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  JCL記載方法まとめ 【初心者編】1

Last updated at Posted at 2021-06-25
以下は、JCLもQiitaも初心者が記載する自分のメモ

はじめに

 【JCL(Job Control Language) = ジョブ制御言語】とは
    メインフレームという大型の汎用機にて使用される
   OSにCOBOL(コボル) やPL/I(ピーエルワン)などの
   プログラムの実行、そのプログラムが必要とする
   入出力の設定等指示する言語です。

このメモは、JCLの基本的な記載方法のまとめです。

①基本的な文法

サンプルJCL(基本的な文法)

  1・・・ //TESTJOB  JOB MSGCLASS=H
  2・・・ //STEP01   EXEC PGM=TESTPGM
  3・・・ //INPUT    DD DSN=TESTDATA,DISP=SHR
  4・・・ //SYSOUT   DD SYSOUT=*

(1) IDフィールド(1桁目~2桁目に記載)
基本的にはIDフィールドは「//」。

(2) 名前フィールド(3桁目~11桁目に記載)
 以下で紹介するJCLのステートメントの名前等を記載する。
 サンプルでいうと
  1・・・「TESTJOBジョブの名前)」と
  2・・・「STEP01ステップ名)」の部分

(3) 命令フィールド(名前フィールドの後に記載)
 ステートメントを記載する。
 サンプルでいうと
  1・・・「JOB」と
  2・・・「EXEC」の部分

(4) パラメータフィールド(命令フィールドの後に記載)
 ステートメントのパラメータを記載する。
 サンプルでいうと
  1・・・「MSGCLASS=H」と
  2・・・「PGM=TESTPGM」の部分

②ジョブの定義(JOBステートメント)

 JOBステートメントは、ジョブの定義を行う。
 ジョブの名前や以下の、アカウント情報CLASSMSGCLASSMSGLEVELLINESTYPRUNNOTIFY などを指定。

サンプルJCL(ジョブ名)

  //TESTJOB  JOB,MSGCLASS=H

・__TESTJOB__はジョブの名前
  1. 1~8文字の英数字または各国用文字 (#@¥)など

サンプルJCL(アカウント情報)

  //TESTJOB1 JOB(ACCTINFO,SUBAINFO),PROGRAMMER,MSGCLASS=H

アカウント情報
  1. (ACCTINFO,SUBAINFO) 省略可能な業務識別情報(所属など)
  2. PROGRAMMER 省略可能なプログラマ名(作成者など)

サンプルJCL(CLASS)

  //TESTJOB2 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H

CLASS=class
  1. ジョブに実行ジョブクラスを割り当てる指定できます。
  2. AZ,09の一桁の文字で指定(Z/OS V2R1以降の場合 2~8文字のクラス、ジョブ、グループ名で指定が可能)

  ※ジョブクラスは、ジョブの用途などで決められている。

サンプルJCL(MSGCLASS)

  //TESTJOB3 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H

MSGCLASS=class
  1. ジョブログの出力クラスを指定できます。
  2. AZ,09の一桁の文字で指定

  ※ジョブログ(JCLステートメント、割り振りメッセージ、終了メッセージ)
  ※終了メッセージ ジョブの終了時に行われるデータセットの後始末処理について知らせるために出力
  例「
   IEF237IALLOC.FOR JCL001 ASM STEP01
     ・
     ・
   IEF237I JCL001 ASM STEP01 -STEP WAS EXECTED - COND CODE 0000
   」

  ※割り振りメッセージ OSがジョブの制御のために確保したデータセット資源をユーザに知らせるために出力
  例「
   IEF237I SYS1.MACLIB KEEP
   IEF237I VOL SER = MVSRES
     ・
     ・
   IEF285I JES2.JOB00721.S00102 SYSOUT
   」

サンプルJCL(MSGLEVEL)

  //TESTJOB4 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H,MSGLEVEL=(1,1)

MSGLEVEL=(02,01)
  1. ジョブログに出力される内容を指定する。
  2. 一つ目は0~2の一桁の文字で、入力JCLの印刷範囲を指定
    0:JCL中のJOBステートメントのみ出力
    1:すべてのJOBステートメントを出力
    2:入力JCL中に記述されたステートメントのみ出力
  3. 二つ目は0~1の一桁の文字で、割り振り状況の出力有無
    0:異常終了時のみメッセージを出力
    1:正常終了時もメッセージを出力

サンプルJCL(LINES)

  //TESTJOB5 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H,LINES=(10,CANCEL)

LINES=(nnnnnn,CANCEL)
  1. SYSOUTデータセットの最大値を、千行単位で指定します。
  2. CANCELオプションを指定すると、ジョブの実行を打ち切る。
  3. 上記の場合は、一万行を超えると、ジョブは異常終了する

サンプルJCL(TYPRUN)

  //TESTJOB6 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H,TYPRUN=HOLD

TYPRUN=HOLD or SCAN or COPY or JCLHOLD
ジョブの特殊処理を指定する。
  1. HOLD(保留) オペレータがジョブを解放するまで、そのジョブは実行されないで待ち行列に保留されるように指示。
  2. SCAN 構文の誤りを見つけるためにJCLステートメントを操作するだけで実行はしないことを指示。
  3. COPY(JES2のみ) 入力ジョブストリームを SYSOUT データセットにコピーする。
  4. JCLHOLD(JES2のみ) 構文の誤りを見つけるためにJCLステートメントを操作するだけで実行はしないことを指示。保留が解かれたら構文チェックするため、サブミット時点のプロシージャの内容で実行されるとは限らない。

 ※ジョブストリーム 実行される一連のジョブと、処理順序を決める時刻、優先順位、その他の依存関係のことです。

 ※SYSOUTデータセット(プログラムの実行結果などを格納する特別なスプール内のデータ)
  詳細は参考文献:サイト様の「SYSOUTデータセットとは」を参照。

サンプルJCL(PRTY)

  //PRESRPT OUTPUT PRTY=200,FORMS=TOPSEC

PRTY=nnn   (nnn 優先順位)
  1. ジョブクラス内での選択優先順位を指定する
  2. 初期の優先順位を指定します。nnn は、0 から 255 までの 10 進数です。
    0 が最も低い優先順位で、255 が最高です。

    この例では、JES は、社長の報告書 (PRESRPT) のコピーを 1 つ、TOPSEC という
   名前の用紙に印刷します。優先順位を 200 と指定したので、報告書はおそらく出力
   キューに入ると即座に印刷されます。

サンプルJCL(NOTIFY)

  //TESTJOB7 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H,NOTIFY=USERNAME

NOTIFY=user  (userはログオンID)
ジョブの完了時に、完了メッセージをユーザのTSO端末に送るように指示します。
userの部分に&SYSUIDを指定し、SUBMITするとそのJOBの実行ユーザにメッセージが送られる
  ※サブミット(JCLをリーダINTRDR:Internal reader = 内部読み取りプログラムへ投入することでジョブがスケジュールされる)
  詳細は参考文献:サイト様の「INTRDR」を参照。
 

  ※TSO端末(Time Sharing Option)IBMによるMVS(OS)対応の主要開発環境マネージャ。
  詳細は参考文献:サイト様の「11.TSOとISPF」を参照。  

③ステップの定義(EXECステートメント)

 ジョブステップの始まりを示します。(またはプロシージャー内の各ステップ)
 一つのJOBに対して複数のEXECステートメントを記述することができます。
 EXECステートメントは、ジョブステップの定義を行う。
 ステップ名や以下の、PGMPROC・・・・・・・などを指定。

  ※プロシージャは、処理の単位(ある特定の処理を行うための一連の命令)
  ※ストリーム内プロシージャ(同じジョブ内で繰り返し実行されるステップを定義したもの)
  ※カタログ式プロシージャ(複数のジョブで共有されるプロシージャが独立したメンバー)

サンプルJCL(ステップ名)

  //STEP02   EXEC PGM=PGMNAME

STEP02ステップ名
  1. 1~8文字の英数字または各国用文字 (#@¥)など

サンプルJCL(PGM)

  //STEP03   EXEC PGM=PGMNAME

PGM=PGMNAME は プログラム名
  1. ステップで実行するプログラムのロードモジュール名を指定する。

サンプルJCL(PROC)

  //STEP04   EXEC PROC=IBMZC

PROC=IBMZC は プロシージャ名
  1. ステップで実行するプロシージャー名を指定する。

サンプルJCL(JOBLIB)

  //TESTJOB8 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H
  //JOBLIB   DD DISP=SHR,DSN=TESTDATA.ALOAD
  //STEP05   EXEC PGM=TESTPGM1

JOBLIB は ジョブ全体で使用するライブラリーを指定するDD
  1. 定義する場所は、JOBステートメントの後 かつ EXECステートメントの前に定義する。

サンプルJCL(STEPLIB)

  //TESTJOB8 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H
  //JOBLIB   DD DISP=SHR,DSN=TESTDATA.ALOAD
  //STEP06   EXEC PGM=TESTPGM2
  //STEP07   EXEC PGM=TESTPGM3
  //STEPLIB  DD DISP=SHR,DSN=TESTDATA.SLOAD

STEPLIB は このステップだけで使用するライブラリーを指定するDD
  1. 定義する場所は、EXECステートメントの後に定義する。
  2. JOBLIBとSTEPLIBが両方指定された場合は、STEPLIBだけが使用される。
   (上記の場合は
    STEP06のPGM0002は、STEPLIBがないので、JOBLIBのTESTDATA.ALOAD
    STEP07のPGM0003は、STEPLIBのTESTDATA.ALOAD が参照される
    )

サンプルJCL(JCLLIB)

  //TESTJOB9 JOB CLASS=A,MSGCLASS=H
  //         JCLLIB ORDER=(TESTDATA.1LIB,
                TESTDATA.2LIB,TESTDATA.3LIB)
  //JOBLIB   DD DISP=SHR,DSN=TESTDATA.ALOAD
  //*
  //STEP08   EXEC PROC1

JCLLIB ORDER=(TESTDATA.1LIB,TESTDATA.2LIB,TESTDATA.3LIB)
  1. PROCパラメータで指定した、プロシージャがカタログ式プロシージャの場合、プロシージャメンバーが格納されているデータセットを定義
  2. 定義する場所は、JOBステートメントの後 かつ EXECステートメントの前に定義する。

  ※//* 注釈ステートメント(出力リストにコメントを記述するために使用します)

サンプルJCL(PARM)

  //STEP09   EXEC PGM=TESTPGM,PARM=ABCDEFG

PARM=ABCDEFG
  1. PGMで指定したプログラムに渡す可変情報を指定(引数)

サンプルJCL(PARMMD)

  //STEP10   EXEC PGM=TESTPGM,PARMMD=PROGPARM
  //PROGPARM DD *
  AAA ~ BBB
  CCC ~ DDD
   ZZZ(100文字以上)
  /*

PARMMD=PROGPARM
  1. パラメータ文字列が100文字を超える場合は、任意のDD名の順次データセットを組み合わせる(Z/OS V2R1以降の場合)

  ※/* 区切りステートメント(入力ストリーム内のデータの末尾または転送レコードの終わりを示すために使用します)

サンプルJCL(COND=(コード,演算子))

  //STEP11   EXEC PGM=TESTPGM,COND=(0,NE)

  1. ステップの実行をスキップする条件を指定
COND=(コード,演算子)
  2. 復帰コード(ジョブステップが終了したあとにOSによって戻される、実行結果)
  3. 演算子
  EQ :コードが、復帰コードに等しい(コード復帰コード
  NE :コードが、復帰コードに等しくない(コード
復帰コード
  GT :コードが、復帰コードにより大きい(コード復帰コード
  GE :コードが、復帰コードにより大きい または 等しい(コード>=復帰コード
  LT :コードが、復帰コードにより小さい(コード復帰コード
  LE :コードが、復帰コードにより小さい または 等しい(コード<=復帰コード
上記の場合は、先行ステップの復帰コードがゼロでない場合は、STEP11は実行されない。

サンプルJCL(COND=(コード,演算子,ステップ名))

  //STEP12   EXEC PGM=TESTPGM,COND=(4,LT,STEP22)

COND=(コード,演算子,ステップ名)

  上記の場合は、コード(4)がSTEP22の復帰コード  より
         小さい場合は、STEP12は実行されない。
      ( STEP22の復帰コード が 4なら
                STEP12は実行される
        STEP22の復帰コード が 5,6なら
                STEP12は実行されない )

  //         IF STEP22.RC <= 4 THEN
  //STEP12   EXEC PGM=TESTPGM
  //         ENDIF

IF/THEN/ELSE/ENDIF ステートメント構文
  上記の場合は、STEP22の復帰コード が4以下の場合は、
       THEN~ENDIF間のステップ(STEP12)を実行する。

サンプルJCL(COND 特殊なパラメータ)

  //STEP12   EXEC PGM=TESTPGM,COND=EVEN,PARM=0

 ※特殊なパラメータ
COND=EVEN・・・先行するステップが異常終了した場合でも、ジョブステップを実行する。
COND=ONLY・・・先行するステップが異常終了した場合のみ、ジョブステップを実行する。

サンプルJCL(REGION)

  //STEP13   EXEC PGM=TESTPGM,REGION=120K

REGION=値
  1. プログラムを実行するのに使用するメモリーを指定
     上記の場合は、120K バイトの領域を割り当てます。

サンプルJCL(MEMLIMIT)

  //STEP14   EXEC PGM=TESTPGM,MEMLIMIT=10000M

MEMLIMIT=値
  1. このジョブステップは、2 GB を超える
     64ビット仮想ストレージの利用限度を指定する。
     上記の場合は10000M バイトと指定しています。(Z/OS V2R1以降の場合)

サンプルJCL(TIME)

  //STEP15   EXEC PGM=TESTPGM,TIME=(12,10)

TIME=値
  1. ジョブがCPUを使用できる最大の時間を指定する。
  2. 上記の場合は 12分 10 秒であると指定しています。

      次回:JCL記載方法まとめ 【初心者編】2
   https://qiita.com/nano357/items/39ae7edaf31bbe1b3619

参考文献

JCL関連情報サイト様
   https://arteceed.squares.net/
   http://yfuku.sakura.ne.jp/mvs/mvsindex.html
   http://superbassist.fc2web.com/hp2/study/jcl/jclb.html

MVS JCL 解説書 - IBM Documentation:正式な構文等は以下を参照
   https://www.ibm.com/docs/ja/zos/2.3.0?topic=SSLTBW_2.3.0/com.ibm.zos.v2r3.ieab600/toc.htm

原典:日本アイ・ビー・エム株式会社
GC28-1757-00
OS/390 MVS JCL Reference
(一部改変)
OS/VS2 MVS JCL
(一部改変)

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