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key指定でtuple配列のsortを高速化

Last updated at Posted at 2020-10-23

はじめに

競プロ精進中に「計算量的には間に合いそうなのにTLEする...」と悩んでいたところ、前準備のsort部分がボトルネックになっていたと発覚。
ハマったポイントを共有します。

tupleの配列のsort 

key指定あり/なしの違いについて、簡潔に説明します。

key指定あり

a = [(3,3), (2,2), (3,1), (4,2)]
a.sort(key=lambda x: x[0])
print(a) # => [(2, 2), (3, 3), (3, 1), (4, 2)]

指定したkeyの大小によって、sortを行います。keyの要素が等しければ、その順序は保持されます。

sort() メソッドは安定していることが保証されています。ソートは、等しい要素の相対順序が変更されないことが保証されていれば、安定しています。(公式ドキュメント

sort(key=lambda x: (x[0],x[1])) のようにkeyをtupleにして複数指定することもできますが、
本記事では単一の要素をkey指定することを考えます。

key指定なし

何もkeyを指定しないと、
「tupleの0番目の要素で大小比較」→「同じなら1番目の要素で大小比較」→「...」
という方法でsortが行われます。

a = [(3,3), (2,2), (3,1), (4,2)]
a.sort()
print(a) # => [(2, 2), (3, 1), (3, 3), (4, 2)]

このとき内部では、tuple同士の比較演算が行われているようです。

key は一引数をとる関数を指定し、リストのそれぞれの要素から比較キーを取り出すのに使います (例えば、 key=str.lower)。それぞれの項目に対応するキーは一度計算され、ソート処理全体に使われます。デフォルトの値 None は、別のキー値を計算せず、リストの値が直接ソートされることを意味します。公式ドキュメント

「tupleの先頭の要素でsortする」だけなら、key指定ありでもなしでも目的は果たせます。
ここで「じゃあkey指定なしでいいや〜」と思ってkey指定しないと、思わぬ罠にハマる可能性があります。
tuple同士の比較は遅いのです。

実験

「tuple同士の比較」 vs. 「tupleの要素同士の比較」

この2つで、どれほどの速度差があるのかを確認します。
実行環境はAtCoderのコードテスト(PyPy3)です。
各tuple内の要素数は3です。

import random
random.seed(1)

''' n: 3通り
N = 1*(10**3)
N = 3*(10**3)
N = 5*(10**3)
'''

tl = [] # list of tuples
for i in range(N):
    l = random.randint(1,N)
    r = random.randint(1,N)
    tl.append((l,r,i)) # 3 elements in tuple

''' 
# 1. tuple同士の比較 
for i in range(N):
    for j in range(N):
        res = tl[i] < tl[j]
# 2. tupleの要素同士の比較
for i in range(N):
    for j in range(N):
        res = tl[i][0] < tl[j][0]
'''

計測結果は以下です。

N 1. tuple同士 2. tupleの要素同士
$1*10^3$ 78 ms 17 ms
$3*10^3$ 672 ms 129 ms
$5*10^3$ 1875 ms 368 ms

タプルの要素が3つなので「高々3倍程度の誤差か?」と思いきや、かなり大きな差が出ました。
怖い。

tuple配列のsort 「key指定なし」 vs. 「key指定あり」

import random
random.seed(1)

''' n: 3通り
N = 1*(10**5)
N = 3*(10**5)
N = 5*(10**5)
'''

tl = [] # list of tuples
for i in range(N):
    l = random.randint(1,N)
    r = random.randint(1,N)
    tl.append((l,r,i)) # 3 elements in tuple

'''
3. tl.sort()
4. tl.sort(key=lambda x:x[0])
'''

測定結果は以下です。

N 3. keyなし 4. keyあり
$1*10^5$ 198 ms 98 ms
$3*10^5$ 735 ms 359 ms
$5*10^5$ 1361 ms 708 ms

最初の実験ほどではありませんが、およそ2倍程度の差が出ました。

おわりに

さほど気にする差ではないかもしれませんが、問題によってはこれでハマる可能性があります。
実験のコードを見て「あの問題かな?」と思った人もいるはず。
ちなみに、key指定はlambdaではなくitemgetterのほうが高速らしいですね。

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