この記事の概要
いざユーザーインタビューを始めようとした際、以下のような悩みはありませんでしたか?
- どんなことを聞いたらいいの?
- 質問内容は、事前にどこまで決めておくべき?
- 予想外の回答がきたらどうしよう・・
インタビューの技法や、質問設計で意識すると良くなるポイントをまとめてみました。
インタビューの技法について
まず、インタビューには大まかに4種類の技法があります。
- 構造化インタビュー
- 半構造化インタビュー
- 非構造化インタビュー
- グループインタビュー
構造化インタビュー
一問一答形式の質問形式でヒアリングする方法です。
どの回答者でも、必ず同じ質問に対する回答を得ることができますが、
回答者ごとの回答の深掘りは難しいです。
半構造化インタビュー
事前におおまかな質問内容を複数考えて、回答者の回答内容に沿って深ぼっていきます。
非構造化インタビュー
事前にテーマだけを決めておき、質問内容を特に決めず回答者の話す内容に沿って深堀りしていく方法です。
会話が脱線しやすいので、適宜話の筋を元に戻しましょう。
グループインタビュー
6名ほどのグループを作り、モデレーターがテーマについて質問を行い、自由に発言をしてもらう方法です。
一度に多様な意見が出てくる一方、声の大きな一人の意見に引っ張られるケースもあり、注意が必要です。
1対1のユーザーインタビューでは、半構造化インタビューで
回答者の回答を深掘りしていくのがおすすめです。
質問設計で意識するポイント
半構造化インタビューを行う前提でお話します。
明らかにしたい「問い」に関して、重要な質問を2、3決める
必ずこれは聞くぞ!という質問を数個用意しておき、
基本的には回答者の回答内容を深掘りをしていきます。
例えば、「カレーを作る際の困りごとについて」のインタビューだとしたら、
以下のように必ず聞く、重要な質問を2,3個決めておきます。
- 必要な食材や調味料
- カレーを作る際の不満、困りごと
- その不満や困りごとを解決するためにやっていること
あとは回答者の回答内容や、話の流れに沿っていくつか質問していきます。
どんな回答内容が来るかを事前に想定しておくと、質問も想定しやすいですよ
- 食材の購入方法
- 食材の選び方
- 普段参考にするレシピやアプリ
- 一度にどれくらいの量を作るか
- 保存方法
- カレーのアレンジレシピ など
構造化インタビューのように、初めから質問内容を決め切ってしまうと
回答者の回答や、話の文脈から逸れたインタビューになってしまいますし、
「次はこの質問をしなければ・・」と、質問をすること自体に意識が行ってしまうと、うまくいきません
回答者の話を深掘りしていく中で、話の流れで言い回しを変えてみたり、
質問する順番を入れ替えながら、柔軟なインタビューを心がけましょう。
以下のような言葉を頭につけると、自然に話題を切り替えられます
- 「方向性の違う質問なのですが、〜・・」
- 「視点を変えて、〜・・」
- 「少し前の話題に戻りますが、・・・」
まずはテーマを広げた質問から始める
まずは答えやすく、話題を広げやすいテーマから質問を始めます。
例えば初対面の人に、いきなり「あなたの職場での人間関係の不満について教えてください」と聞かれても、
なかなか話しづらいものですよね。
まずは「どんなお仕事をされているんですか?」「今の職場は何年くらいお勤めですか?」など、
回答が明確で答えやすい質問から話を広げ、聞きたい質問に繋げていきましょう。
事前に回答いただいたスクリーニングアンケートについて、改めて聞いてみるのもいいですね。
一度自分が回答した内容について詳細に話すだけですから、
緊張している回答者にとって、ちょうど良い会話のウォーミングアップになります。
回答内容で気になるキーワードをピックアップし、インタビューの途中でそのキーワードが出た際に深掘りしてみましょう。
5W1Hを意識し、過去の体験にフォーカスする
とあるマーケティングの事例で、
次に買うとしたら「オシャレでカッコイイ黒い四角いお皿」と答えた被験者が、
実際に持ち帰ったのは「白くて丸いお皿」だったという事例がありました。
参考:顧客視点とお客様の声は違う!?マーケティングの成功9事例
ここから言えることは、ユーザーの本当のニーズは行動に現れるということです。
回答者が曖昧な回答をしたり、〇〇に困っている、など価値観について話した際は、
実際にそう思ったきっかけがあったのか、過去の経験を聞いてみてください。
よくある聞き方で、なぜを繰り返すヒアリング方法がありますが、
なぜの言い換えに5W1Hを使うのも効果的です。
以下の記事([無生物主語が助けてくれる]の項目)が非常にわかりやすいので、ぜひ参考にしてください!
👉 ユーザーインタビューへの「不安」を、「自信」に変えるテクニック Part.1
回答者の中の価値観、閾値を測る
例をあげてみます。
例えば、とある新発売の商品Aを使いたいか?と質問した際・・
①「安心感があれば使うかも」といった回答だった場合
その「安心感」とは具体的に何を指すのかを聞いてみましょう。
知名度なのか、資金力なのか・・商品の口コミ、
インフルエンサーや知人の紹介、CMをしている等、人によって定義はさまざまです。
また、その安心感が得られたら使うのかも、あわせて聞いておきましょう。
他にも、「良い、良さそう」「イメージと違う」「効率的」などの単語も人によって定義がぶれやすいので、しっかり聞いておきましょう
②「使いたい」といった回答だった場合
金額設定がある場合、実際にいくらなら使うのかも聞いてみましょう
無料なら使う、500円なら、3000円は高い・・など。
商品や知識・経験の有無によって金額の閾値は違いますから、明らかにしておくとGOODです!
極端な例ですが、未経験者は無料と答え、経験者は5000円でも買うと答える場合もありえます。
その商品の価値は経験者に響くと発見できれば、ペルソナとマーケティング戦略から見直すこともできますよね。
回答内容から、回答者にとって何がハードルとなっているのか、
そもそもハードルを超えるほど、ペインが大きくないのか等測ることができます。
CX改善に繋がるような発見事項が見つかるよう、がんばりましょう!
回答を誘導するような質問はしない
そんなの当然だと思いますよね、しかしインタビュー初心者にはあるあるです
インタビュアーがほしい答えを急ぐあまり、回答を誘導しないよう注意しましょう。
例えば以下のケースは極力控え、バイアスのかからないような質問方法を心がけましょう。
- AとBだと、やっぱりAの方が使いやすいですか? → AとBでは、使いやすいのはどちらでしたか?
- Aは使いづらいと感じませんか? → Aの使い心地はいかがでしたか?
社会適応性バイアス
人間は無意識に他人からよく見られたい、賢く見られたいと考える生き物です。
インタビュアーが意図せずとも、「Noと答えると感じ悪いかな・・」「知らないと答えることで、無知だと思われたら恥ずかしい・・」といった受け取られ方をすることで、率直な回答が得られない可能性も。
これもある意味で回答を誘導しているといえます。
質問をする際は、上記のような社会適応性バイアスにも注意しましょう。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
良いインタビューになりますように🎉