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AWS Summitにチーム全員で参加することの意義

Last updated at Posted at 2025-09-22

はじめに

こんにちは、株式会社Kaienでエンジニアをしている山本です。
「AWS Summit 2025」は、2025年6月25日から2日間開催されたAWSのイベントです。

AWS Summit は、共に未来を描くビルダーが一堂に会して、アマゾン ウェブ サービス (AWS) に関して学習し、ベストプラクティスの共有や情報交換ができる、クラウドでイノベーションを起こすことに興味がある全ての皆様のためのイベントです。

チームのほぼ全員でこのイベントに両日参加してから、丸3カ月が経ちました。この記事では、普段の業務から離れてチーム全員でイベントに参加する意図とその結果をまとめたものです。
こういったイベントに皆で参加したい気持ちはあるけれど本当に効果があるのかな...と悩んでいる人の参考になれば幸いです。

経緯

我々のチームは株式会社Kaienという発達障害・精神障害・グレーゾーンの方が強み・特性を生かした仕事に就き活躍することを支援している会社で、社内システムや求人サイト等の開発・保守を行っている開発チームです。全社員は300名ほどの規模で開発チーム自体は10名弱で構成されています。支援者とエンジニアを両立している者、前職でシステムエンジニアだった者、全く未経験で入社した者、異業種からの転職者など様々なメンバーが働いています。
普段AWSのサービスを使い倒している、と胸を張っていえるようなものではなく、必要になった所を必要な分だけ使うというような状況でした。

会社によってはこういったイベントに全社的に参加することが当たり前に推奨されていたりするのかもしれませんが、「全員で」参加するという事には腰が重かった、もっと正確に言うと全員分のコストをかけた見返りの業務へ活かせるという確信がなく、なんとなくスルーしてしまっていたのでした。(その結果、参加したい人は有休を取って自主的に参加する...という状況が実は多いのではないかと思います)

そんな私たちが何故こういったイベントに「全員で」参加しようと言うとそれは「AI時代における危機感」です。日々アンテナを立てていればそれなりの情報は入りますし、すこし調べれば実際に使う方法もわかります。しかし理解する事と実際に行動する事は大違いで、気が付いたらなんか周りから周回遅れにされているような不安感...と焦りのような気持ちがそこにありました。
メンバーに参加したいか問いかけたところほぼ全員が「是非行きたい!」(このあたりは本当に恵まれているな、と感じたものですが)ということになり、「みんなで最新技術を浴びに行こう」を合言葉に参加が決定しました。

ちなみに会社は、業務時間内のイベント参加や費用についても快く承認してくれました。チームの成長を後押ししてくれる文化に感謝です。

準備

なんとなく参加してよかったね、楽しかったね、で終わる事だけは絶対避けたかったので、得たものを業務で活かせるように、あるいはこれをきっかけに何か変われるように考えました。前述したとおりメンバーのスキルは様々です。2日間で感じ取るものはそれぞれ違っても、出来るだけ当日のセッションを聞いた時に同じように意味を理解しながら聞けるようにしたいと思いました。

そのため「AWS基礎 勉強会」と題してみんなでAWSの理解を固めることにしました。内容は初心者向けの内容です。いまさら...みたいな所もありますが、2日間では様々なサービスに触れるわけなので曖昧な理解のままセッションを聞いても具体的なイメージがつかみ取れない、ということはあり得ます。「自分だって作れそう」と思ったときに人は作りたくなるものですよね?

例えば:

アベイラビリティゾーン(AZ)とは
データセンターの集まり。場所は非公開。災害などAZ全体に影響するような障害が発生したとしても、別のAZに切り替えることでシステムの稼働を継続できる仕組みがある。

とか、

Amazon EBS (Elastic Block Store)

  • 概要: EC2インスタンスにアタッチして使う、高速なブロックストレージ。OSやデータベースの保存領域として使われます。
  • 一言で言うと: 「EC2専用の外付けハードディスク」
  • キーワード: ボリューム、スナップショット(セーブポイント)、ボリュームタイプ(ディスクの性能と価格を決めるグレード)

といったように超基礎からです。でもこれが意外と好評でした。普段の業務でAWSに触れる深さはメンバーそれぞれの業務内容によって異なります。また、字面だけで理解したと思っていても話を掘り下げていくと意外と説明できなかったり、誰でも理解できる平易な言葉にはできなかったり、日々使っている人も、そうでない人も同じ目線で話をするということは学びがあると感じるようです。

各自予約したセッションはチームで共有し、どんな領域に興味があって目的は何か?ということをあらかじめ考えるようにしました。

また、事前に「普段の業務でどのように活かすか参加後にレポートする」という約束も決めておきました。

当日

今回の記事は全員で参加することの意義を書きたかったので、イベント当日のことは記載しません。様々な方が投稿されているのでそちらを参照してください。Zoneごとに指向が凝らされており、2日間たっぷりと味わうことができました。

開発メンバーには車いすのメンバーもいますが、通路幅に余裕があったり、「Ask Me!」のTシャツを着たスタッフが要所に配置され案内してくれてスムーズに参加することが出来たようです。また、当日は大変な人込み(2日間で延べ4万人)だったわけですが、「周囲に気を使いながらセッション間を整然と移動するエンジニア集団」の中では大変な人込みでもストレスなく移動できました。

なお、事前に「空き時間は一緒にZoneを回ろう」と話していましが、いざ始まってみると各自見たいものが沢山あり、結局、ほぼ一緒に行動することはありませんでした。しかし普段は東京と大阪でメンバーが離れて開発していることやリモートワークが中心なので一つの目的で一か所に集まるというのは改めて一体感を感じることができました。

参加後

イベントが終わって数日後、約束通りそれぞれが自分の業務に近いところの活用法を考えてくれました。印象的だったのは「こういうことがやってみたい」という、本人のやりたいことの目線で、でも業務として求められているもの(普段、解決したいと思っていたこと)の交わるところを全員が説明していたことです。

参加後に意識したポイントとして2点挙げたいと思います。

ハードルを下げる

今後やりたいと思うことを話をした、説明しただけでは不十分です。実際に形にすること、かつそれが業務でインパクトを出せることが目的です。しかし中にはまだ使ったことが無いものもあるので本当に実現できるかどうかは100%わかりません。使えたとしてもそれが期待していた結果になるのかもわかりません。もちろんAWSのサービスには無料枠あるいは従量課金で低額から始められることが多いので、実験程度であれば気にするような金額にはならなかったりします。ですが、会社のお金を使うということはみんな無意識に、あるいは意識的に躊躇します。つまりPoC(概念実証)が必要なのですが、大仰に捉えずもっとハードルを下げて気軽に試せるようにしたかったので、会社からは年間の費用を承認してもらい、その中で「失敗してもOK」ということにしました。

まずはやってみる

まず、「やってみたいこと」があるメンバーはその内容をチームで発表し、大まかなコスト感を出します。チームが理解したら実際に手を動かしてみます。

初めてやってみることは不安もありますが学びも多いものです。構築作業を複数人でmeetをつないで一緒にやってみる、ということも推奨しました。まずは自分でやってみて後日勉強会でみんなに共有、というのが一般的だと思いますし、40分で予定していた作業が終われず消化不良...なんてこともありましたが、実はスラスラと進めている時よりも「アレ?おかしいなぁ」といいながら解決に向かっている様は、一緒に参加している側からすると教科書やドキュメントからは決して得られない、非常に価値のある学びの宝庫だと思います。
その結果、それぞれの「実験」が始まり、3カ月経った現在は既に業務に組み込まれているものが複数存在します。

一方で実際にやってみたら自分たちには合わなかったと分かったものもあります。具体的にはAmazon Q in QuickSightで業務課題を解決したかったのですが、試してみたところでは社内のニーズでは一般的なRAG環境のほうがマッチしているという結果になりました。

今後

参加してあらためて思うことは、みんなで参加すると一人では得られないもの、日々真面目に業務を進めているだけでは得られないものがあったという事です。ハイタッチした時の感覚、というと近いのかもしれません。

他のイベントにもみんなで参加しよう!という文化はいまでも色濃く続いています。

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