばかり注力し、チームの指導を怠ると、技術力のバランスが崩れ、大きな戦いに臨めなくなります。また、トレーニングは従業員の定着率向上にも寄与します。


計画立案

学びとトレーニングが第1位と第2位なら、計画立案は第3位の重要なスキルです。

「計画を立てずに失敗するのは、失敗する計画を立てているのと同じ(Benjamin Franklin)」

ビジョンや戦略があっても、実行が間違っていれば組織は間違った方向に進みます。実行プロセスの最初は計画立案です。技術リーダーは、自分やチームが何をいつやるべきかを知っていなければなりません。それは、先に述べた技術戦略に沿ったものでなければなりません。


コミュニケーション

コミュニケーションは常に重要なスキルですが、技術リーダーには軽視されがちです。技術リーダーはギークやグルであることが多く、彼らとコミュニケーションを取るのは難しいものです。コミュニケーションがうまくいかないと、情報伝達が困難になり、誤解が生じ、現代の情報社会では大きな影響を及ぼします。コミュニケーションを重視することで、技術リーダーは意思決定や管理、チームワークにおけるミスを減らすことができます。

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