Twitter有志による無線モバイル勉強会(2/10週頃予定)の担当にご指名されました。かねがえです。
// 1/30いったん書き終わり。
次回の無線モバイル勉強会は、
— かねがえ : MVNO←元でんわ研究員 (@nekokane) January 25, 2023
「固定電話屋さんでも分かるeSIM」
です。
IIJmioミーティング24の資料を教科書に、固定電話やさんの目線で、つまずきそうな点を補足します。
IIJmio meeting 24 IIJにおけるeSIMの取り組み - サービス開始に向けた軌跡 -https://t.co/ooYJG5EpPs
上記のツイートの通り、「IIJmio meeting 24 IIJにおけるeSIMの取り組み」を見て、固定電話屋さんが躓きそうなところを補足したいと思います。
参考文献
[1]IIJmio ミーティング 圓山氏 「eSIMの取り組み - サービス開始に向けた軌跡-」
https://www.slideshare.net/IIJ_techlog/iijmio-meeting-24-iijesim
[2]eSIMふわっと理解 かねがえ
https://qiita.com/nekokane/items/c66e633ab66daa49a67e
[3]3GPP アーキテクチャ
https://twitter.com/nickel0/status/1543561196447891457
サマリ
eSIMのアーキテクチャは3GPPの全体アーキテクチャに比べればシンプルです。
3GPPのアーキテクチャ
eSIMのアーキテクチャ
(1)コンシューマモデル
スマホ等向け。WiFiに繋がる前提でスタート。カメラもついててQRコードも読める。
[1]より図を引用
(2)M2Mモデル
M2M端末向け:車の回路とかに組み込むチップとかに使うもの
オンボードのSIMなので、ボードに画面もキーボードもカメラもついてないかも。
WiFiに繋がらない前提でスタート。
eSIMモデルの比較
EUM:SIM製造ベンダ、MNO or MVNO事業者、eSIMを組み込んだり管理する人、一般ユーザ、端末の中に組み込まれているeSIM。
イメージ
(1)コンシューマ型
スマホのイメージでWiFiとかでWebアクセスできる前提(わかりやすい)
(2)M2M型
中国でeSIMチップ作って、日本で組み立てて、ヨーロッパ、アメリカにハードとセットで出荷。
現地で電源ONしたら、MNOの電波で、なんやかんやでプロファイルダウンロード。
現地キャリアにつながる。(なんか複雑)
図は[2]より引用。
詳細
eSIMとは
図の出典:[1]
組み込み(Embeded)SIMですね。わかります。
組み込みっていうのは、電子工作して、基盤の上にいろんなチップ(CPU、メモリ、センサー、等)を組み合わせて作るやつですね。機械科なのでわかります。
組み込みSIMの問題
図の出典:[1]
製品作る際に、他の電子回路と一緒に、基盤の上にeSIMも組み込まれます。
eSIMのチップが組み込みベンダに納品される時点で、
電源ONした時に最初につながる、加入者情報(HPLMN/IMSI/MSISDN/鍵情報等)も書き込むので、だいぶ初期の段階で、最初につながる(本番プロファイルダウンロード用のMNO)が決まります。
画面やキーボードも物理SIMカードもないので、他のMNO/MVNOに乗り換えるのも難しそう。
解決方法
図の出典:[1]
組み込みeSIMnほハードは一個でいいんですが、
加入者情報(HPLMN/IMSI/MSISDN/鍵情報等)は、使う国で電源入ったら、リモートで追加したり書き換えたりしたいですね。わかります。
eSIMの内部構造
図の出典:[1]
皆さんご存じのとおりですが、
SIMカードの中は、SIMのアプリ(Javaで処理とデータ)が世代や用途に分かれて存在します。
SIM(2G)/USIM(3G/4G)/ISIM(電話)等、
あと共通基盤的な、ISD-R/LPAとかもある。
ISD-R
端末とSIMの入口。いろいろしてくれるGW的な機能部 大事な鍵情報とかは端末から直接見えないよう隠ぺいセキュア。IBCF/DRAの暗号化もしてくれる版ですね。わかります。
ISD-P
加入者情報を保存。ISD-Rでセキュアなトンネルで加入者情報(プロファイル)をSM-DPからダウンロードしてISD-Pに保存。わかります。
・スマホ⇔SIM間は、ISD-PがSIMの入り口として見えるので、端末はISD-P経由で許可された範囲の情報にアクセスできます。わかります。
ECASD
・eSIMの鍵情報保持
ちょっと難しい。eSIMの製造番号とか鍵があって、プロファイル格納サーバ(SM-SR/ SM-DP)とセキュアに通信する時の鍵/証明書が入っているはず ※うろ覚え
eSIM M2Mモデル 最初のeSIM
主な用途はeCALL 欧州で車で事故った時に自動で、最低限の情報(位置・時間)等を緊急機関に自動で送る仕組み用。
図の出典:[1]
ちょっとスピード上がましたね。
SM-DP
プロファイル(IMSI/Key/OPc≒ID/PASS等)の原本を管理してるサーバですね。分かります。
SM-SR
eSIMからプルリクされたら、SM DPにプロファイルを取りに行って、セキュアにeUICCにプロファイルをダウンロードするセキュアなプロクシ的なやつですね。わかります。
eUICC
組み込みSIM=端末内臓のeSIMですね。
MNO
モバイルネットワークオペレータ キャリアですね。分かります。
OTA(Over the aire)でプロファイル書き換えとかもできる。
CI
GSMA公認の認証局ですね。わかりますね。
この方が、eSIM・SM-DP, SM-SRのセキュリティ監査とかして、eSIMの堅牢性を担保してます。
EUM
SIMを作るベンダーさんです。わかりますね。
動作の流れ、
中国で生成されたeSIMが、日本で車に組み込まれて、アメリカでエンジンがかかったとすると。
・初回プロファイルダウンロード専用のBootstrapプロファイルでMNOにつなぎます。
・eSIMを管理している人(車メーカーとか)が、SMSを送り、SIM製造時に登録したSM-SRに、
各国に合わせた本番プロファイルのダウンロードをリクエストします。
図の出典:[1]
M2M型というのは、組み込みで画面もキーボードもないので、電源ONしたらオンラインになるイメージです。
・SM-SRが強いのは、M2MでバイスをONにした時に、最初にプロファイル取りに行くためのプロファイルが必要で、それはSM-SRに繋がるオペレータに繋がらないといけないからですかね。
・プロファイルをダウンロードする時SM-SRに、何かしらの回線でつながる必要があるが、画面もキーボードもないONチップなSIM。
中国でeSIM作って、日本でonにした時に、ヨーロッパにあるSM-SRに繋げるには、ローミングのプロファイルが入っていて、
それを使って、日本の本番用プロファイルをダウンロードする?
・BooTStrapプロファイル
上記で書いてる、SM-SRに最初につなぐためのプロファイル。そのためにずっとMNOと回線契約するの?
図の出典:[1]
コンシューマモデル
なんか箱が増えましたね。(△が増えたor名前が変わった)
SM-DP+
△ +が付きました。プロファイルの原本を管理してるサーバですね。わかります。
なんとMNOの回線ではなく、インターネット経由でアクセスできるようになりました!
Deviceの中の LPA (LDS/LPD/LUI)
SIM(eUICC)の外のデバイスのアプリで、経路を暗号化してSM-DPにプロファイルを取りに行けるようになったようです。
その際には、アクティベーションコードが必要。IIJの場合は、QRコードを読み込む形です。
eUICC(eSIM)の中の LPA Service / Function
これはM2M型と共通 SIMの中のプロファイルをダウンロードして補完するところ。
SM-DS:△
SM-SRから名前が変わりました。どこのSM-DP+にプロファイルがあるか、管理してるDNS的なもの。
CI
GSMA公認の認証局ですね。わかりますね。・ENUM
EUM
SIMを作るベンダーさんです。わかりますね。
Operator
MNOですね。わかります。
End User
人ですね。わかります。
図の出典:[1]
改善点
・End Userの端末がWiFiに繋がってれば、SM-DP+からプロファイルがダウうロードできる。
・MNO経由でSM-SRにつながなくても、インターネットでSM-DSに聞けば、SM-DP+にたどり着けます。
・eSIMの本番利用前は、MNOにつないでなくてもWiFiがあれば大丈夫。
図の出典:[1]
セキュリティモデル
・途中の経路やSIMとSM-DPの間の通信は、GSMAの証明書で暗号化されているので、横から盗み見るのは無理です(クローンSIM作れない)
・GMSAさんの色々なセキュリティ審査に合格しないと、証明書の発行やそれを使ったSIMの製造ができません。
セキュアで安心ですね。
図の出典:[1]
M2Mモデルだと、MNO経由でMS-SRにつなぐ回線(Bootstrapがあったり大変。
コンシューマモデルなら、WiFi経由で、eSIMにプロファイルダウンロードできる!! いいね。
図の出典:[1]
ちょとついていけません。SimAlianceとか大変そう。
図の出典:[1]
eSIMのメリット
・すぐ買える。私の場合はIIJのeSIM初めて発行する時は手間取ったけど1時間ぐらいで開通。
・SIMのデータ化:物理の在庫が無いのは、倉庫がいらないからいいですね。
・SIMの挿入不要:SIMピンを誤って、スピーカーに刺したことがあるので、これもうれしい。
以上です。
もう少しふわっとした話が知りたい方はこちらへ
[2]eSIMふわっと理解 かねがえ
https://qiita.com/nekokane/items/c66e633ab66daa49a67e