概要
Jamとは?
AWS JamはAWSより提供されるスキルアップのためのトレーニングです。
Jamでは実際の案件でありがちな構築作業やトラブルシューティングがラボ環境で再現されますので、実際に手を動かしながらこれらの課題(チャレンジ)を解決していくことになります。
Jamを実施する方法として個人で行うパターン、チームで行うパターンの2パターンがあり、どちらのパターンにおいても、AWS Skill Builderのポータルから利用することが出来ます。(Subscriptionが必要です)
また、AWS Summitやre:inventなどでも、Jamのイベントが開催されることがあります。 (以下は2023年のAWS Summit Tokyoでの実施案内)
Team Jamとは?
Jamの参加者を3~4人毎のチームに分け、チーム単位で課題に取り組むトレーニングです。
弊社ではこのTeam Jamを2023年後半から2024年3月にかけて社内向けに複数回実施しましたので、本記事では社内で純粋な学習目的に利用した際の知見を記載します。
Team Jamはこういった学習目的以外に、各チームでスコアを争うことでレクリエーションイベントとしても活用出来ますので、この場合の考慮事項についてはAWS公式等の情報をご確認ください。
実施方法
Skill Builder・Jamのコンソールにログインすることで詳細なドキュメントを確認できますので、こちらでの紹介は割愛します。
ファシリテーター向けのガイドだけでなく、参加者向けのガイドも存在します。
イベント開催時のポイント
イベントの意義を説明する
このあたりはJamに限らずイベント毎全てで同じだと思いますが、必ずイベントの開催意義を説明するようにしていました。
Team Jamに参加してくれたメンバーは若手がほとんどでしたので、以下の内容を特に伝えるようにしていました。
・Jamは(模擬的な)実戦経験を獲得する場である
若手だとアサインされる現場によって身につく技術分野がかなり左右されるため、”よくあるシチュエーション”の模擬戦であるということを認識してもらいました。
・横のつながりを深める
チームで実施することになるため、チーム内で積極的にコミュニケーションしてもらうこと・お互いのスキルレベルを認識してもらうことを心がけていました。(スキルアップのための学習は、ともすれば孤独な戦いになりがちなので、お互いの立ち位置を把握・教え合うことを期待)
・縦のつながりを見つける
AWS案件で困ったときに”頼り先”として、ファシリテーターの方ともコミュニケーションを深めてもらうこともイベントの目的の一つです。リモートワーク中心だと誰が詳しい人なのか分からない・気軽に連絡出来ない、というのはよくあると思うので、そういった際の頼り先を見つけてもらうようにしました。
ラボ環境の用意には時間がかかることを理解しておく
いきなりシステム的な話になりますが、Jamはラボ環境が常に用意されているわけではなく、ラボ環境作成のボタンをポチッとしてはじめてラボ環境作成が開始されます。(数分~十数分はかかります)
そのため、集合したら何よりもはじめにラボ環境の作成を開始するのが重要です。(ゲーム形式で行う場合はラボ環境の作成時間は持ち時間に直結しますので、より一層の考慮が必要と思われます。)
ググってもOK
Team Jamはテストではないので、ググってもOKとしていました。
むしろ実際に案件で色々なタスクをこなしていく際にはググりながら・生成AI等も活用しながら実施していくと思いますので、学校の試験さながらのテストを行うのでなければこれを禁止する意味はないと思います。(むしろ、ここでググる際の勘所を見つけ方を身につけてくれることを期待)
(極力)答えは教えない
ググってもOKということもあり、答えを伝えるのは最後の手段とし、質問されたときの対応はだいたい以下のパターンにしていました。
・見当違いの箇所で詰まっている際はそれを伝える
課題を解決するためのポイントと全く異なるポイントを頑張って設定しようとしている場合は、”そこは今回の課題では関係ないよ”と伝えるようにしていました。また、振り返りの中でどういったシチュエーションならその設定を行う必要があるか、というのも合わせて伝えていました。
・キーワードを伝える
何から手を付けていいか分からない状態になっているチームには、ググる際のキーワードを伝えていました。AWS Docsがヒットするようなキーワードであればチュートリアルや設定のサンプルが記載されていますので、それを参考に進めることが出来ます。(そのDocsが課題の内容に即しているかどうかは参加者に考えてもらいます)
・類似例を持ち出す
"微妙にjsonの書き方が違う。。"であったり、"見ている箇所は正しいけど設定値が正しくない。。。”というときは、"同じ種類の別のリソースの設定値を見たらどうかな?"とコメントするようにしていました。例えば、IAM Policyなど公式が用意しているものがあるリソースがあるときはその記述と比較してもらうことで単純なミスに気づくことが出来たりします。
振り返りを行う
チャレンジ終了後には必ず15~30分ほど時間を設けてチームで振り返りを行う時間を設けてもらい、以下の内容について話し合ってもらうようにしていました。
・チャレンジ内容に対する理解
・出来たこと
・出来なかったこと
・技術的にもやもやしている箇所
また、ファシリテーターから出題されたシステムのアーキテクチャや実案件での使われ方を説明することもありました。
上記を踏まえた時間配分をする
Jamイベントを企画する際には、イベントの意義を説明したり・振り返りをする時間を考慮しておく必要があります。2つ合わせて最低でも30分・多ければ60分は見ておく必要があるでしょう。
そのため、2時間程度で完結する場合、実際にチャレンジへの取り組みに当てられる時間は1時間~1時間半程度と考えてください。
まとめ
AWSに関する勉強・スキルアップの記事を見ていると、資格試験に関するものが圧倒的に多く、資格を取得した後どうするか・(資格のような座学ではなく)ハンズオン形式の学習はどのように行うか、という記事は少ないという印象です。
本記事ではTeam Jamをトピックとしてスキルアップイベントを行う際のポイントをまとめましたが、個人でJamを行う際にもいくつか参考になる点があれば幸いです。
AWSからはこのJamだけでなく、Cloud QuestやCard Clashのような楽しみながらスキルアップできるコンテンツが提供されていますので、是非これらも合わせて学習の効率化につなげていただければと思います。