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「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」の行動実験の索引

Last updated at Posted at 2022-01-05

事実はなぜ人の意見を変えられないのかという書籍の内容をこの先なんども参照することになりそうなので、そのための索引をまとめた。ここでは、行動実験により実証されたもののみをまとめている。本書には他にも印象的なエピソードや寓話なども含まれており、より読者が理解しやすいように書かれている。
本書を未読の方には一読をおすすめする。本索引により「読んでみよう」となったら幸いである。
下記の概要や実験についての文言は本書の内容をこの記事を書いている人が要約したものである。本の時点で要点がまとまっているため、情報がだいぶ劣化していると思う。正確な内容は書籍を参照いただきたい。

種別 概要 基づく実験 ページ数 文献リンク
事前の信念 事前の信念に肯定的なデータを重視し、否定的なデータを軽視する 死刑制度に賛成と反対の2グループを用意。それぞれに嘘の研究結果(死刑制度にポジティブなものとネガティブなもの)を提示。その結果、賛成のグループはポジティブな研究を肯定的にネガティブな研究を否定的に解釈。逆も同様 22-23 Biased assimilation and attitude polarization: The effects of prior theories on subsequently considered evidence.
事前の信念 事前の信念にあう意見に影響されやすく、賛否両論の主張をうけると元々の考え方が強化される 地球温暖化を信じる/信じないの2グループを用意。まず、両グループに「専門家の意見では、2100年に10度上昇と予測」といった提示を与え、2100年に何度気温上昇するかを予測させる。次にグループ内でランダムに2群にわけ(事前信念xランダム2群の2x2要因)片方に「専門家の意見では、2100年に12~20度上昇と予測」もう片方に「専門家の意見では、2100年に2~8度上昇と予測」と追加情報を与える。その結果、元の信念にあう追加情報の影響を受けるがそうでない追加情報の影響はあまりなかった。つまり信じる/信じない両グループとも実験開始時よりも意見が極端になった 23-24 How People Update Beliefs about Climate Change: Good News and Bad News
事前の信念 数字に強い分析能力の高い人のほうがデータを歪めやすい 実験参加者に数字や論理の能力を測る標準的なテストを解かせる。次に2群に分け、片方は「スキンクリームと効能」もう片方は「銃規制と犯罪」と称した同じ数字の並びのデータをわたし分析させる。その結果、「スキンクリームと効能」の分析と違い、「銃規制と犯罪」の方は事前の数字や論理テストの成績が良い人ほど誤った分析を行った 30-32 Motivated Numeracy and Enlightened Self-Government
事前の信念 思想や政治上だけでなく、金銭上の問題でも事前の信念に肯定的なデータを重視し、否定的なデータを軽視する 実験参加者に擬似的な投資ゲームを行わせた。まず実験参加者で2人ペアを作り、互いに自己紹介してもらう。次に別々の部屋でそれぞれ投資ゲームを取り組む。投資ゲームでは表示された物件価値が100万ドル以上か否かを判定し、自信があれば現金を賭けることができる。現金をかけた後ペアの選択を知ることができ、そのあとに賭け金の変更もできる。この実験の結果、ペアが自分の考えと異なった場合は賭け金をあまり変えないが、一致した場合は賭け金を上乗せする傾向があることがわかった 34-36 ポスター発表でWebには公開されてない?Motivational Blindness in Financial Decision‐Making
感情の伝播 1歳の子どもへも感情は伝播する 1歳の子どもと母親を対象にした実験。母親を別室でスピーチさせる。そのとき片方の実験群は誰もいない部屋で、もう片方の実験群では威圧的な審査員の前でスピーチさせる(ストレス条件)。スピーチ後に母親は子どもと再会する。ストレス条件の母親と再会した子どもは心拍数が上昇し、他の研究員を避けるようになった 57-58 Stress Contagion: Physiological Covariation Between Mothers and Infants
感情の伝播 Facebookでポジティブな投稿を見た人はポジティブな投稿を。ネガティブな投稿を見た人はネガティブな投稿をしやすい。 Facebookで行われた有名なA/Bテスト 60 Experimental evidence of massive-scale emotional contagion through social networks
感情の伝播 脳活動や眼球運動が同期する (よくわからなかった)
インセンティブの持たせ方 行動をさせたいときはムチよりもアメ 医療スタッフに手を入念に洗うように仕向けるプログラムで、手洗いを監視するよりも、手洗いの達成率を電光掲示板で表示させた方が格段に効果があった 70-75 Using high-technology to enforce low-technology safety measures: the use of third-party remote video auditing and real-time feedback in healthcare
インセンティブの持たせ方 行動をさせたいときはムチよりもアメ A,B,C,Dの抽象的な視覚刺激のうち、Aがでた時にボタンを押すと1ドルもらえる(アメ刺激)、Bが出た時にボタンを押すと1ドル失わずにすむ(ムチ刺激)としたときに、アメ刺激の方がムチ刺激よりも反応が早かった 79-80 Action controls dopaminergic enhancement of reward representations
インセンティブの持たせ方 「行動をさせたいときはムチよりもアメ」を接近と回避の法則で解釈。接近と回避の法則は強力 ヒヨコが餌に近づこうとするとベルトコンベアが反対に動き、餌が逃げる。逆に餌から遠ざかろうとすると餌が近づくといった実験環境を作った。餌が欲しければ餌から遠ざかる法則をヒヨコは学習できなかった 76-79 An approach through the looking-glass
マシュマロテストと未来への信頼 有名なマシュマロテスト(「目の前のマシュマロを食べずに我慢すればのちに2個もらえる。そこで少し待てた子は将来的に成功しやすい」)をアレンジ。未来を信頼できない経験をした子どもはマシュマロを待たなくなる マシュマロテストの前に研究員に騙された群と騙されなかった群を用意。騙された群の方が早くマシュマロを食べる 93-94 Rational snacking: Young children’s decision-making on the marshmallow task is moderated by beliefs about environmental reliability
主体性 主体性があったほうが嫌なこともやりやすくなる 実験参加者に報酬の30%を自ら封筒に入れて退出前に研究者に自主的に払わなくてはいけない「税金実験」を行った。片方の群は税金の用途を提案でき、もう片方は提案できない。提案可能群は納税遵守率が約70%なのに対し、提案不可能群では約50%であった 106-107 Eliciting Taxpayer Preferences Increases Tax Compliance
選ぶことを選ぶ 自分の意思で選択できる方を好む。 ヒトだけでなくマウスもハトも、「同じ結果になるが、選択肢のある条件の方を選ぶ」といった行動実験がある 108-109 Preference for free choice over forced choice in pigeons
選ぶことを選ぶ とはいえ選択肢が多すぎると選ぶことが苦痛になる 高級ジャムの種類が20種類以上あるときよりも6種類だけのほうが購入確率が高い 110 When Choice is Demotivating: Can One Desire Too Much of a Good Thing?
主体性 理屈の上では専門家に頼った方がいいとわかっている場合でも自分の判断を信じる(合理ではなく感情で判断) 純粋に確率的なゲームをさせる(工夫して実験参加者には自分の選択がランダムではなくなんらかのコツがあるものだと思わせる)。そのゲームに専門家の助けを借りられるようにする。専門家の正答率や委託料は正確に提示され、その期待値は簡単に計算できる。この状況下でもヒトは専門家に頼った方が期待値高いと自覚している時でも専門家に頼らない傾向がある 115-116 The intrinsic value of choice: The propensity to under-delegate in the face of potential gains and losses.
主体性 イケア効果。自分で作ったものはよく見える スニーカーの配色を自らの手で再現した実験群の方が、見てただけの実験群よりも、スニーカーに対して好印象を持ちやすい。再現群はお手本通り再現しただけな点に注意 123-125 著者の実験。引用元不明
情報をえる 行動に結びつかなくても少しでも早く結果がわかる情報が知りたがるのはヒトのSAGA。サルも同じ。 報酬Aとそれより少ない報酬Bがもらえる機械があった。サルに報酬ABを学習させた後、次の報酬がなにかがわかるが報酬が減ってしまう選択肢を作った。サルはその選択肢を選んだ。次の報酬をの情報をえる時、サルの報酬系が活性化していた。 136-138 Midbrain dopamine neurons signal preference for advance information about upcoming rewards
情報をえる 未来の情報がわかるとき、良い情報の方を知りたがる ヒト相手の実験。画面上に赤の扉と青の扉があり、その奥には賞金がある。賞金がどのくらいあるかばらつきがあるが、赤の扉の方が青の扉よりも常に多い。どちらのドアが開くかはコンピュータがランダムに決める。実験参加者に扉が開く前に片方の扉の中身を見られる権利を与えると、得られる報酬にが変わらないにも関わらず(1)中身を見ようとする(2)赤い扉の方を見ようとする、ことがわかった 141-142 著者の実験。引用元不明
情報をえる 一方で、不都合な情報を知りたくない、知らぬが仏の態度をとるのもヒトのSAGA。しかし自ら「知らない」方針をきめたとしてもストレスから逃れられない。 何秒かに電気ショックが来る。警告音を聞いてすぐにボタンを押せば電気ショックは止められる。実験参加者はその警告音を聞く代わりにリラックスできる音楽を聴くこともできる。警告音を聞くことは明らかに有用な情報にも関わらず、約25%は音楽を選んだ。生理指標の数値からは音楽を選んだ方が実験中より不安な状態にいた。電気ショックを止めるボタンなしの場合、警告音を選ぶ実験参加者は約45%まで減ったが生理指標のストレス値の傾向は音楽条件の方が高かった。(個人メモ:音楽or警告音が無作為化されてないため交絡因子〜不安に感じやすい等〜が排除できてない気がする) 150-152 (Vigilant and nonvigilant coping strategies and psychophysiological stress reactions during the anticipation of electric shock.)[https://psycnet.apa.org/record/1972-30268-001]
ストレスの影響 ストレス下では良い話よりも悪い話の方に影響受けやすい 人為的にストレス下においた実験群と対照群に、事故や犯罪などが自分の身には何%くらいでそれがおこるかを聞いた。その次に、自分の地域での一般的な確率を教示し、最後にもう一度自分の身には何%くらいでそれがおこるかを聞いた。ストレス下の実験群の方が予測を悲観的な方に変更した。 162-163 著者の実験。引用元不明
存在しない正の相関関係を見出す 本当は正の相関関係がないデータや事象から正の相関関係を見出してしまうバイアスがある 伝言ゲーム的にデータを生成する実験を行うと、世代が経るごとに作られたデータに正の相関関係が作られていってしまう(個人メモ:結果だけのっていた。詳細な実験デザインは本書にはのっていない。要引用元確認) 226 Iterated learning: Intergenerational knowledge transmission reveals inductive biases
「びっくりするほど人気の票」 選択肢問題で必ずしも多数決が正解にならない状況を想定(ひっかけクイズ的なやつとか)「自分が正しいと思う」回答と「人がこう思うはずだ」回答の2種類の回答を集める。 「人がこう思うはずだ」回答での割合よりも、「自分が正しいと思う」回答の割合が有意に高い選択肢があれば、それが真の正解である ひっかけクイズ以外にも絵画価値を推定する課題に対しても有効に動いた。一部の専門知識がある人間の回答が強調されるから? 230-233 Finding truth even if the crowd is wrong
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