飛行機でとても驚くべき体験をしました。
東京から北海道の札幌まで、日本の国内線を利用した時のことです。90分ほどのとても短いフライトです。
搭乗時、普段よりも搭乗にかかる時間が短いなとは感じていたものの、その理由は分かりませんでした。そのうち、搭乗グループが、ロイヤリティステータスや他の任意のグループに沿ってではなく、実際の機内での位置に従っていることに気づきました。これは、CGP Greyの「飛行機に速く搭乗する方法」に関する優れた提案に従った方法です。
ですが、私がそれよりも本当に驚いたのは、降機の速さでした。ドアが開いてから全員が降機するまでの時間は、せいぜい90秒もかからなかったと思います。どうしてそんなことが可能だったのでしょうか?
まず、搭乗や降機は基本的にキューであると理解してください。搭乗や降機では、200名以上の人が1つの小さな隙間(ドア)を通らなければなりません。アルミニウム製の筒の中で座り続けるのはあまり楽しくありませんし、飛行機には行き先があるわけですから、どちらも速やかに行われるべきプロセスです。
でも、アメリカの国内線では、全員が降機するまでに10~15分もかかります。どうしてなのでしょう?
私が乗った便の通路は、アメリカの便に比べて特段広いというわけではありませんでした。それに、200名を1つの小さなドアに通すという基本的な問題は同じです。
私が気がついた、日本の便における決定的な違いは次の2点です。
- ほとんどの乗客が頭上の荷物入れにバッグを入れていなかった
- 特別な事情を持つ乗客(頭上の荷物入れに荷物がある人、子供、お年寄りなど)は、他の乗客が降りるまで待っていた
たいていの人が機内の通路を歩くのにかかる時間は同じです。そして、降機時に乗客が降りる順番は決まっています。窓側の席の人が通路側の席の人を乗り越えて先に降りることはできないからです。すなわち、降機時の遅延は、誰かがキュー(通路)に入ったために列全体が停止する場合にのみ発生することになります。
乗客のほとんどが頭上の荷物入れに荷物を入れていなかったのはどうしでしょうか? 私が利用した航空会社(AIR DO)は、他の格安航空会社とは異なる興味深い手荷物ポリシーを採用していました。それは、45ポンド(約20kg)以下の荷物を無制限に預け入れられるというものです。そうです、45ポンド以下であれば、好きなだけ荷物を預けることができたのです! そうして、皆が荷物を預けていたおかげで、コートやラップトップバッグなどを入れるのに使われることは多少あったものの、頭上の荷物入れはほとんど空でした。
2つ目のポイントは、より文化的なものだと考えます。日本人は一般的に、周りの人たちに迷惑をかけるよりも、座って待つことを良しとします。これは、「出る釘は打たれる」という古いことわざが表していることの良い一面です。
これらの違いは、飛行機から降りるためのキューに1人が入るまでにかかる時間の95パーセンタイルは、おそらく中央値(50パーセンタイル)よりわずかに長い程度まで大幅に短縮する効果をもたらしていました。
キューイングシステムは、95パーセンタイルに非常に敏感です。他のキューでも同じような現象を見たことがあるでしょう。前の方にいる特殊な状況の一人が特別な助けを必要としてシステムを30分詰まらせてしまい、その後ろにとても長い列ができてしまうといった現象です。この結果は、かなり以前から待ち行列理論で数学的に証明されています。
たとえばSidekiqやWebアプリケーションのデプロイメントのようなキューイングシステムでは、中央値についてあまり多くのことをできない場合があります。なぜなら、そのためには最も一般的なシナリオを変更する必要があり、それはしばしば最も複雑かつ変更が困難であるからです。ですが、95パーセンタイルにフォーカスすると、少しの異常値にのみ焦点を絞りつつも、多くの場合、望む結果が得られます。