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KPTは簡単だけど難しい。色々なKPTをやってみる

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この記事は ふりかえり(表) Advent Calendar 2023 の 3日目の記事になります。

KPTは始めるのは簡単だが、効果的に運用するのは難しい

アジャイル開発を行うときにKPTは非常に使われているプラクティスだと思います。
ただ、やればやるほどKPTは難しいプラクティスだと感じています。
使い始めるのは簡単だが、使いこなすには相当な練度が必要だと感じていて、壁にぶつかりやすい。
チームの中で良い気づきを促してくれるメンバーが居ると良いですが、居ない場合にはマンネリしやすいと思っています。

ふりかえりの使いこなしイメージ的にレベルを軽く定義すると

  • 初心者 → KPTはルールがシンプルで、すぐに始めることができて、効果も一定が見える
  • 初級者 → 慣れが出てきてマンネリしてしまい、効果的を高めるステップが難しい
  • 中級者 → 毎回新しい観点を見つけ出し、必要な要素をあげて議論できる
  • 上級者 → 議論したいテーマに合わせてKPT以外のふりかえりも選択できる

このようなイメージです。

つまり中級者の壁を超えるために工夫が必要な手法なのではと感じていました。

初心者
初級者
ーーーー 越えなければならない高い壁 ーーーー
中級者
上級者

そこで、今回KPTを様々カスタマイズして、新しく自分たちでKPTを作ってみたり試してみたりすることで、普段のKPTをどのように使うと効果的なのかを気付きが得やすい形にできるのでは? と考え、その内容をお伝えできればと思いました。

KPTの簡単さ

御存知の通りルールがわかりやすいです。
KPTを知らない人でも5分くらい説明すれば参加することが出来ます。

3つの枠のKPTの観点であればどんなことを書いてもよく、自由に書くことを許容されています。

それでいて、過去を振り返る時間として有効に活用できる必要最低限のセットが出来ています。
プラクティスの名前も覚えやすい。

KPTの難しさ

参加メンバーに何を書き出すかの観点を任されている。
悪い言葉でいうと丸投げされている。

ふりかえりを繰り返ししていると、自分の観点を広げることができずに気づきを起こしにくい。

ふりかえりで大切なものの1つとして、この「気づき」があると考えています。

みんなでじっくり考えて気がつくことで、良いことに気が付き、悪いことに気が付き、相手の考えていることに気が付き、良い未来に変えていくために何が出来るかを考える会がふりかえりだと思います。

「気づき」をもっと促すために普通のKPTではないものを考えてみたいと思い、ここで紹介したいと思います!

おすすめKPTカスタマイズ

一般に使われているカスタマイズしているものもあれば、私のカスタマイズのものもあります。
まずは自分のチーム状態に合うものを試してみて、色々と試したあとは自分たちで課題に合わせたカスタマイズしてみると良いかと考えています。

それではカスタマイズしたKPTを紹介していきます。

カスタマイズ1. YGBT

Yatta やったこと
Good よかったこと
Bad 悪かったこと
Try 次やること

はい。YWTとKPTの悪魔合体です。
image.png

YWTはKPTの次によく使われているプラクティスに思います。
やったこと、わかったこと、つぎやること
で、ふりかえりを行います。

事実と理解を分けることで、客観的な事実と感情的なものも含めた受け止め方を分離して書くことが出来ます。非常に便利なフレームワークです。
逆を言うとKPTでは事実と感情的なことを混ぜて書かれているのです!
これは難しい。いつも感情的なことを書いている人は、事実が見えにくいかもしれないですし、事実しか書いていない人は、そこに持つ思いが見えにくくなっているかもしれません。。

そこで悪魔合体します。

事実は客観性なので、やったことはその事実を書きます。
そして、自分が感じたことや理解したことを良いこと(Good)と悪いこと(Bad)

これはYKPTという名前で以前から使われることもありました。
ただ、「事実」と「感情」という分離をしたときに「Keep」と「Problem」という文言は強いと感じたため、「良いこと」と「悪いこと」という名前にしてみました。

事実と感情をフリーフォーマットで理解することはチームのお互いの理解度の高さを求められます。
その領域に行くまでは、このYGBTのふりかえりを使ってみてはどうでしょうか。

カスタマイズ2. 個人、チーム、会社

人によって、自分の意見ばかり書いてしまったり、遠慮をしてチームの観点でしか書かなかったり、様々です。個人が思っていることをチームが知ることでより良い動き方ができるかもしれませんし、チームの活動目線での良いことやチャレンジを考えたり、あるいはチームを超えて会社目線でチームを見ることでより良いチームが作れるかもしれません。

人は空白の枠があると埋めたくなるため、自然と視座を動かせるようになり、広い課題を探せるようになります。

初めての1回目ではそれほどの視座でいつも見ていないですが、何回かふりかえりをやると日常の中でふりかえりのために様々な視座で考える習慣が出てきたりもします。
ぜひ、日常から様々な視座でのふりかえりを考えてみましょう。

image.png

カスタマイズ3. KPT2 (けぷとつー)

ふりかえりでついつい起こってしまう現象がTryで何度も上がっているのに、一向に進まずに解決しない現象です。

Tryに上がったものはスプリントプランニングで検討したいが、中途半端な状態になりがちというものがあります。

そこで、Try = 実行アイデア と Todo = 実行合意に分けることで、明確にタスク化することを合意するのがKPTT = KPT2です。

コツとしてはTodoに設定した付箋(タスク)については、次回のふりかえりで状況を確認するというステップを必ず行うこと。Todoタスクには必ず1人の推進オーナーをつけること。の2つを行うと良いです。

オーナーはタスクを進んでいるか確認や推進する役割なので、タスクを実行する人が別の人でも複数人でも構いません。ただし、オーナーは1人でないと、誰が進めるべきかお見合いになって止まってしまうことがあるため、1人が良いでしょう。

image.png

カスタマイズ4. 自分たちと他の人たち

エンジニアがついついしてしまうのが、システムの状態についてばかり話してしまうことです。

システム課題でなく、チームとしてのコミュニケーションやプロセスの課題や改善アイデアを考えたいです。
そして、チームの内側ばかりに目が行ってしまうのですが、チームの外側から自分たちのチームがどんな風に見えていて、自分たちはどんな風に見せると良い状態を作れるのか?を考えることで、自分たちの開発を進めやすくするヒントを考えられることが多くあります。

ステークホルダーの目線や自分の隣のチームなどの情報を知っていくことが役に立つことが多いです。

image.png

カスタマイズ5. テーマ設定KPT

KPTの汎用性はそのままに、何かについてフォーカスしたテーマを設定します。
そうすることで、意見が発散せずに1つの狭い領域を深掘りすることができます。

チームが課題に感じていることや改善したいことが見えていて、その関心やインパクトが大きいとわかっている場合、そこにフォーカスして話す時間にすることは非常に実のある議論になることが多く、次にやることの価値も高まりやすいです。

ふりかえりの事前準備やファシリテーション力が問われますが、良いテーマ設定ができると効果が高いのでチャレンジしてみたいです。

image.png

まとめ

KPTを基本として使うのは良いですが、チームで発生しているテーマに合わせて少しずつカスタマイズしたKPTをしてみるのも、課題の深掘りやふりかえりの視野の拡大のために良いのではないでしょうか。

何より、色々な新しいことをやってみると、学びもあるし楽しいですよね!
色々とカスタマイズすることでKPT中級者や上級者を目指し、ふりかえりを使いこなして、ふりかえりを生み出していきましょう!

感想や面白いKPTカスタマイズをやっているよという実例などがあったら、是非コメントなどで教えてください!

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