電流容量の話
電流容量というものがありまして。
電流を何A流せるかという話なんですが。
それの話を、していこうかと思います。
記事を書こうと思ったきっかけ
ロボコンをしていて、4年目くらいに、こいつの存在に気づきました(おっそ)
これ以上自分のような哀れな回路弱者を出さないために、この記事を書こうと思いました
電流容量とは
その名の通り、「電流」の「容量」です。回路を構成するすべての部品には、かけていい電圧と、流していい電流と、上がっていい温度が存在します。すべてです。つまり、回路と回路を結ぶコネクタや配線や、基板上の部品と部品を結ぶ配線などにも、もちろん存在します。
正直、ここまで読んでくれればもう充分です。
あとは回路設計しながら、自分で調べて気を付けていけば大丈夫だと思います。
ここからは、割と見落としがちな部分の電流容量を紹介していこうかと思います。
配線の電流容量
配線には流せる電流があります。それについて話す前に、配線の太さの単位「sq」について。
「スケア」と読みます。「スケ」と略したりもします。どういう単位かといいますと、
1[sq]=1[(mm)^2]
です。つまり、両辺が1[mm]の四角形の面積が1[sq]です。「sq」とは、配線の断面積を表したものです。
配線に流せる電流は、配線の太さに大体比例します。
https://www.diylabo.jp/column/column-449.html
このページを参考にしながら話をしますと、ロボコンでよく使う0.2[sq]では2.5[A]、2[sq]では16.6[A]まで流せます。電源線に何も考えずに2[sq]の配線を使うことは多いと思いますが、一番おおもとの配線(リポバッテリーと直接つながるところとか)は十分な電流を流せるように、配線の太さを考える必要があります。また、無駄に太い配線を使うと配線がごちゃごちゃしたり、コネクタのコンタクトが圧着できなかったりということが起こりえますので、ちょうど容量を満たせるような配線を使うのがいいでしょう。ちなみに2022年は信号線に0.5[sq]の配線を使ったのですが、太すぎていろんなコネクタに合わないという悲劇が起きました...
基板上の配線の電流容量
基板上の配線は、表面に薄い銅の膜が張ってあって、そこを電気が通るようなイメージなので、流せる電流は結構小さくなります。銅の厚さが35[μm]なら、配線幅1[mm]で1[A]流せます。大体pcb基板とか、エッチング基板の銅の厚さは35[μm]ですが、念のため自分でも調べてみて下さい。
配線幅を10[mm]も20[mm]も取るのは難しいと思うので、モータードライバーや遠隔非常停止回路、電源回路などを設計するときには、幅が足りない部分だけ銅箔をむき出しにして(pcb基板を発注すると何も言わなかった場合配線はシルクでおおわれる)、そこにはんだを盛れば、電流をたくさん流せるでしょう。
スイッチの電流容量
トグルスイッチや非常停止スイッチ、リレー素子などもスイッチの一種ですよね。これらは、電流を流すだけなので、意外と見落としがちです。トグルスイッチは大体3Aとか、リレースイッチは大体2Aとかでしょうか。もちろん、型番によって変わりますので、データシートなどを探して調べてみて下さい。
非常停止スイッチなどは、amazonに売ってるものなんかだと電流定格が10A等だったりします。これだと電流が流せないので、信号電流を流して、その信号電流のオンオフによって駆動電源のオンオフを切り替えるようにするといいかもですね。鹿児島高専さんのピットにお邪魔したときに、鹿児島高専さんは小電流を非常停止スイッチに流して、その電流をPch-MOSFETに入力して、そのPch-MOSFETによって駆動電源を切り替えていました。僕ですか?僕は...ヤッテナカッタ...デス
コネクタの電流容量
コネクタにも流せる電流が決まっています。これも、まあ、コネクタによっていろいろなので、自分で調べてみて下さい(さっきからそればっかだ...)
例として、ピンヘッダには2Aしか流せないです。縦刺しのモータードライバーなどは、複数のピンヘッダを同じ場所につないだりすることで、電流容量を大きくするテクニックがあります。例えば、10A流したいときには5つのピンヘッダを同じところにつなげるとかですね。
降圧素子
電圧を下げる素子がありますよね。DCDCコンバータとか、3端子リニアレギュレータとか。あれの出力電流が決まってるんですけど、何も考えずにサーボとかいっぱいつないじゃうと、電流が足りなくなってサーボが動かなくなります。NJM78XXFA(XXは出力電圧)っていうのが割と3端子リニアレギュレータの中では強めなんですが、それが流せる電流が1.5Aくらいです。電圧可変のやつとかは、3Aくらい流せるものとかあります。これも、はい、自分で型番を調べてみるのが安全かと...。
最後に
まあなんだかんだ言いましたが、結局電流規格はマージンを取って設定されているので、ちょっとくらい超えても動きます。本番の2分30秒動けば勝ちなので(おい)
でもやっぱり、配線がめっちゃ熱くなったりとかはあって、結構不安な気持ちになります。安心して動かすためにも、電流容量にも気を使うべきかなと思います。
以上です!最後まで読んでくれてありがとうございました!