序文
ビル・キャンベルという人物をご存じでしょうか?
私は殆ど記憶に残っていませんでしたが、2011年、スティーブ・ジョブズの追悼式で最初にスピーチをしたのが彼だそうです。
彼は、アメリカにあるいくつもの会社(アップル、グーグル、アマゾン、フェイスブック(現メタ)など)の経営陣や役員などから「コーチ」と親しまれ、敬われた人物です。
この本を読んでいるとビルは「素直で、口が悪く、優しく、ユーモアがあふれる」人間であったことがわかるのですが、もちろんそれだけでは巨大ともいえる会社の CEO 達から「コーチ」なんて呼ばれることはないでしょう。
そこには彼なりの考え方やメソッドがありました。
この本はそんな彼の考え方を、彼の教え子たちがまとめた本になります。
私はこの本から様々な考え方を得ましたが、その中から、3つほどご紹介したく思います。
会議が始まる前の時間は無駄にしない
仕事で会議に参加するもしくは会議の中心になるとき、あなたはどのような準備をしていますか?
この本でビルが求めていたことから私が実践している2つをピックアップします。
1つ、会議前に資料を読んでおく
2つ、会議前の時間を使いチーム内の友好関係を深める
1つ目の「会議前に資料を読んでおく」。これは結構目に見えて成果があった仕事のコツです。
本の中では
最新の情報を会議で提示すると会議の話題はその「情報について」と、「情報の些細な問題について」で完結してしまう。情報を先に参加者へ提示し、参加者にはその資料を確認したうえで「質問」を持ってきてもらうことに期待する
と書かれていました(ニュアンスは違いますが…)。
もちろんこの本はコーチングの本なので、視点はリーダーの物になってます。そして、私はその立ち位置にいないのでメンバーにそれを求めることはできないです。
ならばどうするか。
私は、自分だけでも資料を確認しておき、質問を持っていくようにしました。
たとえば会議の時間、折角口頭で質問ができる時間があるのにもかかわらず、情報のインプットだけで時間が無くなってしまい、後から「ここ、どうなんですか?」とチャットやメールで質問する。意外とありませんか?
それがなくなりました。一回のやり取りで完結するので、時間も短縮されましたし、現場でそのスタイルが評価されることも多々ありました。
1日の隙間時間で資料を確認し、質問を洗い出すのは若干大変ですが かなり ハッキリとした効果がみれます。
因みに私が会議の主体になるときは必ず先に資料を提示するようにしております。が、効果はこれからに期待ですかね…
2つ目の「会議前の時間を使いチーム内の友好関係を深める」。これは1つ目の物と違い、会議の場でできるコツです。
本の中では
これはコミュニケーション法の一環であり、目的が2つある。1つは、メンバー同士が、「興味深い生活を持つ人間同士として、お互いを知りあえるようにすること」2つ目が「最初からミーティングを楽しめるようにすること」
と言う趣旨が書かれていました。
もう少し本の内容に触れると、このやり方はgoogle内でも行われていたらしく、エリック・シュミットやビルはメンバーに「週末に何をしたのか」や、「どこに旅行へ行き、どんなことをしたのか」などを会議の議題に入る前に質問したそうです。
これを読んでいて思い出したのは、私が1年目の時のです。
当時の私には若干荷が重い案件に入ってしまい、毎日残業をしていました。ハッキリ言ってきつかったです。
しかし、当時も、今その時を振り返っても、嫌なイメージは殆ど、無いのです。
理由としてはメンバー内で一体感が強かったから。そしてその一体感を作り出していた要因の一つは「夕会前の雑談コーナー」だとおもいます。
話す内容は何でもいいです。競馬でも、スポーツでも、好きなアーティストでも。たった2,3分間の雑談。それだけでただのプロジェクトメンバーがより「仲間」に近づく。そんな感覚がありました。
しかし、どんなに効果があっても私は会議の時間に雑談の時間をこじ開けられる立場にいません。
私が狙ったのは会議の時間の前。その隙間時間で話すようにしました。会議があれば、5分前、遅くとも2,3分前にはその場にほとんどのメンバーが集まっているでしょう。その時にちょっとした話題を振っています。
例えば、「ふるさと納税、何かおすすめの商品ありますか?」など、仕事に関係のない話題などです。
これをするだけで場の雰囲気が軽くなりますし、何となく会話に参加したメンバーは会議中でも穏やかな表情になっているように感じられます。これが続くと、仲良くなれたり、助け合えたり、時に意見の交換や助言などをもらったりするようになれます。
また、この雑談というテクニックは、スティーブ・ジョブズもよく使っていました。
例えば、新型iPhoneの発売発表時、雑談の中で1世代前のiPhoneについて簡単に振り返ることで新型iPhoneへの意識の誘導を行っていたという話を聞いたことがあります。
これ以上は主題から大きく逸脱してしまうためここでは語りませんが、スティーブ・ジョブズの雑談テクニックは調べてみると様々な収穫があると思います。
安全な姿勢を貫く
安全な姿勢を貫くという言葉を読んで、あなたはどのようなイメージを受けたでしょうか?
この本でビルが求めていたことから私が実践している1つだけピックアップします。
1つ、相手がよい事をした場合、それを称える。
称える、と書きますと上から目線に感じますがそういうわけではなく、相手がちょっと良い事をしたときにそれに対して拍手や相槌を打つなどを行い、相手の行動に対して「応援」する意図をもちます。
本の中では
誰かがミーティングで何か良い事を発表すると皆で5回拍手する。部下と彼らの成功を派手に応援せよ
と書かれていました。
エニプラでは毎年忘年会で「エニプラアワード」の発表があり、私も去年ほかの社員の方の前で発表させて頂いたのですが…その際にがっちがちに緊張してしまいました。発表中も何回か噛んでしまい、「早く終わりたい!!」と思いつつ発表を続けていると、ふと、前のほうに座っていた先輩の一人が私を見て「うんうん」と頷いてくれているのが見えました。それが本当にうれしくて、一気に緊張が吹き飛んだ記憶があります。そんな経験があったので、この話は簡単に納得ができました。
是非、誰かの発言や発表に拍手をするところから、やってみてください。
さいごに
「1億ドルコーチ」を読んで。~最高のコーチングから得る仕事術~ ということで、この本から学んで、私が実際に実践している中から3点をピックアップして書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?
この本はコーチングについての本で、一見、私のような役職を持っていない人間からすると何の意味もないような本ですが、見方を変えれば「部下にこうなって欲しい」と言う像が読める本でもあります。
気になった方は是非読んでみてください。
エニプラの社員の方は後ほど(許可がとれれば)会社に置いておこうと思うので、本棚を探してみてください。
それでは、今回はこのあたりで失礼します。ほかのエニプラ社員も記事を投稿しておりますので、そちらも是非、ご覧ください。
ご覧いただき、ありがとうございました。