この記事は2024年EMアドベントカレンダーの記事です
アドベントカレンダー初日の記事ということで、少し軽い感じでEMの誰もが行うであろう1on1のTIPS的な記事を書いてみました。
1on1とは何か?
まずEMとメンバーの1on1は、1対1で話すこと"だけ"ではないです。
1on1は手段の名称ですが、EMがメンバーと行う1on1には達成すべき目的があります。
1対1で話すミーティングはありますが、それも含めて1on1と呼ばれることがあります。
しかし、ここでの1on1はEMとメンバーと言う関係の中で必要と定義されている1on1を行うことと想定しています。
EMがメンバーのマネージャとして行う1on1はチームの成果を最大化することが目的です。
チームの成果の最大化のためには個人への1人1人のフォローが必要です。
つまり1on1は個人のケアのためにやることではなく、チームの力の最大化に向かっている必要があります。
期待されていることは、メンバー個人の力を引き出し、チームの貢献を最大化し、会社へ価値を貢献することです。
つまり、マネージャとメンバーの個人的な解決の場が目的なのではなく、
チームへ貢献方法を実現するために、「障害になっていること」を取り除くきっかけを得たり、「さらなる力の発揮」の方法を見つけるための場です。
1on1で話すことがない問題が何故起きるのか?
1on1が個人やチームが良い状態を目指すための情報を拾い上げる場だとしたら、これ以上良い状態がないということになります。
- チームは完璧な状態で、これ以上に良くできることがない
- 自分はパーフェクトな人間で、現状で100%力を発揮できており、未来においてもこれ以上に成長する余地がない
これができていたら凄いチームですね。
おそらくそんなチームはこの世にはないでしょう。
何かしらのもっと良くする方法があるはずです。
つまり、1on1で話すことがないのは視点のアイデアがないだけであり、視点を知ることが大切です。
特にメンバーから話題がないときに、EMは質問を投げかける必要があります。
よりチームの力を引き出すための観点での質問をすれば、メンバーも視点を見つけることができます。
話すことがないときによくある雑談する手段について
1on1をするときに別に雑談するだけで良いんだという考え方もよく見ます。
確かに話すこと自体に価値はありますが、EMが忙しい中で目的なく雑談している時間はないと考えています。
忙しいなら1on1を減らしますか?
雑談だけで満足してしまうと、忙しいときに1on1の優先順は下がり、1on1の時間は減らされてしまいます。
私は1on1をそんなに簡単に減らして良い時間だとは考えていません。
同時に雑談は全くなくてもダメですし、多すぎてもいけないと考えています。
雑談やプライベートの話題の意味を考える
雑談は心理的安全性やアイスブレイク、想像しない話題を引き出すときには良いかも知れません。
しかし、あくまで手段であり本来的ではありません。
これらは障害や活躍の切っ掛けを見つける1つの切り口に過ぎず、雑談スタンスになりすぎると本来の1on1の期待を実現できません。
プライベートの話題はセンシティブです。大きな障害になっている場合に聞くことはありますが、様々なハラスメントにもつながることがあり現代のマネジメントでは取り扱いは更に難しくなっています。
深い信頼関係を築いた上で話さないと本質的な話題まで届きません。
しかし、1つ1つの雑談が信頼を積み上げることは確かです。
探索的な方法集の手段の1つであり、こればかりだと目的を見失ってしまうと考えています。
話すことがないときに起きていることと対策
今回は話題がなくなってしまう理由を理解するため、いくつかの視点を紹介します。
基本は狭くなっている視野を広くすることで解消するものであり、話題を発見をする切り口は無限にあります。
マイナスを取り除くことしか考えられていない
良く陥る観点として、マイナスをゼロにする活動しか見ることができていない。
個人に対する対処しか見えておらず、チームをより良い状態にするための課題が見えていない。
もっと成長の可能性を伸ばしたいと思っても、まずは自分の気になる課題や困っていることが解決していなければ、次の成長に目を向ける余裕がありません。
まずはマイナスの課題を解決するために1on1をすることは良いことです!
しかし、マイナスの課題が解決したら、もう話すことはないのでしょうか?
チームのさらなる改善や成長のためにもっと話せることはあるはずです。
成長は無限です。自分の活躍方法をもっと考えてみても良いと思います。
自分のことしか考えられていない
個人の行動の改善が、チームの改善に広がり、チームの成果に繋がっているか?
チームの改善をしようと思っても、まずは自分の課題が解決していなければ周りに目を向ける余裕がありません。
まずは自分の課題を解決するために1on1をすることは良いことです!
しかし、個人の課題が解決したら、もう話すことはないのでしょうか?
チームのさらなる改善のためにもっと話せることはあるはずです。
今のことしか考えられていない
今の能力が前提で問題ない状態だが、自分の能力がもっと高かったらできることはないか?
自分が成長をすると、その能力を持っている前提で取り組めることが増える。
わざわざ過去の自分の能力基準で考えたりしない。
その前提を変えるような変化を起こし始めるのは今である。
今起こし始める変化はなんだろうか?
キャリアの話や目標の話、あるいは家庭のフェーズの話でも変わるかも知れない。
全ての状態の変化を前提に今できる最良の選択をすることがより良い未来を選択できる可能性を広げることができる。
3つの視野を広げる
プラスマイナス軸・人間軸・時間軸の3つの視野を広くすると良い。
- 更に良くするには?理想の状態はなにか?
- チームがもっと動きやすくなるには?困っている人はいないか?
- 今の前提を変え、前提が変わる未来の変化は何か?未来の成長は何か?
自らで理想を定義し、可能性を見つけ出す。
課題設定には、発生型課題と設定型課題の2種類があります。
問題が発生して対処する方法を考えるのが発生型課題。
自ら理想の状態などを設定して、それに向かって推進することが設定型課題です。
来たものに対処するのではなく、自ら理想状態を定義することで、その理想像を実現するための議論が無限にできる。
そして、なるべく早く実現するためのスピードはいつでも向き合うことができる。
- 理想のチーム状態はどのような状態か?
- 自分が成長を実現した理想の状態は?
- もっと早くたどり着く方法は何か?
これが目標設定とそのトラッキングです。
エンジニアと理想を決めるにはエンジニアリングの力が必要
これらはコーチングだけでは定義できません。なぜならば、メンバー自身が知らないことをコーチングで引き出すことはできないからです。
- 会社からの期待
- 会社の別組織などの状況
- エンジニアの市況
- エンジニアのキャリアの作り方
- 技術のトレンド
- 相対的に見たメンバーの技術の現在地
これらは本人から話を聞こうと思っても専門ではないため出てきません。マネージャが積極的に学び、アレンジすべき知識です。
エンジニアリングの知識とマネジメントの知識を組み合わせることでアドバイスをできることがあります。
この「マネージャが持つ知識」と「メンバーの思考性」が合わさった時に、初めて実行すべきアイデアが2人の中で定義できます。
だからこそエンジニアリングマネージャが1on1を行います。
1on1を使って、メンバー働きやすく、成果を実現する、エンジニア組織をつくりたいです。
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