初めに
Motec m84 ECU managerとは、Motec M84というECUの設定をするソフトウェアです。よく燃調をいじると言って触っているソフトはこれです。
MoTeCで取れたデータ(ログファイル)を閲覧するソフトは違います。あやつのことはI2と言います。
今回はECU managerの方を紹介します。
ここからは、Motec m84 ECU managerという名前が長いのでECU Managerと呼びます。
ECU Managerのインストール
ここからダウンロードしてインストールしましょう。
設定ファイルについて
最初に読んでてつまらない話を持ってきて申し訳ないのですが、設定ファイルについて解説したいと思います。
と言っても、覚えることは一個だけです。
motec内に保存されている設定ファイルとPC内の設定ファイルは一致させる必要があります。
どういうことか詳しく説明していきます。
ファイルの保存場所について
(どういう形式で保存されているかは知りませんが)motecの中には設定ファイルが保存されています。
なので、電源を入れてからいちいちPCで設定をしなくても動きます。一度設定をしてしまえば、電源を入れるだけで設定したデータが読みだされ、前回同様にエンジンを動かせるわけです。
もう一つ、設定ファイルが保存される場所があります。それは、motecと接続したPCの中です。
具体的にはC:Program Files(x86)/MoTeC/M84/1.2/
の中に入っています。
motec内のファイルはmotecに接続しないと見れませんが、PCの中に保存されているファイルはmotecに接続しなくても閲覧可能です。
ウダウダ書きましたが、
motec内とPC内の2つの場所にファイルが保存される
ということだけ押さえればokです。
motecを立ち上げてファイルを開いてみよう
motecとpcを接続する
ecu managerを開くとこんな画面が出ます。
ecu managerの左下に注目してください。
motecにusb接続していなかったり、motecが通電していない(マシンの電源を入れていない)とこのような赤色の表示になります。トラベルシューティングに役立つので、この知識を覚えておきましょう。
それでは、USBを挿しましょう。
usbはこんな感じのコネクターに、usb type bのケーブルを挿してPCと接続します。
緑色の表示になりました。
ECUを開く
ECUを開きましょう。
ECUを開くには、
ここにあるopen ECU押します。
ダイアログボックスが出てきます。
英語のメッセージが出ても慌てないでください。
先程の
motec内に保存されている設定ファイルとPC内の設定ファイルは一致させる必要があります。
この教えが役に立ちます。
メッセージを読んでみましょう。
なんとなく察しがついているかもしれませんが、選択肢の意味はこのような感じです。
Use Matching File: PCとmotec内のファイルを比較してマッチする(一致する)ファイルを使用する。
Create New File: 新しいファイルを作る。
PCの中にmotecの中に入っているファイルと同じファイルがあれば上を選び、無いのなら下を選べば良いですね。
自分に合った選択肢を選びましょう。
無事ECUを開くことができました。
白く塗られている箇所はうちのチームの企業秘密です。
ECU Managerでできること
- 現在のセンサーの情報
- 燃調(O2センサー)
- 水温
- 気温
- バタフライバルブの傾き(=スロットルの踏み具合)
- エンジン回転数
- 燃調セッティング
- 点火タイミングの調整
- センサー類の設定(どこの線になんのセンサーを繋いだなど)
- ログデータの取得
- 電装部品の動作チェック
etc
こんな感じのことができます。
ここからは上の箇条書きの順にその方法を説明していきます。
現在のセンサー情報の取得
O2センサー
赤線の箇所に表示されています。
グラフの上に赤文字でLambda1
と書かれており、今回は1.87と書かれています。これはラムダが1.87あるという意味です。
その下にある緑字のLa1 Aim Value
というのは、目標のラムダの値です。
さて、その下のグラフですがエンジンがかかるとグラフに緑線に加えて、赤線が描画されます。
緑線と赤線は上の文字の色と対応しています。
赤線:ラムダの計測値
緑線:ラムダの目標値
つまり、motec君は赤線を緑線に近づけようと頑張って燃料噴射量を変えるわけですね。
水温
青色の箇所で示されています。
ET
はEngine Temperatureの略称で、エンジン温度という扱いになっています。
26.9というのは、水温が26.9℃というのを示しています。
バタフライバルブの傾き
「バタフライバルブの傾き=スロットルの踏み具合」の式がなぜ成り立つかが分からない人は、パワトレを復習しよう。
水色の箇所で示されています。
Efficyが%で示されています。
5.0%というのは5%開いているという意味です。
うちの大学は17%がなにも踏んでない状態で、77%がmaxで踏んでいる状態です。
エンジン回転数
燃調セッティング
黄色のエリアで燃調セッティングをします。
矢印キーでexcelのようにマスを移動でき、そのセルの値の増減で燃料噴射量が変化します。
ちなみに、縦軸はバタフライバルブの開け具合を表しており、横軸はエンジンの回転数を表しています。
上の画像だと、縦軸が20、横軸が1500のとき、17.5とマスに入力されていますが、これは、バタフライバルブが20%開き、エンジンの回転数が1500回転のとき、燃料を17.5吹くという感じです。
点火タイミング
燃料マッピングのを矢印キーで横に移動し続けると、点火タイミングのテーブルが出てきます。
使用頻度が低すぎるので、今回は言及しません。
センサー類の設定
Adjustをクリックすると色々出てきます。
Close and save
はただファイルを保存して閉じるだけですが、後の項目はセンサー類の設定の箇所です。
センサー類を追加したくなったりと詳しい情報を知りたくなったら下のリンクのpdfを見ましょう。
ログデータの取得
この画面のときにctrl + F8
を押します。
ログを取得するまでしばらく待ちます。
この選択肢はYes
を押します。
More Detailes
を押します。
Event Name
がファイル名になります。いつこのデータが取られたのかが分かる名前を付けましょう。
session
とshort comment
も付けておくと良いです。
名前を付けたら
OK
を押して、先程の画面に戻り、もう一度OKを押すとログデータがC:\MoTeC\Logged Data
に保存されます。
電装部品の動作チェック
今回はイグニッションがちゃんと火花をちらしているかをチェックする方法を紹介します。
Utilities→Test Outputsと進みます。
怖そうなダイアログが出てきますが、勇気を振り絞ってContinue
を押します。
左の選択肢で点火するプラグを選択し、左下のStart Test
でイグニッションを発火させられます。
終わりに
急いで書いたので知りたい情報が抜けてるところがあるかもしれません。ご要望により追記、改善するのでご連絡を。
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