why
スマートフォンベースの運転スコアリングサービスyuriCargo(ゆりかご)の開発と運用をしています。プロジェクトマネージャのような立場で参加しているのですが、プロジェクト管理ツールを導入したいと思いました。
私なりにツールの選定をしてみましたので、2024年12月時点での手がかりにしていただければと思います。
前提
- すでに採用しているのはSlack, Github, miro
要件
書ける範囲で。
最低3層のタスク構造が実現できること
開発スタイルとしてはスクラムを採用しています。S/M/Lというサイズ感で見積もったバックログを一番小さいレベルのタスクとしたときに、最低3層以上の階層構造で管理したいと思いました。例えば下記のようなものです。
- 第一層
- プロジェクトレベル。例えば「xxの機能をリリースする」というようなもの。
- 第二層
- プロジェクトを構成する大きな単位。例えば「ユーザがサインインできる」とか。ユーザにリリースできる最小単位(=シナリオ?)。本来的な意味のバックログはこの粒度と思われる。
- 第三層
- 1週間スプリントで実際に手をつける細分化されたバックログ。例えば、「DBにカラム定義を追加する」「ユーザ定義を修正する」など。本来的な意味でのバックログではない。
Githubにもカンバンボードやプロジェクト管理機能がありますが、この3層以上の階層構造を作れないため、バックログの分割がめんどくさいなと感じていました。加えてビジネスパイプラインもツール上で管理したいとも思っていました。
オートメーション機能があること
プロジェクトの中でも雑務が増えてきています。例えば、プロジェクトで管理している資産(テストデバイスなど)の管理です。
わざわざ別で作ったエクセルシートを更新しなくても、フォームに入力された内容をもとにリストを更新してくれるようなものがあれば助かります。
その他細々したこと
- SAML認証に対応していること
- 可能であればマルチIdPに対応しているのが望ましい
- 監査ログが出力可能であること
- 社内wiki、手順書置き場が作れること
選定
Asana
同僚が前職で使っていたようで、使用感がよかったとの噂を聞きトライアルしました。階層構造のタスクを持てることはもちろん、オートメーションやAPIが大変充実しているようで、大抵のことは出来そうに感じました。使いこなせればね...
またプロジェクト管理機能とは別に、ゴールを取り扱う機能やプロジェクトを横断的に閲覧するポートフォリオ機能もあります。これらの機能は他のツールにはなく、Asanaの特色のように感じられ好感を持てました。
JIRA
いわずとしれたJIRA。社内の他の部署では自社サーバで運用しているケースもあるようでした。しかしながら他の有識者に話を聞いたところ、スクラム開発の中では多少窮屈(スクラム強制ギプスのよう)だと言われるなど評判が芳しくなかったです。といっても高機能なので使い方次第でなんとでもなりそうな気はします。
ただJIRAの場合はややソフトウェア開発に向きすぎているというか、エンジニアではないビジネス担当者に触ってもらうことを考えると、Asanaの方がとっつきやすさは感じました。
notion
こちらも有名なツールではありますが、プライベートで使ってみた感触的にプロジェクト管理ツールというよりナレッジマネジメントツールのように見えました。タスクはもちろん作れますし、終了状態の管理もできますが、それ自体がメインというより記事につくタグの一つのように感じられました。
Clickup
ChatGPTにおすすめのプロジェクト管理ツールはない?と聞いたら出てきました。シンプルな見た目でありながら、各タスクに内臓ホワイトボード(FigJamにとても似ている)を埋め込めたり、タスクリストをタイムラインなど多くのViewで表示できるところがよかったです。SAML認証を有効化するためにメールドメインの認証が要らないなど導入のハードルが低かったのも高ポイントでした。
ただ私が調べた限り、特に欧州サーバでなのかパフォーマンスが著しく悪くなることがあるらしく、評価の低いレビューの要因は大抵それでした。また、利用規約に「顧客情報は機密情報ではない(意訳)」という文言があり採用を見送りました。これがなければ良い選択肢だったのですが...
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結果
最終的にはAsanaを仮決めし、現在トライアルを実施しています。
今回調べて分かったことがいくつかあります。
- マルチIdPはほぼ全てのツールが対応していない
- SAML認証をするにはEnterpriseプランに上がる必要があり、そのためにはメールドメインの認証が求められる。大企業の全社ドメインの認証を一部の部署でできるわけもないので、独自でドメインを取得するなどかなり面倒。
- Clickupは日本語版がないこともあり情報がかなり少ない(故にこの記事を書いてみたところもあります)。
社内の機密的にかけないことも多く、私自身プロジェクトを推進しながらの片手間で選定していたのであまり深掘りは出来ていないのですが、何らかお役に立てば幸いです。