可変長の積を取るマクロ

Rustでは関数で可変長引数を直接扱うことができないため、マクロを使って実現する必要があります。この記事では、可変長の引数を受け取って積を求めるマクロを紹介し、競技プログラミング向けに改造する方法も合わせて解説します。

可変長引数の積を求める基本マクロ

まずは、受け取った引数すべての積を求める基本的なマクロを紹介します。

#[macro_export]
macro_rules! product {
    ($( $x:expr ),* ) => {{
        let mut result = 1;
        $(
            result = result * $x;
        )*
        result
    }};
}

fn main() {
    assert_eq!(product!(2), 2);
    assert_eq!(product!(2, 3), 6);
    assert_eq!(product!(2, 3, 4), 24);
}

関数とは違い、マクロは引数の数に制限がないため、上記のように簡潔に記述できます。

競技プログラミング向けに MOD を加える

競技プログラミングでは、「ある素数で割った余り（mod）」を求める問題が頻出です。

例えば、次のような処理をよく見かけます：

let mut ret = 1;
ret *= a;
ret %= MOD;
ret *= b;
ret %= MOD;
ret *= c;
ret %= MOD;

あるいは、短く書いても次のようになります。

let ret = a * b % MOD * c % MOD;

このような記述は、冗長で読みにくい場合もあります。そこで、先ほどの product! マクロを少し改造して、MOD を使った積の計算を簡潔に行えるようにしましょう。

改良版：MODを含む積マクロ

以下のようにマクロを改良することで、積を計算しつつ各ステップで MOD を取ることができます。

const MOD: i128 = 1_000_000_007;

#[macro_export]
macro_rules! product {
    ($( $x:expr ),* ) => {{
        let mut result = 1;
        $(
            result = result * $x;
            result %= MOD; // ← ここが改造ポイント
        )*
        result
    }};
}

使い方はとてもシンプルです。

let a = 2;
let b = 3;
let c = 4;
let result = product!(a, b, c); // => 2 * 3 * 4 % MOD

環境情報

• rustc 1.83.0 (90b35a623 2024-11-26)
• cargo 1.83.0 (5ffbef321 2024-10-29)