はじめに
以前、↓こちらの記事で CH552マイコンを紹介した。そのときは、ピッチ変換基板に実装済みの CH552Pを使用した。
CH552は、4種類のパッケージ形状がラインナップされており、用途により使い分けができる。
| 諸元 \ チップ | CH552T | CH552G | CH552P | CH552E |
|---|---|---|---|---|
| パッケージ | TSSOP-20 | SOP-16 | QFN-16 | MSOP-10 |
| ボディサイズ ($mm$) (リード線を含まず) |
6.5×4.4 | 10.0×3.9 | 3.0×3.0 | 3.0×3.0 |
| 面積 ($mm^2$) | 28.6 | 39.0 | 9.0 | 9.0 |
| ピン数(リード数) | 20 | 16 | 16 | 10 |
| リードピッチ | 0.65 | 1.27 | 0.5 | 0.5 |
| ピン数当たりの面積 | 1.43 | 2.44 | 0.56 | 0.9 |
この中で、CH552Pは、16ピンでありながらピン数当たりの面積が最小のパッケージである。
このチップを 素 で使いたいと思い、以下の基板を設計した。
プリント基板
PCのUSB-Aポートに直接挿す形状とした。部品はすべて表面に実装。
表面に、CH552P、パスコン、DFUのプルアップ抵抗とパッド(ショートさせるとDFUモード)、および RGB-LEDを配置し、裏面には、電源系とシリアルポートのパッドを配置。
| サイズ | W 29.0mm x H 12.0mm |
|---|---|
| 表 | ![]() |
| 裏 | ![]() |
| R1 C1 / C2 RGB (nak435 |
10KΩ 0.1μF ×2 WS2812C-2020(P1.0に接続、オプション) 静電容量検出パッド、P1.1に接続) |
比較のために1円硬貨を並べてみた。それにしても、0.5ミリピッチのハンダ付は毎回シビレる。
なお、CH552Pは、アリエクにある WCHオフィシャルショップ にて、20個セットで 1,953円(送料無料)で購入した。1個当たり98円。
比べてみた
この手の基板として有名な Digispark ATtiny85 と比べると、部品点数に圧倒的な差がある。今回は「VBUSのフューズと電源レギュレータを実装していない」とはいえ、CH552がネイティブにUSBをサポートしていることが主な要因。さすが USBマイコンと唱うだけのメリットはある。
- マイコンスペック比較
| \ | ATtiny85-20SUR | CH552P |
|---|---|---|
| コア | tinyAVR | E8051 |
| 電源電圧 | 2.7~5.5V | 3.0~5.5V |
| コアサイズ | 8bit | 8bit |
| クロック | 20MHz | 24MHz |
| プログラムメモリ | 8kB | 16kB |
| EEPROM | 512B | 128B(DataFlash) |
| RAM | 512B | 256B(iRAM) + 1kB(xRAM) |
| GPIO | 6pin | 17pin |
| ADC | 4Ch | 4Ch |
| I2C | 1Ch | 2Ch |
| UART | - | 2Ch |
| SPI | 1Ch | 1Ch |
| USB | - | USBコントローラー・トランシーバー内蔵、USB-Deviceモード・type-C対応 |
| タイマ | 2Ch | 3Ch |
| オシレータ | 内蔵 | 内蔵 |
| パッケージ | SOP8 | QFN16 |
| パッケージサイズ | 3.9mm×4.9mm、1.27mmピッチ | 3mm×3mm、0.5mmピッチ |
用途
まずは、スリープブロッカー(マウスジグラー)のコードを書いて使うことにした。また、CH552が持つ静電容量検出機能を使って、指を近付けている間、RGB をランダムに光らせるようにしてみた。
(静電容量検出の閾値の設定は微妙。これについては 別記事にする。)
おわりに
この基板の素材は、一般的なFR-4で、厚みが 1.6ミリである。
一方、USB-Aは、USB規格にて 2.2ミリとなっていて、この基板は若干薄い。このため、接触不良を起こす場合があるので、そこの工夫が必要。
チョコレートの空き箱を切って挟むとちょうどよい。もしくは、USBの4本のパッドにハンダを流し込み厚みを持たせるもよし。
基板はパネライズして全部で100枚ほど作った。まだ大量に余っている(笑)。


