この記事は、Supershipグループ Advent Calendar 2024の 15 日目の記事になります.
Supership株式会社の @nagyo です.
この記事では,私が普段自作分割キーボード Keyball39を使っていて,ぜひ皆さんにも自作分割キーボードに興味を持っていただきく,Keyball39を例におすすめしていく内容になっています.
自作キーボード: Keyball39 |
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はじめに
私は生活・デスク環境を快適なものにするデスク周りのデバイスやガジェットが好きで,今回は自作分割キーボードについてのお話です.
「人はそれぞれの体格に合ったものを大抵身につけているのに,キーボードはみんな同じサイズのものを使い続けいて,人によっては体に負担がかかっている」ことに疑問を持ったことをきっかけに,いつの間にか自作キーボードまで手を出していました.
今やキーボードという言葉一つを取ってもさまざまな形態のキーボードが存在し,分割型,私が気になっているグラブ型(GrabShell公式),グリップ型(𝕏: @garakuta_dev),用途別には片手ハンド型タッチパッド(Azeron公式)など面白いキーボードがたくさんあります.
今回は冒頭に載せた自作分割キーボードについて,是非おすすめしたい良いところを紹介していきます.
おすすめポイント
早速,私のおすすめしたいポイントはざっくり以下の通りです(この後の説明で一部内容が重複しているかもしれませんがご容赦ください).
- 手首・腕・肩への負担の軽減
- 最小限のキー数で最低限の可動域での入力
- レイヤーを使ったキー数の拡張
- マウスが不要になった
- カスタマイズ性
手首・腕・肩への負担の軽減
これはキーボードが分割されていることで,左右のキーボードをユーザが入力しやすい位置に置けることによる恩恵が大きいです.通常のキーボードのホームポジションに指を置くと,肘から手首は八の字で手首から指先までは手首は僅かに外側に捻り前を向いていると思います.この時外側への捻りは手首に負担がかかり,肘から指先の向きを真っ直ぐにキーボードに合わせようとすると肩を竦めるような姿勢にしなくてはなりません.
姿勢を伸ばした状態でデスク上に手を置く時の最も楽な置き方は,両手を合わせ腕の外側がデスクと接している姿勢(上から見たイメージ:ᕙᕗ)かと思います.その形に近くなるようにキーボードを配置できると楽になりますよね.
実際に,写真のように左右のキーボード間の距離は取りつつ逆八の字に設置することで,肩には負担が減り姿勢もより伸ばしやすくなります.さらにここからは個人差がありますが,手首をデスクと水平にするよりは立てた方が楽で,そのためにはテンティングをする(傾斜をつける)ことで実現できます.
入力のしやすいさにおいて初めは慣れませんが,普段より負担がない入力姿勢になるのは間違いないです!
逆八の字に配置 |
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テンティング(傾斜をつける) |
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余談です(ここは読み飛ばしてください)
keyballには 44,61も存在するのですが,39にした理由はテンティングすることを考えた時に,44だと外側一列分キーが増えパームレスト等で手首の位置をかなり高くする必要があるからです.もちろん39でもテンティングをする場合パームレストは必要になるかと思います(写真のでピッタリくらいです).アームレストを用いてパームレスト無しで使用されている方も見かけはします.
最小限のキー数による最低限の可動域での入力
Keyball39のキー数は39個しかなく,数字のキーもなければ両側のEnterやTab,Escなどのキーはありません.それでも一般的なフルサイズのキーボードを同じキーを扱うことができます(フルサイズキーボードだと100数個のキーがある).
キーの拡張の話は次の節で話しますが,ここで伝えたいことは,ホームポジションに指を置きながらでも全てのキーに無理なく指が届き,100数個のキーの役割を再現できることです.
指を精一杯伸ばして遠いキーを押すことがなく,それに伴い打ち間違いもなくなります.
レイヤーを使ったキー数の拡張
限られたキー数で他のキーも再現するためにレイヤーという機能があります.数個(Keyball 39では0~3の4つ)のレイヤーが用意されており,同じキーでもレイヤーごとに異なるキーを割り当てることができます.つまり,(キーの数)✖(レイヤーの数)のキー数を再現できるということになります.また,短く入力する時と長押し時の入力を区別することができるので,39個のキー数からは想像してなかったくらいの種類のキー入力を表現することが可能です.
レイヤー別のキーマップの例 |
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使用イメージとして,レイヤーを切り替えるキー(写真では親指あたりにあるキーLayer()をレイヤー切り替えのキーとして用いることが多い)を押して別のレイヤーに切り替え(長押し中だけレイヤーを切り替えるも可),必要なキーを入力しレイヤーをデフォルトに戻す(長押しの場合はレイヤー切り替えキーから指を離す).
例えば,レイヤー3の以下の10個のキーをテンキーに近い配置で数字のキーをその周囲に演算記号を割り当て,テンキーモード風に無理やり入力するということも可能です.
前 | U | I | O |
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J | K | L | |
N | M | , | . |
後 | 7 | 8 | 9 |
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4 | 5 | 6 | |
0 | 1 | 2 | 3 |
もちろん,マクロ機能を使って複数キーの入力を1つのキーに集約させることもできます(M0, M1,...).
テンキー風キーマップの例 |
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キーマップをGUI(ドラッグ&ドロップ)で簡単にブラウザ上でカスタマイズし,すぐに書き換えができるRemapというサイトがあります.好きな時に好きなだけカスタマイズしてみてください.
左右のPro Micro()ごとに別のキーマップを割り当てられるので,プライベート用と社用のPC(OS)ごとに切り替えるという使い方も可能です(接続する時のケーブルを付け替えるだけです).
マウスが不要になった
自作キーボードの中にはトラックボールが搭載されているものもあります.
マウスに腕を伸ばす必要がなくなります.また,左・中央・右クリックでの入力についても,その機能をキーに割り当てることができるので,マウスのクリック機能はキーボードで代用できるわけです.トラックパッドの操作も部分的には再現できるはずです(ページ上の上下左右の移動や仮想ウィンドウ切り替えはできます).
どこかのレイヤーで利き腕側のキーにマウスの機能を割り当てておけば,片側のキーボードが実質マウスになるわけです.
カスタマイズ性
ここに関しては際限ないため拘り始めると沼にハマります笑.ここでは簡単にこういうところカスタマイズできるよ!の代表例を紹介します.
- キーマップ
- あなただけの最高のキーマップにしてください♪ ここが個人的1番の沼です.拘り始めるとキリがなく,終わりが見えない
- キースイッチ
- 好みの軸で打鍵感(スプリングによる荷重調整,QMXやOリングでストローク距離を減らす,ロープロ仕様で高さを低くする,ルブで押下を滑らかかつ静音化,その他色々)
- キーキャップ
- 互換性のあるもので好きなものを.見た目として一番個性が出ます.色・形・大きさ・触り心地・ブレのなさ等こだわりポイントがあり,今の私は静音ロープロ仕様のキースイッチの黄色に合わせトラックボールの色も黄色にした二色カラーです.本当に好みです笑
- 無線化
- BLE Pro Microを使い無線化しBluetoothで繋ぐ人も多くいるし,そのような無線自作キーボードもあります.余談ですが,私は近々この無線化を試みたいと思っていて左右キーボードを繋ぐケーブルとPCに繋ぐケーブルを取り除きたいですね
- ケース
- 3Dプリンタで保護ケースを作られている方,販売されている方よく見るようになりました.外傷に強くし,気兼ねなく持ち運びしやすくしましょう
読者が気になっているであろうこと
ここまで一方的に書いてきましたが,読者が気になっていることや不安視していると思われる以下について触れておこうと思います.
- 総費用
- 半田付けと組み立て
- 部品の用意
- 自作キーボードのコミュニティ
総費用
総額¥40,000 (半田付けと組み立てサービスを使う場合)くらいで作ることができると思います.
Keyball39の自作キットの料金はShirogane Labより,¥23,800(税込)です.これらのキットに含まれず別で用意しないといけない部品
- Pro Micro 2個
- Cherry MX互換キースイッチ 39個(親指ロープロ仕様なら34個)
- choc互換ロープロファイルキースイッチ 5個(親指ロープロ仕様のみ)
- お好みの色の34mm トラックボール 1個
- 左右の接続の為のTRRSケーブル
- PCと接続するためのUSBケーブル
が別途必要です.
半田付けと組み立て
自作キーボードと聞くと,自作のキットを購入してから半田付けを行わないといけないと思われるかもしれませんが,半田付けや組み立てまでやってくれるサービス込みで販売されているので安心してください.
料金は高くなりますが,苦手・極力行いたくない場合は是非活用してみてください.
部品の用意
前記の別途用意するもの以外では,テンティング用アイテム(人によってはパームレストも)や半田付けする場合の工具あたりだと思います.Pro Microへのケーブル接続で抜き差しを繰り返すと端子の接触が悪くなっていくので,それを回避するために磁石で容易に取り付け取り外しが可能にする変換器(Type-C to Type-C)があると便利です.
自作キーボードのコミュニティ
Discord(例:キー部)でも𝕏(例:keyballわいわい部屋)でもコミュニティがあるので,気軽に相談できる環境にあると思います.私も実際に初めて自作を組むときはキースイッチについてかなり相談に乗ってもらいお世話になりました.また,𝕏やYouTubeで個人の方で発信されている方も非常に多いので,是非覗いてみてください.𝕏が個人的におすすめです.
また,自作キーボードの祭典,天下一キーボードわいわい会(通称:天キー)という実機展示され試打ができる交流会も毎年2回ほどあります.
おわりに
エンジニアに限らずデスク作業をされる方ほとんど全ての方へ,日々長時間操作しているキーボードについて快適な姿勢で負担を軽減して入力できるキーボードの簡単な紹介をしました.
この記事を通じて「良いじゃん」「少し気になったかも」と思っていただけたら幸いです.
今回は作業環境をよくするキーボードにフォーカスを当ててみましたが,次回は腰への負担が少なく楽な後傾姿勢で作業を可能にするための,チェア&(オットマン)&アームレスト&デスク(チルト)&キーボード&モニター(チルト)の話をしようかと思います.
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是非ともよろしくお願いします。