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スマートメーターから取得した電力消費量を可視化する (2)消費電力量を取得する

Last updated at Posted at 2019-05-04

この記事について

ロームBP35C0-T01とESP-WROOM-32を使って、スマートメーターから取得した電力量を可視化します。
スマートメーターから取得した電力消費量を可視化する (1)機器の準備の続き、今回は電力消費量を取得します。

スマートメーターから情報を取得するための実装

前回の記事で、ESP-WROOM-32(以下ESP32) と BP35C0-T1 を接続しましたので、今回は実際にスマートメーターからのデータを取得します。
と言いつつ、スマートメーターからの情報を取得することなどは二番煎じ三番煎じどころか256番煎じくらいな感じなので、先人の知恵を借ります。

参考情報

以下ページの内容を参考にさせてもらいました。感謝。
- Wi-SUN対応無線モジュール(BP35C0-T01)とラズパイを繋ぐ。(制作・実験編)
- Pythonでスマートメーターの情報を引っこ抜く
- スマートメーターの情報を最安ハードウェアで引っこ抜く

その他、目を通しておいたほうが良いサイトや資料は、文末に書いておきます。

BP35C0-T01 とのやり取りについて

ざっくり以下の順番でBP35C0とコマンドをやり取りします。
以下、 >>の行がESP32からのデータ送信、<< の行がBP35C0からの応答です。

なお、詳細はBP35C0のコマンドリファレンスを確認してください。

事前準備

BP35C0 ファームウェアのバージョン確認 兼 コマンドのやり取りができることを確認する

>> SKVER
<< EVER 1.5.2
<< OK

SKVERを実行して、バージョン表示とOK が返ってくればOK

コマンドのエコーバックを無効に

やらなくてもいいと思うけど、エコーバック無効にしたほうがプログラム的に都合が良さそうなので、とりあえず。

>> SKSREG SFE 0
<< OK

SKSREGコマンドでSFEレジスタに0をセットする。OKが返ってくればOK

応答を16進ASCII文字で返すように

>> WOPT 01
<< OK

WOPTコマンドで引数01(ASCII文字列の意味)を渡す。OKが返ってくればOK

BルートサービスのIDを設定する

>> SKSETRBID XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
<< OK

SKSETRBIDコマンドで、電力会社から入手したBルートのID(32桁の16進)をセットします。XXXXの部分は自分のIDに置き換えてください。OKが返ってくればOK

Bルートサービスのパスワードを設定する

>> SKSETPWD c XXXXXXXXXXXX
<< OK

SKSETPWDコマンドで、電力会社から入手したBルートのパスワードをセットします。SKSETPWDの後ろのcはパスワードの文字数の16進数です。16進でcなのでこの例ではパスワードは12文字、という意味です。
OKが返ってくればOKです。

スマートメーターの存在をスキャンする

>> SKSCAN 2 FFFFFFFF 6 0
<< OK
<< EVENT 20 XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX 0
<< EPANDESC
<<   Channel:00
<<   Channel Page:11
<<   Pan ID:2222
<<   Addr:3333333333333333
<<   LQI:44
<<   Side:55
<<   PairID:66666666
<< EVENT 22 XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX 0

SKSCANコマンドを実行すると、周辺に存在する機器のスキャンを行います。引数の2は「アクティブスキャンを行う」の意味、FFFFFFFFは対象機器をマスクしたい場合に指定(FFFFFFFFだと全機器を対象に)、6はスキャンの時間、最後の0は固定値です。
スキャンに対して周辺機器が応答すると、応答した機器の情報が出力されます。
コマンド応答に含まれる Channnel Pan ID Addr の値をメモしておきます。
なお、スマートメーターと通信できなかった場合は機器情報、つまりEVENT 20PairID:XXXXXXXXまでの行が返ってきません。

スマートメーター機器の登録

>> SKSREG S2 00
<< OK

>> SKSREG S3 2222
<< OK

>> SKLL64 3333333333333333
<< XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX

使用するスマートメーターの情報、つまり上記のスキャンで取得できた値をセットします。
SKSREG S2 で引数にChannelの値を、SKSREG S3で引数にPan IDの値を、SKLL64の引数にAddrの値を、それぞれ渡します。
SKLL64のコマンド応答の文字列(スマートメーターのIPv6値)をメモしておきます。


長かったですが、ここまでが事前準備です。


データ取得開始

>> SKJOIN XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX
<< OK

SKJOINコマンドに、上記SKLL64実行時の戻り値を引数に渡します。
これを実行すると、以後30分ごとにスマートメーターからの消費電力情報を受信するようになります。
以下のような値が、だいたい毎時0分と30分くらいに受信されます。

ERXUDP XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX:XXXX YYYY:YYYY:YYYY:YYYY:YYYY:YYYY:YYYY:YYYY 0E1A 0E1A 0123456789ABCDEF 1 0 0026 1081000102880105FF017302EA0B07E30504161E0000005B93EB0B07E30504161E000000000C

ここで重要なのは、スペースで区切られたいくつかの値のうち、一番最後の部分の値、上記例でいうと1081000102880105FF017302EA0B07E30504161E0000005B93EB0B07E30504161E000000000Cの部分です。

No 開始桁 文字数 上記例での実際の値 値の意味
1 8 6 028801 028801 だと、スマートメーターからの応答
2 22 2 02 含まれる値の数
3 24 2 EA EAだと「正方向の定時積算電力量計測値」 EBだと「逆方向の定時積算電力量計測値」
4 28 4 07E3 データ計測日の「年」の16進(0x07e3 = 2019)
5 32 2 05 データ計測日の「月」の16進(0x05 = 5)
6 34 2 04 データ計測日の「日」の16進(0x04 = 4)
7 36 2 16 データ計測日の「時」の16進(0x16 = 22)
8 38 2 1E データ計測日の「分」の16進(0x1e = 30)
9 40 2 00 データ計測日の「秒」の16進(0x00 = 0)
10 42 8 00005B93 電力量(kWh*10)の16進(0x00005B93 = 2344.3kWh)
11 50以降 EB0B07E30504161E000000000C 上記No.2「含まれる値の数」が2以上の場合は、No.3~10までを繰り返す

ということで、このデータの場合、以下のような値の意味になります。

  • 2019/05/04/ 22:30:00 の正方向の定時積算電力量計測値が2344.3kWh
  • 2019/05/04/ 22:30:00 の逆方向の定時積算電力量計測値が1.2kWh

ちなみに、他にも瞬間電力計測値なども取得できますが、とりあえず今回は省略します。

これらをESP32に実装してみる

前置きが長くなりましたが、実装してみます。
と、これらを1から実装するのは面倒でしょうから、ESP32向けにライブラリを作っておきました。
以下から取得してください。
https://github.com/nara256/Bp35c0_broute

ライブラリのインポート方法

  1. 上記URLのページから、緑色の Clone or download のボタンを押し、Download ZIPを選択し、zipファイルをダウンロードします。
  2. Arduino IDEから、メニューの スケッチ→ライブラリをインクルード→ZIP形式のライブラリをインストール を選択し、1.でダウンロードしたファイルを選択します。

実装してみる

Arduino IDEから、メニューの ファイル→スケッチ例→Bp35c0_broute→simple_get_value を開きます。
#defineの行のID/PASSの値は、自分のBルートのID/PASSに書き換えてから、ビルドしてESP32に書き込みます。

simple_get_value.ino
#include "Bp35c0-broute.h"

#define ID    "YOUR_B_ROUTE_ID_HERE"
#define PASS  "YOUR_B_ROUTE_PASSWORD_HERE"

#define LED 2

HardwareSerial uart(2);
Bp35c0_broute b(uart);

void blink(int sec)
{
  pinMode(LED, OUTPUT);
  digitalWrite(LED, HIGH);
  delay(sec);
  digitalWrite(LED, LOW);
  delay(sec);
}

void error()
{
  pinMode(LED, OUTPUT);
  while (true)
    blink(500);
}

void initLed()
{
  pinMode(LED, OUTPUT);
  digitalWrite(LED, LOW);
}

void setup()
{
  Serial.begin(115200);
  uart.begin(115200);
  //b.setDebugSerial(Serial);

  initLed();

  if (!b.available())
    error();
  if (!b.open(ID, PASS))
    error();
}

void loop()
{
  blink(100);

  char u[32] = {'\0'}, d[32] = {'\0'};
  float uu, dd;

  b.waitForRecieve(d, &dd, u, &uu);
  Serial.println(u"正方向:" + String(d) + " : " + String(dd));
  Serial.println(u"逆方向:" + String(u) + " : " + String(uu));
}

だいたい、毎時0分ころ・30分頃に定時積算電力量計測値がスマートメーターから送られてきますので、それをSerialに出力します。

実行結果

正方向:20190504223000 : 2344.30
逆方向:20190504223000 : 1.20

正方向:20190504230000 : 2344.50
逆方向:20190504230000 : 1.20

..(以下、30分毎に表示)

サンプルスケッチの説明

ポイントを絞ってざっくり説明していきます。

ライブラリをインクルードします
#include "Bp35c0-broute.h"
BP35C0-T01の接続先の設定
HardwareSerial uart(2);
Bp35c0_broute b(uart);

BP35C0の接続先(UART2)を引数に、Bp35c0_brouteのインスタンスをグローバル変数として生成します。

BP35C0-T01の初期設定

setup()関数内で、BP35C0-T01を初期化します。

void setup()
{
  uart.begin(115200);
  if (!b.available())
    error();
  if (!b.open(ID, PASS))
    error();
}

UART2を115200bpsでオープンします。
b.available() == TRUE だと、BP35C0-T01と正常に通信できる状態です。
b.open(ID, PASS) を実行すると、引数で渡したBルートのID/PASSでBP35C0-T01を初期化します。open()関数の戻りがFALSEだった場合は、スマートメーターから応答がなかったなど、何らかの初期化失敗が発生したことを示します。

定時積算電力量計測値を取得する

loop()関数内で、電力消費量を取得します。

void loop()
{
  char u[32] = {'\0'}, d[32] = {'\0'};
  float uu, dd;
  b.waitForRecieve(d, &dd, u, &uu);
  Serial.println(u"正方向:" + String(d) + " : " + String(dd));
  Serial.println(u"逆方向:" + String(u) + " : " + String(uu));
}

b.waitForRecieve()関数を呼び出すと、定時積算電力量計測値をスマートメーターから受信するまで応答を待ちます。つまりこの関数を実行すると毎時0分・30分になるまでこの関数から返ってきません。
引数に渡した変数に、計測日時の文字列(YYYYMMDDHHMMSS)と電力量がセットされます。
ここで取得できる電力量は積算値です。なので、数値は右肩上がりで増えていきます。
なお、「正方向」とは消費した電力量、「逆方向」はたぶん自宅内で発電した電力だと思います。(私のうちはソーラー付きではないので「逆方向」の値は値が増えません。)

まとめ & 次回予告

とりあえず、今回は画面(Serial)にスマートメーターから取得した電力量を表示してみました。
次回はIoT的に可視化してみます。

参考資料

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