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No 半導体 No Life

Last updated at Posted at 2023-12-18

DONUTSにインターンとして入社して半年経つ私が、大学で研究している半導体について語ろうと思います。

DONUTSの業務内容とは離れてしまうのですが、「大学でプログラミングを専門としていないインターン生」が大学で何をしているのかを知ってもらおうと思い記事にしました。

半導体とは

物質には電気を通す「導体」と、電気を通さない「絶縁体」とがあり、半導体はその中間の性質を備えた物質です。

引用元:半導体とは : 日立ハイテク

名前の通りですね。

そして、半導体はその不純物濃度や、光・温度などの条件で「導体」や「絶縁体」に変化することがあります。

皆さんの周りにある半導体

普段の生活で半導体の存在を感じることはありますか?

朝起きたらスマホのアラームを止め、冷蔵庫から牛乳を取り出し、朝ごはんを食べる。駅に着いたらICカードで改札を通り、電車に乗り、デジタルサイネージを見て目的地に着くのを待つ。家に帰ってきたら、電気をつけ、エアコンをつけ、テレビをつけ、夕飯の支度をする。

こんな普通の日常でも、私たちは半導体の恩恵を存分に受けています。

スマホに半導体が使われていることは、想像に難くないですね。加えて、冷蔵庫にも、ICカードにも、電車にも、デジタルサイネージにも、電気にも、エアコンにも、テレビにも、半導体が使われています。

これらの製品に含まれるLED、カメラのイメージセンサ、交流から直流に変換するインバータ、情報を記憶するメモリ、電波で通信するICチップなどの部品が、半導体を使って作られています。

そのほかにも、USBメモリ、パソコンやスマホの充電器、自動車、太陽光電池、デジタル温度計など、さまざまな製品に半導体が使われています。

もはや現代人は半導体なしでは生活できませんね。

半導体の分類

一口に半導体といっても、たくさんの種類があります。半導体は、その役割によってデジタル半導体とアナログ半導体の二つに大きく分類されます。

デジタル半導体

デジタル半導体は、0と1で表されるデジタルデータを処理することに特化しています。これらはCPUやメモリなど、計算や記憶が必要な場所に使われています。

一般的に半導体というと、デジタル半導体を想像することが多いのではないでしょうか。

アナログ半導体

アナログ半導体は、連続したアナログ情報の読み取りや制御ができます。これらは光量・温度センサーなど、人と機械のインターフェースとして使われています。

また、交直流電源の変換や直流電源の変圧など、電源の制御用としてもアナログ半導体は幅広い機器で使われています。

digital_analog.png

半導体の動作原理

半導体部品の多くは「トランジスタ」という部品を組み合わせて作られています。

トランジスタは人間の「細胞」のようなものです。トランジスタ一つ一つは単純な動作を行うものですが、これをいくつも組み合わせることで様々な動作を行うことができるようになります。

トランジスタは、入力された信号に応じて、電気を流したり流さなかったりする機能があります。例えて言うならば、オン・オフを電気信号で制御できるスイッチです。

アナログ半導体では、オン・オフだけではなく、その間の「半分流す」と言ったような状態も使って制御します。

transistor.png

トランジスタの動作原理

トランジスタは、添加される不純物によって区別される「n型」と「p型」の2種類の半導体を組み合わせて作られています。

n型とp型の半導体を接合すると、電流はp型からn型にのみ流れます。これを整流作用と言います。この性質を使って、トランジスタでは電気の流れを制御しています。

トランジスタには、入力、出力、基準(GND)があり、入力によって出力が変化します。トランジスタの種類によって、入力と出力の関係、応答速度、動作時の消費電力などが異なります。

ここではトランジスタを代表して、「nチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(以下nチャネルMOSFET)」の動作原理を説明します。

n-mosfet.png

nチャネルMOSFETには、ソース(基準)・ゲート(入力)・ドレイン(出力)の3つの電極があります。ゲートにかける電圧で、ソース・ドレイン間に流れる電流を制御します。

半導体のp型・n型は、電圧(厳密には電界)をかけることで一部を反転させることができます。これを用いて、ソース・ドレイン間のp型半導体にゲートから電圧をかけ、n型に反転することでソース・ドレイン間がn型半導体で繋がり、この部分に電流が流れます。

これがnチャネルMOSFETの動作原理です。MOSFETは高周波数で使えることと低消費電力が特徴のトランジスタであり、デジタル半導体としてはよく使われている構造です。これを発展させたFinFETという構造も使われています。アナログ半導体としては、耐電圧が低いため、低電圧で使用するデバイスでよく用いられています。

このほかにも、バイポーラトランジスタ、IGBT等の種類のトランジスタがあります。

バイポーラトランジスタは安価に高い増幅率を得られるというメリットがありますが、高周波での特性が悪かったり、消費電力が大きいというデメリットがあります。IGBTは、省電力かつ高出力が得られるというメリットがありますが、高周波では出力が落ちてしまうデメリットがあります。

論理回路の動作原理

デジタル回路では、トランジスタを高密度に集積させ、論理回路を作ります。

論理回路では、ON電圧(Vddと呼ばれる)とOFF電圧(GND、接地)が用意されています。

最も簡単なNOT回路は、信号入力がON電圧の場合はOFF電圧と信号出力のスイッチがONになります。逆に、入力信号がOFF電圧の場合はON電圧と出力信号のスイッチがONになります。

not.png

これらを応用していくと、加算器やフリップフロップ回路などが作れるようになります。

半導体の進化と課題

皆さんは半導体を使用している機器に対して、「昔より小さくなった」「昔より省電力になった」「昔より処理能力が向上した」と感じたことはありませんか?

これらは、半導体の製造技術向上によってもたらされています。特に、プロセスの微細化による性能向上が顕著でした。

しかし、プロセスの微細化は限界が近づいています。

デジタル半導体では、プロセス時のマスクパターンの転写精度の限界が大きな要因となり、アナログ半導体では現在主流な半導体材料であるシリコンの物性値が大きな要因となっています。

そのため、プロセスの微細化に頼らない性能の向上が求められています。

新しい構造の採用

MOSFETの構造を立体化し、信号のスイッチングにかかる時間を短縮したFinFETや、ヘテロ接合を利用して電子の移動速度を高め高周波での出力を大きくしたHEMTなどが開発されています。

新しい材料の採用

シリコンの物性値が限界に近づいているため、新たな半導体材料を使用してトランジスタが開発されています。

電車や電動自動車のパワー半導体ではSiCが、携帯の充電器などではGaNが使われるなど、シリコン以外の材料も使われ始めています。

しかし、新しい材料にはまだまだ課題が残されています。

一例としてはSiCではコストの高さ、GaNでは加工の難しさや結晶成長の技術が問題となっています。

この辺りが私が大学で研究している内容となっております。

まとめ

実際に研究するとなると複雑な数式が出てきたり、覚えることがたくさんあったり、未知の現象が起きたりと大変ですが、とても興味深い分野です。

知らなくても困らない知識ではありますが、ちょっとした豆知識として頭の片隅に置いておいていただければ幸いです。

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詳細はこちらをご確認ください。

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