Google Playの課金ポリシーの更新
1. どういうこと?
Epic GamesのFortniteがAppleやGoogleによって公開停止になった事件は記憶に新しいと思いますが、先日Googleからアプリ開発者にとって衝撃的な発表がなされました。
GooglePlayの課金ポリシーが厳格化され、GooglePlayで配信するアプリについてはGooglePlayの課金システムを利用することが必須であることが明確にされたようです。
課金ポリシーに違反するアプリは2021年9月30日までに対応することが必要になります。
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Listening to Developer Feedback to Improve Google Play
https://android-developers.googleblog.com/ -
デベロッパー プログラム ポリシー(プレビュー): お支払い
https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/9992660
(日本語訳)
この規約の意図は元々のポリシーには強制されていなかったGoogle課金システムの利用を明文化したものだと考えられます。
2. 何が問題なの?
すでにアプリがGoogleの課金システムを利用している場合は問題となりません。
しかし、Google Playにアプリを公開しているが、Googleの課金システムを利用しないで、クラウドサービスやサブスクリプションサービスを有償で提供している場合に問題となる場合かもしれません。
例えば次のようなサービスです。
- Kindleのような電子書籍アプリ
- 定額音楽アプリ
- メモアプリ
- VoIPを利用した電話アプリ
- その他有償のサービスをアプリ上で実行。
要は会員登録やクレジートカードの登録をアプリ外部で行い、アプリ側では課金を行わないようなサービスの事です。
上記は、現行のポリシーで、このポリシーでは「そのアプリ以外で消費できるデジタル コンテンツに対する支払い(他の音楽プレーヤーで再生できる曲など)」は除外されています。
先ほどの例に挙げたサービスではこの条文に該当するため、現状ではGoogleの課金システムを利用しない場合でも問題となりませんでした。
しかし、新ポリシーの2.aでは次のような記載があります。
a. Google Play の課金システムの使用を必要とするアプリの機能やサービスの例としては、以下のもののアプリ内購入が挙げられますが、これらに限定されません。
- アイテム(仮想通貨、ライフの追加、プレイ時間の追加、アドオン アイテム、キャラクター、アバターなど)
- 定期購入サービス(フィットネス、ゲーム、出会い、教育、音楽、動画、その他のコンテンツの定期購入サービス)
- アプリの機能やコンテンツ(アプリの広告のないバージョン、無料バージョンでは使用できない新機能など)
- クラウド ソフトウェア、クラウド サービス(データ ストレージ サービス、ビジネス効率化ソフトウェア、会計管理ソフトウェアなど)
現行ポリシーでは除外と記載のある記述「そのアプリ以外で消費できるデジタル コンテンツに対する支払い」がすっぽり抜け落ちています。
現在のポリシーはプレビューのため、最終的にこの条文が削除されるのかがポイントになる気がします。もし本当に削除されたのなら、Kindle 等 Androidアプリを始め多くのアプリがGoogle Play
上で提供できなくなるでしょう。大混乱になると思います。
3. Google自身が新ポリシーに違反状態?
このブログに興味深い記載があります。
Q: Do Google’s apps have to follow this policy too?
A: Yes. Google Play’s developer policies - including the requirement that apps use Google Play’s billing system for in-app purchases of digital goods - apply to all apps on Play, including Google’s own apps.
私はYoutube PremiumやGmailの容量追加を利用していますが、アプリ内課金だと高いのでGoogle上のページから課金しています。現状それが許されているため、上記FAQは 新ポリシーの2.a を Google自身が違反している状態です。上記FAQに記載の通り、Googleが本気であればまず自社アプリから対応すると予想されるので、本気度はGoogleアプリの動向を見るのが良いかもしれないですね。
4. Google Play以外のインストール
幸いにもGoogleは、Appleとは違い、自社サイト以外からインストール出来ないということはなく、排他的ではありません。現状でもAPK(いわゆる野良アプリ)や、SumsungのGalaxy Storeなどでもインストール可能です。Android 12では、Google Play以外のストアの利用が容易になるような機能を提供すると予定だそうです。
もし、Google が 強制的なGoogle Playストア課金を推し進めるのであれば、今後第三者が提供するストアが乱立するような事態になるかもしれませんね。
5. その他
期間は1年後(現時点で2021年9月30日)と猶予があまりありません。有償のクラウドサービス等をアプリを通じて提供するベンダーはGoogleの動向に注視し、必要に応じて対策する必要がありそうです。
6. 参考
- https://android-developers.googleblog.com/
- https://support.google.com/googleplay/android-developer/answer/9858738?hl=ja&ref_topic=9857752
- https://jp.techcrunch.com/2020/09/29/2020-09-28-google-play-to-better-enforce-in-app-purchase-policies-ease-use-of-third-party-android-app-stores/
- https://mobilelaby.com/blog-entry-googles-big-crackdown-on-in-app-purchases-2021.html