CO-LABO SAKURA
手軽に行けるところに 佐倉市スマートオフィスプレイス「CO-LABO SAKURA」 というのが出来た。
工作室も併設していて、工具も使える。
無料:ドライバードリル(CDD-1020)、バンドソー(TBS-80)、スライド丸ノコ盤(TSS-192)、サンダー(BO3710)
有料:レーザー加工機(VLS3.50) 2,000円/30分(時間利用者)
レーザー加工機を使ってみた~い
昨今の Makerムーブメント に乗ってレーザー加工機には興味がある。
丁度良い機会なので何か作ってみた~い。
でも、意外とハードルが高いのよ
レーザー加工機を使うには(CO-LABO SAKURAの場合)、
- 要申込み(数日前までに、電話
で申し込み。)
- 初回利用時は要講習
- 利用は4時間以内
シェア工房だけの利用は不可で、コワーキングスペースと併用が前提。
コワーキングスペース | 料金 | 補足 |
---|---|---|
2時間料金 | 600円/2h | 追加利用1h毎に+300円 |
5時間~1日料金 | 1,500円/12h | |
※月額利用者は別料金なので、CO-LABO SAKURA のホームページで確認。 |
最低でも 600円(コワーキングスペース2h) + 2,000円(レーザー加工30分) = 2,600円かかるなど
なかなかハードルが高い。
渡りに船
レーザー加工機の詳しい使い方も載ってないし、失敗したらどうしようと思っていたところ、
ひょんなことから、運営に携わられている 佐倉市産業振興課 の方(T さん)にお会いできたので、
「みんなも使ってみたいけど、どう使って良いかわからないハズ。
でも、お金をかけて失敗したらどうしようとも思っているはハズ。なので、
素材もデータも用意するし、試しながら使い方をレポートするので、
原稿料がわりに無料でじっくり時間かけて使わせていただけないでしょうか?!」
と熱い思いを語ったところ(笑)快く快諾いただきました。ありがとうございました。
何を作ろうか
とりあえずゴム製ハンコに挑戦
- なるべく原価はおさえる方向で
仕事で既に使っているならともかく、このためだけに有償のツールを購入するのは難しい。
なので無料のツールを組み合わせて作れないかも調べる。 - 実験的に
QRコードなんかも埋め込んで認識できるかも確認する。
材料
加工材料は自前で用意する必要がある。
-
レーザー加工用エコラバー
サイズ A4(210 mm × 297 mm)、厚さ2.8mm で 1,800円。嫌な匂いが出ないらしい。
通販で購入。送料はポイントで何とかなった。
- 持ち手 ウッドブロック 100均
店頭に並んでいたのは縦横高さ3cmのもの。
このサイズでハンコの大きさが決まる。
データを作る
前提条件(事前調査)
レーザー加工機に接続されているノートPCには Coreldraw X6 がインストールされている。
操作説明書 を見ると・・・
- 図形の「色」と「線の幅」で加工条件を判断する。
- 配色の設定
- 黒=彫刻(ラスター加工)
#000000
- 赤=切断(ベクター加工)
#ff0000
- 青=罫書(ケガギ)線(ベクター加工)
#0000ff
- 黒=彫刻(ラスター加工)
- 切断などのベクター加工のための線幅は、Hairline(極細)もしくは最も細い線幅を指定。
- インポート可能なデータフォーマットは、AI、PSD、PDF、JPG、EPS、TIFF、DWG、DXF、PLT、BMP、GIF、その他 100 種類程度
データの作成
前提条件に従ってレーザー加工機用のデータを作成していく。
※画像編集ソフトは普段から使い慣れている Gimp2.8系 を使用しが、ビットマップが出力できれば何でもOK!
- コンテンツ準備
Lineスタンプ や iMessengerステッカー を作っているので、これを元にしたり、新規に描き下ろして、これをスタンプ用に加工する。
A4サイズは210×297mm なので3cm角のスタンプの場合、7列×10行取れる。
でも、70個も図案を考えるのは大変なので、
今回はA5サイズ148×210mmにして、35個のデータを用意、
正方形なので、縦横同じサイズの画像にする。
同じ画像を使いまわせば35個は要らないね。 - ベース作成
画像編集ソフトでA5サイズ横向のベースを用意する。
3cm間隔でグリッドを設定し、そこに用意した画像を配置していく。 - 切断線描画
グリッドに合わせて、赤の細線を引いておく。 - データ保存
Coreldraw でインポート可能なフォーマットで保存する。
念のため .bmp と .pdf、あとは .png で保存。
データの受け渡しが必要と思われるので、USBメモリにコピーしておく。
持って行くもの
ラバーシート、USBメモリ(データの .bmp と .pdf)、木材(ハンコの持ち手にする)、
ボンド、スタンプインク、カッター、紙、筆記用具、メモ帳、ポケットティッシュ or ウェットティッシュ、
PC(念のため)、飲み物、おやつは300円まで(バナナはおやつではありません。)、
やる気(これ大事)
初回講習
- 付属のノートPCの起動方法
- レーザー加工機の電源の入れ方。(220vなのでインバーターの電源を入れる)
- バキュームの電源の入れ方
- エアコンプレッサーの電源の入れ方
- 高さ合わせの方法(治具を使って手動で合わせる)
- Coreldraw やレーザー加工機のUCP(ユニバーサルコントロールパネル)の立ち上げ方法
を教わったのですが、その後は、T さんもいっしょに、ワイワイ試せたので助かりました。
あんなの一人じゃ無理。やはり経験者がいないと難しかった。
”この辺までは、まだよかったのだが・・・”
データの取り込み
この後が、一筋縄ではいかなかった。
-
USB が認識しない!
相性があるらしく、付属のノートPCで認識しない、別のPCで、別のUSBに移してもらって取り込めた。
万全を期すなら実績のあるUSBか、念のため、2・3個USBを持っていった方が良いかも。 -
データ取り込み
データは Coreldraw でインポートして使うのだが、読込める形式の .bmp と .pdf だが
・.bmp → ヘッダー形式が違うと言うエラーが出て読み込めない。
・.pdf → 縦方向にノイズが表示されて綺麗に取り込めない。
結局、.png が一番きれいに取り込めた。
→ データは .png も持って行こう。 -
画像修正
Coreldraw では、赤の極細線が切断線になるというのだが、.png だと極細線にならない。
結局、T さんに、イラストレーターで読み込んでいただいて、グリッドで極細線を引いていただき
.ai ファイルにして Coreldraw に再度読み込み。
イラレが間に入っちゃったので、完全に無料ソフトだけでとは行かなかった。
Inkscape で代用したり、レーザー加工機ではなく自分でカッターで切断するなら、イラレは不要。 -
設定
ここら辺はT さんに全部設定していただいちゃいました。
色ごとの、出力を設定し、普通に [印刷] するとレーザー加工機にデータが送られる。
やっぱり、経験を積んでいるとか、経験者が同席していないとつらい。 -
UCP起動
タスクバーに表示されている(常駐している)UCPの(Universal Control Panel、ユニバーサルコントロールパネル)アイコンをクリックする。 -
加工準備
操作説明書に従って、加工準備を進めていくが、加工条件の部分が異なる。 -
加工条件
今回はゴムのラバースタンプなので、素材データベースに該当する素材がなければ、新規登録する必要がある。
新規素材の登録は、色々試しながら行うことができたが…
①基本情報はこんな感じかな?
表題 | 説明 | 設定する値 |
---|---|---|
レーザー出力 (Laser Power | プリンタドライバをインストールし時の設定値。 | (変更不可) |
材料の名前 (Material Name) | 任意の名称に変更可。 | ゴム印 |
材料コード (Material Code) | 9000-9999 の任意のコード。未入力でも自動カウントアップ。 | (未入力) |
カテゴリ (Category) | 登録したいカテゴリ(材質)を選択。 | ゴム |
印刷モード (Print Mode) | ノーマル(Nomal)、3D、ラバースタンプ(Rubber Stamp)、クリップアート(Clip Art)から選択。 | ラバースタンプ(Rubber Stamp) |
テーパー (Taper) | 印刷モードで"ラバースタンプ"選択時にアクティブ。5段階から任意のテーパーを選択。 | ノーマル(Nomal Rubber Stamp) or ワイド(Wide) ※1 |
印刷方向 (Print Direction) | ラスター加工時の囲う方向、手前側(Up) / 奥側(Down) | 奥側(Down) |
画像のタイプ (Dither Type) | JPG、TIF、BMP等のグレースケール/カラー画像加工時の画像処理方法 | 白黒2階調(Black and White) |
3D出力 (3D Power) | 印刷モードで"3D"を選択した時のみアクティブ | (未使用) |
注記 (Notes) | 任意でコメント | (未記入) |
単位 (Units) | プリンタドライバの単位の切り替えが出来る。(ミリ/インチ) | ミリ |
イメージ密度(Image Density) | 1(低)~6(高)まで6段階の画質を選択可。数値が上がるほど単位面積当たりのレーザーの照射密度が高まり、高品質な加工ができるが、加工時間は長くなる。ラスター、ベクター共に有効。 | 3 ※2 |
参考:VLS2.30/VLS3.50プリンタドライバ設定マニュアル
※1:プリンタドライバの認識を確認して修正
※2:作業終了推定時間を見て修正
でも、結局テーパーの設定がダイアログのどこにもない。
なので、テーパーの設定はしないで加工した。
ここら辺は、ドライバのバージョンの違いなのかどうか不明。
レーザー加工機製造・販売の関係者やレーザー加工機に詳しい人。教えてください。
レーザー加工機が 30W なので、エコラバーに書いてあった。<30W> Speed:20 Power:80 で加工。
さ・・、3時間!?
A5(A4サイズの半分)で、なんだかんだで、かかった時間が3時間!!
ここら辺は場数を踏んで、パラメータをチューニングすれば改善されるとのこと。
あと、切断だけならもっと早いとのこと。
3時間にわたって、T さんと佐倉市の未来について話し合ってしまった(笑)
更に、出来上がりを見てみると、どうやら粉じんが再度、レーザーの熱で癒着してしまってえげつないことになってる。
粉じん対策が今後の課題。
ここら辺も詳しい人に教えて欲しい。
後は、エコラバーがA4と書いてあるのに、実際にA4のデータを加工すると、端5mmぐらいが切れる。
実際に測ったところ、210mm じゃなく 205mm なので・・・
エコラバーのA4は実際のA4より小さい
素材を測らないでA4のサイズでデータを作ると、一列丸々失敗することになる。
というか、実際失敗してるわけで…(苦笑)。
台座作成
加工が終わったらウッドブロックに張り付ける。元絵に両面テープを貼り付けて、上から透明なテープを貼ったのを作って、
ウッドブロックに貼り付け、反対側にゴムスタンプを貼り付けた。
完成
丸々一日作業になってしまった。
どうやら、癒着した部分もトリミングしたり削ったりして形にできた。
深海の生物シリーズ。結構細かい線もちゃんとできてる。
至急用と、封筒の封印用とメモメッセージ用のスタンプ。
やっぱり線が太い方が良い感じ。
実験的に作ったQRコードスタンプも問題なく認識できた。
真ん中の画像はつぶれちゃったけど。
七福神。スタンプラリーとかにも使えそう。でも、ちょっと線が細すぎた。
下の名前の文字も潰れて読めない。
で、一番良くできたハンコを、レーザー加工機のサンプルとして進呈してきました。
でも、写真を撮るのを忘れてしまった。
是非、CO-LABO SAKURAに行く機会があったら見てみてください。
レーザー加工機で作ったことが分かるようなスタンプになってます(笑)。
まとめ
今回あえて、材料費とか本当ならかかる使用料は計算しないことにした。(すると目ん玉飛び出る(笑))
それよりも、レーザー加工機を使えたという経験がプライスレス。
(でも、T さんも「なんとかしなくちゃ」と言ってました。(あっ、これ言って良かったかな?(笑))
思った以上に時間がかかったのと、手放しで喜べる結果でなかったのがちょっと残念。
ここら辺は、場数を積まないとスキルアップは難しいが、そもそも場数を積む機会がつくれない。
お手軽に、イラスト描いて、気軽に量産という感じにはならなかった。
プロのはんこ屋さんは実際にどうやっているのだろう???。
”でも、レーザー加工機を使いたいけど、どうしたらいいかわからないと思っている人に
失敗談も含めて一助になれば幸い。”
T さん一日お付き合いいただき本当にありがとうございました。
そのうち、リベンジとか提案させていただくかもしれません(笑)が、
その時はまた、よろしくお願いいたします。