はじめに
主に事業会社でエンジニアをやっていたり、自分でサービスやアプリを開発したエンジニアの方の中には、「PDCAサイクルを回しましょう」などといった言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。
しかしながら、実際に蓋を開けてみると、
- ちゃんと回っているんだっけ?
- 効果でたんだっけ?
- なんか開発しかしていないんだけど...
みたいな疑問や不満がある方について具体的にサービス運営に携わっていく中で、少しエンジニアとしての境界性を越えているように感じるかもしれませんが、きちんと理解した上で開発を行うと新たな視点が生まれ、より開発自体を楽しむことができると思います。
当記事にはその中で基本的な知識を植え付けるための情報と、エンジニアの特性を活かしたスキルについてご紹介できればと思います。
PDCAとは?
PDCAは、以下の工程の頭文字をとった言葉です。PDCAサイクルと言われる場合もあります。
- Plan:計画を立てる
- Do:実行する
- Check:評価する
- Action:改善する
P→D→C→Aの順番に継続的にこの工程を行ってサービスなどの品質を高めるための方式です。
Plan:計画を立てる
以下のようなことを良く耳にしたことがあるかもしれません。
- コンテンツへの流入数が少ないけどSEOを改善したい
- 離脱が多いんだけどUIがイケていないのかも
- 今月数値が落ちているのがトレンドが原因です
確かに、数値を見るとそうなのかもしれませんが、そんなに簡単に解決できるものなのでしょうか?
また、その数値を改善することがサービスにとって一番良いことなのでしょうか?
PDCAを実行する前に、まずはサービスの軸となる目標と目的を明確化しましょう
KGI(Key Goal Indicator)
最終目標が達成されているかを計測するための指標のことで、重要目標達成指標とも呼ばれます。
売上やCV数、流入数など様々ありますが、この数値が改善されることがサービスにとって一番良いということです。
ここでは、具体的な数値が指標となっていることが必要であり、
例えば「お客様の満足度を上げる」という目標は KGIとしては不明瞭であり適切ではありません。
KPI(Key Performance Indicator)
KGIを達成に必要となるプロセスを具体化して落としこんだ指標のことで、主要業績評価指標とも呼ばれます。
もしかすると、耳にしたことがある方が多いのはこちらで、よく施策やプロジェクトの目標とされることも多いとおもいます。
こちらも、具体的な数値が指標となっていることが必要です。
落とし込みの方法については以下で具体的に説明します。
OKR(Objective and Key Result)
KPIは、KGIをブレイクダウンすることで具体化させていきますが、
具体的にPDCAのDoを行う際に「そもそもの目標・目的はなんだったのか?」を数値だけでは見失ってしまうことが良く問題視されます。
例えば、教会を作るためにレンガを積んでいたはずが、いつのまにかレンガを積む作業そのものが目的となってしまうようなケースです。
こちらは、具体的な数値は必要となってはきませんが、ある課題についてあるべき姿を明確に示し、達成するためのプロセスを論理的に設定する必要があります。
例えば「お客様からのクレーム数が多い」といった課題に対して、「お客様からのクレーム数を減らす」という目標は、目の前の課題は一見解決されたように思われますが、サービスとしてクレーム数を減らすことがそもそもの目的とはずれてくる恐れがあります。
そのため、例えば「お客様からのクレーム数が多い」といった課題に対して、「顧客満足度No.1のサービスになる」といったありたい姿から「お客様からのクレーム数を減らす」といったプロセスを設定すれば、ストーリーとしてつながってくるかとおもいます。
KGIからKPIの落とし込みについて
上記の基礎的な知識を踏まえたところで、実際にKGIとKPIの設定方法について解説していきます。
よくありがちなのは、
- KPIの指標を決める際に、どれくらいの数値を目指せばKGIが達成されるのかわからない
- KPIを達成すると直接KGIに影響あるのではなくて、もう少し間に改善されるKPIが潜んでいる気がする
このような悩みがあるときは、ぜひロジック・ツリーに落とし込んでみてください
ロジック・ツリーとは
ある課題に対して、課題に潜む原因や解決方法をツリー状に分解することでシンプルに表現できるフレームワークのことです。
以下の例を使って説明します。
イメージとしては、ショッピングサイトを運営しているといった設定とします。
- まず、KGIは月の売上100万円とします。
- 100万円の売上を達成するためには、月の購入数と1個あたりの金額によって決まります。
- 購入金額はこの例では一律1万円の設定とします。そこから逆算すると月の購入数は100個必要ということになります。
- 購入数100個を達成するには、ユーザーがショッピングサイトに訪問してくれる必要があり、購入してもらう必要があります。そのため、月のサイトへの訪問数を1000人と仮に設定した場合、10%の人が購入してくれる必要があり、これが購入率となります。
このように、ある課題に対して必要な要素を洗い出した上で、原因や解決方法を設定していきますが、課題に対して論理的に解決できることと繋がっているのかといった点が主なポイントとなります。
ロジック・ツリーは数値のような定量的なものを紐付けなくともよいので、
例えば、購入意欲や満足度などある程度定性的なものについても、状況やプロセスを整理するのに大変役に立つものかと思います。
さいごに
次回は、もう少しユーザーに目を向けた際に用いる手法について触れようかとおもいます。